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第7話 部活紹介フェスタ開始!!



 そして、何事もなく1週間が経った昼休み。


 ついに、今日の午後から部活動紹介とやらのイベントが始まる。

 いや、本当に部活紹介のイベントってなんだ?


「にしても、本当にここの学食のご飯美味しいよね」

「だよな。もう夕飯もここでいいぐらいだ」


 俺の向かいの席で詩穗と上北が話している。


 1週間が経って、学食の色々なメニューを食べたが、全部が凄く美味しかった。


 ここの学食は一流のシェフが付いており、大きな厨房で料理をしている。


「りん君、これあげる」

「いいのか?」


 隣に座っている結衣菜が俺の皿に唐揚げを1つ置いていく。


「うん。りん君、唐揚げ定食とトンカツ定食で迷っていたでしょ?」

「よくわかったな」


 確かに俺は唐揚げかトンカツかで迷っていた。それでトンカツ定食に決めたのだ。因みに結衣菜は唐揚げ定食だ。


 それにしても結衣菜の奴、よく見ているな。


「ならこのトンカツいるか?」

「いいの?」

「ああ、唐揚げと交換だ」

「うん、ありがとう」


 俺達は当たり前のようにそれぞれのおかずを交換する。


「本当に仲がいいよね」

「まぁ、幼馴染だしな」


 結衣菜の反対側の席に座る一が話しかけてくる。


 学校では体育を除いて、結衣菜と殆ど一緒に過ごしていた。そのお陰で、少しは一緒に遊んでいた頃の感じに戻ってきていた。


「それにしても本当に何をやるんだろうね」

「部活動紹介って普通は講堂とかに集まってやるよな?」

「そうだね。僕もそれぐらいしか聞いたことはないかな」


 まぁ、普通はそうだよな。部活紹介のイベントなんてあったとしても仮入部ぐらいだ。


「ねぇ、いつもより先輩達少なくない?」

「言われてみれば確かに・・・」


 お昼休みの食堂はもっと人が多くいたはずなのに、今日はやけに静かだ。


「やはりそのイベントやらの準備でもしているのではないか?」


 上北の言うことはもっともだ。午前中は授業があるので、午後から始まるイベントは昼休みしか準備するしかないはずだ。


「やっぱりそうな・・・の?」


 詩穗が上北に同意しながら俺の方を見て、話途中で固まった。


「どうしたんだ?詩穗」

「・・・・・・・・・」


 俺は固まる詩穗に声を掛けるが、何も反応を示さない。


「ねぇねぇ君達」

「ん?・・・なっ!?」


 後ろから女性の声で話し掛けられたので振り向くと、そこには場違いな人がいた。


「君達は演劇とかに興味はない?」

「いや・・・・あまりないかと」

「君達は?」

「その・・・私もあまり」


 詩穗も戸惑いながら返事を返す。他も首を横に振って拒否を示した。


「そっかー、じゃあ気が向いたら演劇部に顔出してね」


 そう言って演劇部らしい女子生徒は他の人の所へと行ってしまう。


「なぁ、なんで水着なんだ?」

「知らないわよ。それにあれ水着じゃなくてレースクイーンじゃない?」

「あ、コスプレか」

「あれで勧誘してるんじゃないかな」


 レースクイーンと演劇って何か繋がりでもあるんだろうか?あまりないような気がするが。

 そう思って他の生徒を勧誘している先程のレースクイーン衣装の先輩を見ていると。


「むぅ・・・、りん君、先輩のお尻見すぎ」

「見てねぇよ」


 結衣菜に怒られてしまった。確かに少し際どいぐらいお尻が見えてはいるが・・・。って学校であんな恰好って許されんのか?


「まさか学校であのような恰好をしている者がいるとはな」

「ははは・・・」


 そしてなぜか平然と食事を続ける上北。一はあまり見ないようにして食事を続けていた。


「これは部活紹介イベントとやらは楽しみだな」


 上北が言う通り、あんな恰好も許されるのであれば、本番になったらどうなることやら少し楽しみであった。


「・・・・・・りん君、また見てるの?」

「見てない見てない」


 そのコスプレをした先輩がいる間、結衣菜は俺の視線をずっと気にしているのだった。もちろん俺は結衣菜が心配しないように、できる限りコスプレ先輩の方を見ないように注意をして昼食の残りを食べるのだった。



 ☆     ☆     ☆



『では、今年度の部活紹介フェスタを開催します!』


『・・・・・・・・・』


 午後は教室に集まるよう連絡を受けていた俺達が聞いたのは、放送で流れてきた、やたらハイテンションの例の強面の教頭のイベント開催宣言だった。まさかのテンションにクラス内は呆れかえって無言で満ちていた。


「はい!皆、今日から今週の午後は部活紹介フェスタだからね。この際にやったことの無いものにチャレンジするのもありだよ」

「いや、どこに行けばいいんですか?」

「そうですよ。どこに行けば何があるか分からないです」


 俺と詩穗が久遠先生に質問する。


「あ、言い忘れていたけど、これはオリエンテーリング要素も含まれているから、歩いて何が何処にあるか調べてね」


 まさかのイベントだ。え、これオリエンテーリングも含まれてるの?


「1人で回るもよし!仲良くなった友達と回るのもよし!コスプレして回るのもよし!あ、でも裸は犯罪だから駄目だよ」

『・・・・・・・・・』


 コスプレして部活動って・・・。学食で見たレースクイーンのコスプレした先輩もその1つなのか?


