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第66話 生徒会長の取り調べ

「音無 琳佳、来てくれるかしら?」


 翌日の放課後、昨日と同じように教室の前で伊万里 麻里生徒会長が俺を待ち受けていた。


 たぶん昨日の部室で詩穗を押し倒し、結衣菜の胸をはだけさせてしまったところを、見られたからだろうけど。


 俺は結衣菜達に部室には遅れて行くと伝え、伊万里先輩に生徒会室へと連れていかれた。


 とにかく誤解を解かなければ。


「昨日の現場は見てたわ」

「あれは俺が転んで詩穗の方に倒れてああなったというか」

「転んだだけでどうしてあんな体勢になるのよ!」


 伊万里先輩は机をバンっと叩き、抗議してくる。まぁ、俺もどうしてああなったのかわからないけど。


「それだけじゃないわ!放課後の帰りにも中学生を侍らせて3人でデートに行ってたじゃない!」

「あれはデートじゃないですって!それよりなんで知ってるんですか?」

「尾行してたからよ!!」


 伊万里先輩は堂々と宣言する。


「…………尾行、してたんですか」

「あ、いや、その………私のことはいいの!それにそのまま女の子達と店から出て来て一緒に歩いてたじゃない!貴方はいったい何を考えてるの!!」

「そこまで尾行してたんですか」

「えっ、いや、その………いいじゃない!気になるような行動をする貴方が悪いのよ!!」


 机をバンバンと叩いて逆ギレしてきた。


 この先輩、色々と思い込みが激しそうだな。そんな人がよく生徒会長になれたな。


「先輩、落ち着いてください。まず、昨日の帰りにいた中学生は俺の幼馴染です。それから一緒に美味しいジェラートがある喫茶店に行こうという話になり、あの面子で食べにいっただけです」

「そ、そんなはずはないわ!貴方、女の子達から食べさせて貰ってたじゃない!!」


 そこまで見てたのか、伊万里先輩。


「結衣菜とは恋人ですし、中学生の方は悪ふざけでやってきただけです」


 実際に莉愛のあの行動はただの悪乗りでしかない。


「でもその後に3人を家に連れ込んだじゃない!」

「………………」

「そ、その目はなによ」

「いえ、そんな所まで尾行していたことに驚いただけです」

「い、いいじゃない!始めたものは最後までやるのが筋ってもんでしょ!!」


 それが尾行って………。本当にこれが生徒会長でいいのか?


「それより家に連れ込んで何をしてたの!!」


 伊万里先輩は顔をグッと近付けて問い詰めてきた。


「先輩、顔近いですって」


 俺は伊万里先輩の両肩を押して遠ざけようと、軽く肩に触れた。


「わ、私まで犯す気!?」

「犯しません!!」


 伊万里先輩は飛び退るように、俺と距離を置いた。

 この先輩は何を大声で叫んでいるんだ。


「先輩から見て俺ってどんな風に映ってるんですか」


 俺は少し悲しくなってきた。

 昨日のはほとんど事故のようなもの………は詩穗の時ぐらいか。

 結衣菜と莉愛は平常運転といえば平常運転だったし。


 ……………………あれ?っていうことは、俺って先輩みたいに周りから思われているってことか?


「一応言っておきますけど、結衣菜とは知っての通り付き合ってますし、許嫁として一緒に住んでます。中学生の方は莉愛っていって、幼馴染のよしみで家で預かっているだけです。詩穗の奴は友達として遊びに来ただけです」

「………………そうなの?」

「はい」


 俺の説明を聞いた先輩は目をぱちくりとさせた。どうやら少し落ち着いてきたようだ。


「でも喫茶店では………」

「喫茶店の時は結衣菜が食べさせてくれただけで、それに悪乗りする形で莉愛が食べさせて来ただけです」

「…………………」


 俺は落ち着いた先輩にもう一度説明をした。


「で、でも校門では中学生の子が貴方に抱き付いて」

「それは莉愛の奴が俺のこと好きみたいなんで、よく抱き付いてくるんです」

「そ、そう………そうなのね。それじゃあ部室でのあれは」

「あれは事故です。結衣菜が転びそうになり、俺が支えようとしたんですが、そのまま2人で転んでしまったんです。その先に詩穗がいて、巻き込んでしまったんですよ。気が付いたらあんなことになっていたわけです」

「………………わかったわ。今は貴方の言うことを信じるとしましょう。でも、今後は気を付けてください。こうやって噂が独り歩きして大変なことになりかねませんので」

「善処します」


 とりあえず誤解は解けたかな。俺は話が終わったので生徒会室を出ることにする。


「あ、ちょっと待ちな、きゃっ」

「おっと」


 何かに躓いたのか、伊万里先輩が俺の方へと転びそうになり、倒れてきた。俺は反射的に伊万里先輩を受け止める。


「大丈夫ですか?」

「え、ええ。ありが………っ~!?」


 突然伊万里先輩が顔を赤くして止まった。


 俺は伊万里先輩の視線の先を見てみると、先輩を受け止めた俺の手は、見事までに先輩の小さな胸を鷲掴みしていた。小さな胸でもしっかりと柔らかさは指先に伝わってくる。


「いっ、いっ」

「し、失礼しましたぁ!!!」

「いやぁぁぁぁぁ!!!!!」


 先輩の叫び声を後ろに聞きながら、俺は謝ってその場を退散した。

いつも読んで頂きありがとうございます。

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