第39話 週明け
いつも読んで頂きありがとうございます。
結衣菜が引っ越してきた翌日、今日は月曜日なので学校がある。
親父も今日から単身赴任でいなくなるので、いつもより朝早く起きて、皆で朝食を取っていた。
「結衣菜ちゃん、琳佳のこと頼んだよ」
「はい!お任せください!」
結衣菜は親父の言葉に気合いを入れて答える。
はぁ、それにしても今日から制服を着た結衣菜とこうした朝を過ごす日々が始まるのか。
今の状況だと結衣菜が朝来てくれる時とあまり変わらないけど、やっぱり意識してしまう。
昨日は特に問題らしい問題は起きなく、平和な夜だったけど、今日からは親父がいなくなるし、どうなることやら。
朝食を終えた俺達はそれぞれ準備に入る。
「親父、気を付けてな」
「琳佳も結衣菜ちゃんにあまり迷惑掛けないようにな。戸締まりや火の元に注意するんだぞ」
「わかってるよ」
親父は俺達より一足先に出発していった。
その後、俺達も準備を終えて、学校へ登校することにする。
「「いってきます」」
玄関の鍵を閉め、俺達は2人並んで出発した。
「ふふっ」
結衣菜とは普通に手を繋いで歩いているが、先程から妙にご機嫌だ。まぁ、理由はあれしかないが。
「結衣菜、いつもの朝とあまり変わらない気がするんだけど」
「ううん、違うよ」
「何が違うんだ?朝迎えに来てくれた時とあまり変わらない気がするんだけど」
「違うもん。今日からあの家が私の帰る場所なんだよ。さっきの『いってきます』もそういう意味も含めてるもん。そう思うと全然違うよ」
言わんとしていることはわかったけど、もう少し声のトーンを落として欲しい。
周りにいる近所の人が変な目で見てきてるから。
「でも夢みたい。りん君とこうして一緒の家に暮らすことが出来るなんて」
「俺もだよ。結衣菜と付き合えることも俺は諦めていたから余計にな」
俺は結衣菜の父親の重信さんの圧力に負けまくっていたからな。
いろいろと説得してくれた久遠先生と重信さんを抑えてくれた結美さんには感謝だな。あ、結美さんってのは結衣菜の母親の名前だ。
「皆には言うの?」
「いや、煩いから黙っていた方がいいかもな」
「でも先生には言おうよ。私の住所変わるわけだし」
「あ~、そうか。そうだよな」
学校からの手紙や輸送があったら結衣菜の物は届かなくなるもんな。
「・・・・・・ってちょっと待て。学校側に知らせるってことは、いろいろと先生達に説明しなきゃいけないのか?」
付き合っていて、将来のことも考えているから、同棲を認めてくれって言うのか?それは嫌だぞ。
「うーん、久遠先生に頼めば大丈夫だとは思うけど・・・。今日のホームルームの後に聞いてみる?」
「そうだな。久遠先生が頼りだな」
俺達は学校に近付く前に話を付けると、他愛のない話を始めた。じゃないと同棲のこがばれてしまうからな。既に結衣菜と手を繋いでいる時点で目立ってるし。
☆ ☆ ☆
「おはよう」
「お、おはよう」
挨拶をしながら教室に2人でいつも通りに入る。
「おっす」
「おはよー」
クラスメイトの何人かが挨拶を返してくれた。最初の頃は結衣菜と一緒に登校するとざわついていたが、もう慣れたようで、普通に挨拶を返してくれるようになった。
俺達はそのまま自分の席の方に向かう。
「おはよ。2人とも」
「おう、おはよう」
「おはよ、詩穗ちゃん」
いつもの面子は詩穗以外まだ来ていないようだ。
「ん?結衣菜ちゃん、何か良いことあった?」
「え、な、なんで?」
「いつもよりご機嫌だから」
結衣菜はビクッとしながら、詩穗に聞き返していた。っていうか詩穗の奴、目敏いな。
「そ、そんなこと・・・ないよ?」
「ふーん・・・・・・そうなんだ」
詩穗は何か考えながら視線を結衣菜から俺へと変える。
「ねぇ琳佳君、結衣菜ちゃんと何かあったの?」
「別に」
ここは適当に知らない振りをするのが一番だ。
「この2人、本格的に同棲を始めたようだ」
「「っ!?」」
「へぇ~」
いつの間にか登校していた上北がそんなことを言ってきた。当然のことながら、教室にいる他のクラスメイトもざわつき始める。詩穗もにやにやして俺達を見始めた。
「なんでお前が知ってるんだよ!」
「ほう、本当のことだったんだな」
「なっ!?」
「俺は鎌をかけただけだぞ?音無」
上北はしてやったりという顔をする。
また俺はまんまとはめられたのか。
「ま、俺からとやかく言うつもりはないが」
上北はそこまで言うと、顔を近付けてきて言ってきた。
「避妊はするんだぞ」
「っ!?」
その言葉を聞いていろいろと想像してしまう。結衣菜と詩穗には聞こえていたみたいで、2人共頬を赤く染めている。
「お前な!」
「照れるな照れるな」
「はーい♪ホームルーム始めるよー♪」
そんなこんなやっていると、久遠先生が入ってきた。
もうそんな時間か。そういえば一が来ていないような。
「・・・・・・・・」
いつの間にか一は席に付いて前を向いていた。気のせいかもしれないが、試験が終わってから一の影が薄くなったような気がした。
「今日は先週言ってた体育祭の出場項目を決めちゃうよ。最低でも2つは競技に出てね」
その言葉で教室はざわつき始めるが、意外とすんなりと決まっていく。
っていうか、俺一言も喋っていないのにSASU〇〇以外にもクラス対抗リレーと男女混合二人三脚リレーにも参加が決まってんだけど。
「全部俺が推薦しといたぞ!」
「やっぱりお前かよ!!」
っていうか男女混合二人三脚リレーってなんだ?リレーで男女混合っていいのか?
「男女混合二人三脚リレーとはクラスから男女それぞれ4人ずつ出して行う二人三脚のリレーだ。普通なら男同士2組、女同士2組で別れるのだが・・・」
上北はいきなり説明を始めたと思ったら、俺と結衣菜を見てきた。
「ここは音無と一ノ瀬ペア、俺と鶴野宮ペアと男女ペアを2組作ることで、勝ちを狙いにいく。男が引っ張れば多少速くなるだろう」
「俺達は構わないが、詩穗はいいのか?」
「うん。上北君なら平気かなって。あまり女子とかに興味なさそうだし」
「そういうことだ」
まぁ、詩穗が納得しているのなら俺は何も言わないけど。
「もし何かしてきたらおもいっきり足踏むし」
「・・・・・・・」
詩穗の言葉で上北が固まってしまった。
なるほど。あまり信用はされていないのな。
「ん~・・・取り敢えずは決まったかな」
久遠先生は黒板を見て納得している。普通ならこれを紙か何かにメモしていくはずだが。
「じゃあこれでホームルームは終わりね♪」
久遠先生は誰もメモとか取っていないのに、黒板を消し始めた。
「皆には後でプリントアウトして渡すからね」
久遠先生の頭の中には今のを全てインプットされているようだ。
そして、久遠先生は教室から出て行った。
「・・・りん君、言わないでよかったの?」
「あ」
クラスメイトに即ばれしたからすっかり忘れてた。
「次の授業まで時間ないし、昼休みにでも行こうか」
「わかった」
俺達は取り敢えず最初の授業の準備を始めることにした。




