第76話 変異アメーバ捕獲作戦 1
俺は結衣菜達3人が見える位置に立ち、結衣菜達はお互い少し離れた位置で水遊びを始めた。
水遊びといっても、ホースから水を撒くだけだが。
その際に制服が濡れ、結衣菜と莉愛の下着が少し透け始めている。詩穗はあれなので出来るだけ見ないようにしている。
因みに皆が水着を着ない理由なのだが、どうやら水着はアメーバが溶かすことが出来てしまうらしい。何故下着は大丈夫なのかは分からないが、とりあえず全部脱げるぐらいなら下着姿の方がマシという判断だ。
「琳佳!来たわよ!」
突然莉愛から鋭い声が上がる。
莉愛の方を見ると莉愛のスカートが溶けて白のパンツ丸出しになっていた。
だが、莉愛は怯むことなく自らに纏わり付く変異アメーバを振り払い、手に持っていたビニール付きテニスラケットで罠の袋に向かって打ち込んだ。
「上北!3番だ!」
『了解!』
上北の声が聞こえた後すぐに莉愛が打ち込んだ袋の口が閉じた。
これで一匹目。そして莉愛は違う標的を見つけ、ラケットを構えて動き出した。
「きゃあきゃあ!!りん君助けて!!」
すると今度は結衣菜の足元から変異アメーバがよじ登ろうとしていた。
結衣菜はその場から逃げようとする。しかし、変異アメーバが絡み付いていて上手く動けないようだ。
「あっ」
結衣菜は前に倒れ込むように転んでしまう。受け身は取っていたので大事は無いようだが、変異アメーバはそれを期に結衣菜の身体を覆おうとする。
「させるか!!」
結衣菜に当たるかもしれないラケットを使うわけにもいかないので、手頃サイズにカットした青いビニールシートを結衣菜に這わせるようにして、変異アメーバを振り払う。
「りん君ありがとう」
結衣菜もスカートがやられてしまったようで、若葉色のパンツが丸出しになっていたが、少し頬を赤くして起き上がりお礼を言ってきた。
「結衣菜、そっちに行くぞ!」
「う、うん!」
しかし今はそれどころではない。
俺が振り払った変異アメーバは再び結衣菜に向かって動き出していた。
結衣菜は自分を守るように虫取あみを振り回すが、運動音痴である結衣菜は後退するばかりで、相手に掠りもしない。
しかし、その結衣菜の行動で変異アメーバの動きが遅くなったところを。
「おらぁ!!」
俺はラケットで罠の中へ吹き飛ばす。
「上北、2番だ!!」
『了解』
これで2匹目。
「やったよ琳佳!」
「次は6番!」
莉愛は1人で変異アメーバを次々と罠の中へ放り込んでいく。既に上の服は前側が開いており、白のブラジャーに包まれた豊満な胸を晒していたが、動きは鈍ることはなく、動き続けていた。
俺は結衣菜に張り付き守りながら、上北に指示をしていく。俺は結衣菜に釣られて来た変異アメーバを次々と罠に放り込む。
「…………………」
そんな中、ただなにもせずに佇んでいる姿があった。
「なんで私のところには来ないの?ねぇなんで?私には女の魅力はないの?」
何故か詩穗のところには変異アメーバが来ていなかった。それは嬉しいのか悲しいのか分からない詩穗であった。
☆ ☆ ☆
「順調だね」
「ああ」
こちらはプールの建物の側にいる一と上北だ。
近くには大きな密封された水槽があり、1本の太めの管が繋がっている。
『上北、6番だ』
琳佳からの指示を受けて、その番号のボタンを押す。
しばらくすると、水槽の管から水が出て来た。
「上北、開いて大丈夫だよ」
一が水が出切ったことを確認し、上北に報告する。
「了解」
上北がもう一度同じボタンを押す。これで中の罠の口が開き、また使える状態になった。
そして、作戦は問題無く進んで行った。
「おーおー、順調そうだね」
そこに女の子の声が聞こえてくる。
「これはこれは生物科学研究部部長じゃないですか。こんなところにどうしました?」
「いやなに。部員達の皆が奮闘してくれているのに、僕が動かない訳にはいかないからね」
相変わらずの男子の制服を着ている部長は、年のわりには幼すぎる容姿と声で答える。
「これが捕まえた変異アメーバかい?」
「そうです。今のところ4匹といったところです」
水槽近くにいる一が質問に答えた。
「そうかそうか。なかなか集まっているようだね」
「はい。中で皆頑張ってくれていますから」
「そうかそうか。では僕は他を見てくるとしよう」
そう言い残して、生物科学研究部部長は去っていった。
「…………一、どう感じた?」
「うーん、何か企んでいるようには見えたねぇ。それに懐に何か持っていたみたいだし」
「一、ここはお前に任せても大丈夫か?」
「大丈夫だよ」
「では頼んだ。行ってくる」
上北はヘッドセットを一に渡して、その場を立ち去って行った。




