表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/109

第62話 新聞完成

 いろいろとあったが、1週間掛けて、俺達の部活での新聞第1号が完成した。


 今は部室にはじめ以外の全員が揃っている。


 今回予定ではA2サイズの紙1枚にまとめるはずだったが、体育祭練習期間等のことや莉愛の事等を入れたら収まりきれず、顧問でもあり担任でもあり、校長でもある久遠先生に聞いたら、2枚にしても問題はない。というか、2枚にしてくれと要望があった。


 なので、完成した新聞はA2用紙2枚となってしまった。


 書くのは大変だと思うが、今はパソコンがあり、専用のソフトでレイアウトまで書けてしまうので、非常に楽だった。


 それより俺には気になっている部分が1つだけあった。


「・・・・・なぁ上北」

「どうかしたか?不機嫌そうだが」

「この記事はなんなんだ!」


 片隅にだが、体育祭とは全く関係ない記事が書かれていた。


『噂のカップルは今!!』


「り、りん君・・・」


 俺の横では結衣菜が顔を赤くしてしがみついて来ていた。


「以前特集号で組んだお前達の記事のその後を載せなければと考えてだな」

「そんなの考えんでいいわ!!」


 俺は盛大に上北にツッコミを入れる。


 パソコン上のレイアウトには俺と結衣菜がその・・・いちゃついている様子が写真として載っているし。


「いやしかしだな。お前達のことを知りたがっている連中もいるもんでな」

「そんなわけあるはず」

「あ、その話、私知ってるよ」


 そこに詩穗が会話に加わってきた。


「体育祭の時に結衣菜ちゃんと琳佳君のことを先輩から聞かれたよ」

「先輩って男?」

「うん。でも、男の人も女の人も関係なく興味はあるみたい」

「一ノ瀬は見た目だけはかなり良いからな。男は隙あればと考えているのだろう。女の方は恐らくそういった話が好きなだけだろう」

「ねぇ上北君。見た目だけってどういうこと?」

「い、いや、これは言葉の綾というやつでな」


 上北は自らの失言に狼狽してしまっていた。っていうか、上北が言っているのは今の結衣菜のことだと俺は思う。


 それに俺、上北、はじめ以外の男だと、結衣菜は基本的に話さない。クラスメイトの男子でもせいぜい一言二言交わすぐらいで、更に他の男となると、必要最低限以外は無視するようになるか、冷徹な結衣菜が表に出てくる。


 まぁ、今は殆ど俺と一緒に過ごしているから、頻度は少なくなってきてはいるけど。


「でもだからといってこの記事はやめてくれ。恥ずかしくて表歩けなくなるだろ」

「ただいま」


 俺が再び抗議をし始めると、はじめが何か筒状の何かを持って帰って来た。


「先生の承認が降りたから発行してきたよ」

「・・・・・・え?」


 はじめは持っている筒状の物を机の上に広げる。


 それは今の今まで見ていたパソコン上に表示されている新聞の原稿と同じものだった。


「なんでもう発行してるんだよ!ここにデータあるだろ!」

「音無、今の時代はデータなんてものは簡単に複製が出来てしまうんだ」

「そんなのわかってんだよ!」


 俺はもう叫ばずにはいられなかった。


「で、でも新聞がここにあるってことは、まだ掲示していないってことだよね?」


 結衣菜が助け船というわけではないが、正論を言ってきた。


 そうだ!まだここに新聞があるのなら、まだ間に合うはずだ。


「あ、いやー・・・その・・・・・・ソウダネ」

「なんで片言なんだよ!」


 はじめが視線を逸らしながら答えた。もう手遅れなのか!?


「音無よ。先程、にのまえは先生の承認が降りたと言っただろ?」

「あ、ああ」

「ということは必然と久遠先生の目にも止まるわけだ」

「そりゃあそうだろうな。一応顧問でもあるんだし」


 校長を隠している久遠先生は、一応教職員の体でいるため、職員室に久遠先生個人の机も用意している。


「そして思い出して欲しいのだが、以前のお前達の特集記事を書いて発行して掲示した人物を」

「「・・・・・・あ」」


 そうだ。あれも久遠先生が勝手に掲示していたんだった。


 そのことを結衣菜も思い出したのか、俺と同じタイミングで声を漏らした。


「おっつかれさま♪」


 そこにガラっと大きな音を発てて、件の久遠先生がニコニコ顔で部室に入ってきた。


 よし!まだそんなに時間経っていないから、まだ間に合うはずだ。


「久遠先生!新聞のことなんですけど」


 俺は早速久遠先生に話を切り出す。すると


「いいじゃん。私も実際に2人のことを見ているとはいえ、2人のことは知りたいし」

「でも学校の新聞に載っける理由は」

「それにもう他の先生達に頼んで、早急に新聞を貼ってくるように頼んじゃったから手遅れだよ?」

「「えっ!?」」


 そんな・・・まさかもう既に手遅れだったなんて。


「大丈夫だよ。2人は親公認の許嫁なんだし、実際にラブラブなんだから」


 そ、それは否定出来ないけど、それは何か違うような気がする。


 こうして俺達のいちゃつき具合とラブラブ具合は学校中に知れ渡ることになるのだった。


「これからは学校にいる間は出来るだけ別行動した方がいいのか?これ」

「私はその、恥ずかしいけど今まで通りがいいかな。りん君と離れる方が嫌だし」

「そ、そうか」


 まさかこれから新聞を発行する度にこんなことになるのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