「りん君、さっきの先輩のこと思い出してない?」

「ないない」


 俺は慌てて否定をした。


(なんで結衣菜は俺の思考を読めるんだ?)


「とまぁ、別に帰ってもいいんだけど、初日ぐらいは回ってみてね。それじゃあ、解散!」


 久遠先生はそう言うと教室から少し慌ただしく出て行った。


「りん君、どこから見て回る?」

「そうだな。どこで何をやっているのかもわからないし」

「それなら俺に任せておけ!」


 そこに例のごとく上北が現れる。


「俺が事前に調査して大体の部活をやっている場所を明記しておいた。まだ全てを調べたわけではないが、それなりの数はあるぞ」

「おお、仕事が早いな」


 俺は上北からその調べたらしい情報が書いてある紙をもらう。そこには学校の地図に細かくどこに何の部活があるかが書かれていた。


「・・・ねぇ、りん君。ここの教室に部活ってあったっけ?」

「は?そんなのあるわけ・・・」


 ある!何これ!?この忍者部って!!


「なにこれ?忍者部?」

「これはこれで面白そうだね」


 詩穗と一も覗き込んでこの教室にあるらしい忍者部を見たようだ。


「ほう・・・、我らの部活に気が付くものがいるとはな」

『っ!?』


 いきなり頭上から声が聞こえてきたと思って見上げたら、天井に足を付けた忍者らしき恰好をした人が逆さ吊りの状態でいた。


「あ、あんたは」

「拙者は忍者部の部長をしている者。お前達は忍者に興味がお有りか?」

「いや、ぜんぜん」

「そうか。それは残念。では御免!」

「うわぁ!」


 突然白い煙を噴き出した忍者先輩は何処かへと消えてしまっていた。何?本物の忍者?


「むむ、どうやったんだ?天井に仕掛けでも・・・」

「あまり詮索しない方がいいよ。上北」


 詮索しようとする上北を一が止めていた。


「あははは、凄いクオリティだったね」

「これには俺も驚いたよ」

「・・・ちょっと怖かった」


 詩穗と俺は笑っていたが、結衣菜は怖かったのか、俺後ろに隠れていた。


「これは色々と回った方が楽しそうだね」

「だな。で、どうする?詩穗は俺達と一緒に行動するか?」

「え?いいの?一ノ瀬さんと2人で回りたいんじゃ・・・」

「俺は別にいいよ。結衣菜はどうだ?」

「お、男の人以外だったら大丈夫」

「だそうだ」

「そっか。ありがとね。一ノ瀬さん」

「ん」


 詩穗の奴、うまい具合に結衣菜に気に入られてきてるな。俺以外にも話せる奴がいた方がいいし、このまま仲良くなってくれればいいんだけど。


「では俺も」

「男の人は嫌って言ったの」

「いや、俺も音無と一緒に」

「ダメ」

「・・・・どうしても」

「男をやめたらいいよ」

「・・・・・・・・」

「ほ、ほら、僕が一緒に上北に付いて行くから」

「・・・ありがとよ。(にのまえ)よ」


 やっぱり結衣菜のその顔と声は怖いし迫力があるな。どうやってあんな無表情で覇気を出せるんだ?


 結衣菜の覇気に押された上北は(はじめ)と一緒に教室を出て行った。


「琳佳君はこれでお得だね」

「お得?」

「だってこんなイベントに可愛い女の子2人と一緒に回れるんだよ?」

「まぁ、結衣菜は可愛いけど」

「・・・ありがと」


 俺の言葉に頬を染めてお礼をいう結衣菜。


「その言い方だと私は可愛くないの?」

「いや、可愛いのベクトルが違うっていうか・・・」

「ベクトル?」

「そうそう。結衣菜は美少女って感じだけど、詩穗はその・・・」

「美少女だなんて」

「なによ。男なら最後まではっきりと言ってよ」


 結衣菜はくねくねとして頬を赤くしている。詩穗は頬を膨らませてわざとらしく怒ってきた。


「小動物みたいな可愛さ?」


 詩穗は小柄だし、人懐っこいところがあるし、なんか小動物があっているような気がする。


「それ喜んでいいの?なんか微妙に馬鹿にされている気がするけど」

「馬鹿にはしてないさ」

「うん、りん君は普通に褒めていると思う。それに犬さんパンツを穿いてるから動物も好きなはず」

「ちょっ!?琳佳君の前でそんなこと言わないでよ!」

「へぇ、猫さんだけじゃなかったんだな」


 俺は登校初日に見た詩穗の猫さんパンツを思い出した。


「もう!思い出さないで!!」

「りん君・・・どういうこと?」

「いや、あの・・・すまん!!」


 詩穗だけでなく、結衣菜も迫力のある笑顔で俺を見てきた。いや、なんかやたら怖いんだけど。

 そして、俺はその場に居辛くなって逃げ出すことにした。


「あ!逃げるな!追うよ、一ノ瀬さん!」

「うん!」

「なんでこういう時は意気投合するんだよ!」


 俺は色々な部活の勧誘をする先輩達とそれを見学する同学年の人達に見られながら、結衣菜と詩穗の追っ手から逃げ続けるのだった。

皆さん、読んで頂きありがとうございます。

また間隔を空けずに投稿する予定なので、また是非読みに来てください。

この話を投稿する時は現実世界(恋愛)日間ランキングにて10位となってました。本当にありがとうございます。

まだまだブクマや感想や評価・指摘含め、お待ちしておりますので、宜しくお願いします。


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