結奈、ヘブライ国王子と共に、グリーンマイン国へ!
出発の日は、とても良い天気で、私は、ヘブライ国の王に拝謁することになっていた。
大広間には、コルーマン宰相のほか、貴族たちも勢揃いしていた。
私は、王子と共に、王の前に進んで、両手を胸の前に合わせて、腰を落として、お辞儀をする。メイドたちに教えてもらった目上の人に対するお辞儀なのだ。
「そなたが、ブラットの話していた娘か?」
「はい!結奈と申します。」
「結奈!そなたは、我が国に大いに貢献したと聞いておる。これからも王子と共に、我が国を盛り立ててくれ!」
「はい!私のような未熟者には、身に余る光栄なお言葉に、感謝致します。」
「では、ブラット頼んだぞ!」
「陛下!お任せください!良い土産を持って帰ります。」
私は、馬車に乗った。王子は馬に乗って、行くらしい。
私は、王子と同じでなくて、本当に、安堵していた。苦手な馬車に嫌いな相手と、同じ蜜室にいる事には、耐えられなかったのだ。
グリーンマイン国にいる、シャロンは二人の侍従を呼んでいた。
「カーク騎士にダーツ侍従、僕の、我が儘につき合わされたお陰で、君たちには、取り返しが出来ない事をしてしまった。本当に済まなかった。」
「殿下!私どもに、許しを請うなど必要はありません。私も、ダーツも、殿下にお仕えして良かったと思っております。他の奴らは人生を半分終わってます。私たちは、結奈様に助けていただいたお陰で、これからの未来を楽しめるのですから、幸せですよ!ダーツ、そう思わないか?」
「はい!これから好きな女を見つけて、良い家庭を作ります。結奈様には、感謝しております。」
「ありがとう!僕は、いい友人を持っていたのだな。」
「殿下!私どもは殿下に仕えるものです。友人では、勿体無いお言葉です。」
「僕は、君たちの事は、一生友人として、付き合うつもりだ。そこで、友人として、君たちに頼みたいのだ。」
「殿下!私達に何なりとお申し付けください。」
「カーク!殿下と呼ぶのは、やめてくれないか。俺の事は、シャロンでいいよ。」
「それでは、結奈様と同じではないですか?愛称でお呼びするのは、結奈様一人ではないでしょうか!失礼な事を言いました。」
「可笑しいな!結奈には、最初から愛称で呼ばせていたのだな。呼びにくいだろうが、シャロンリップで構わないか。」
二人は、戸惑いながらも、どこか誇らしげに、うなずいていた。
「話が本題からそれてしまった。結奈の事を、陰ながら守ってくれないか。俺は、動いて見つかれば、結奈事態も危険なことになる。本当は今直ぐにも、行きたいのだが・・・」
「分かりました。私達には適任ですね。顔を知っている者も少ないでしょうから、潜り込むのは、容易いかと思います。命に代えましてもお守りします。」
「ダーツも、結奈様をお守りする大任を任されて、嬉しいのですよ。そうだろ?ダーツ!」
「カーク!照れるじゃないですか。カーク様だって、同じではないですか!私達は結奈様が好きなのです。」
「友人ではあるが、結奈だけは、いくらお前たちでも、譲る事はしないからな!」
「俺達に、嫉妬してらしゃるのですか?」
「そうだ!俺は嫉妬している。笑うがいいさ!今の俺は、冷静さに欠けているのだ。」
「私は、今の貴方が、格好いいと思います。」
「君たちが、表立って警護はできないだろうが、陰ながらも結奈の側に、いてくれると思う
と安心していられる。頼んだぞ!」
「はい!シャロンリップ様も、どうぞご無事にいらしてください。」
二人は、人知れずにカーマインの屋敷から、いなくなった。
結奈は、ヘブライ国に作ったトンネルを、王子と同じ馬車に乗って進んでいた。
グリーンマイン国に入って、2日後にようやく、宮殿に到着した。
私には、ヘブライ国が、宿泊する建物に案内されて、3階にある一つの部屋に着ていた。
私は部屋に落ち着くと、気持ちが沈んでいく。
シャロンの気持ちも考えないで、ヘブライ国の王子と来てしまったことを、いくら計画の為の芝居だとしても、シャロンは、どう思うのかが心配だった。
ブラット王子は、忙しいのでここには来ないが、私の周りには、見張られている。
コルーマン宰相の、手配なのだ。私の事を疑っているので、愚かな行動は出来ない。
ブラット王子は、私を、舞踏会の夜に紹介するつもりだ。
決行は舞踏会の夜に間違いはない。
私は、皆を信じてその日が、来るのを待つことにした。
シャロンにもロナルドにも会えないまま、舞踏会当日となり、私の周りには侍女たちが、数人やって来て、早めにお風呂に連れていかれ、二人掛かりで、洗われる。これだけは嫌だ!それからは、化粧に、髪をまとめられて、次は、ドレスを着せられる。
これでは、私は、侍女の着せ替え人形だ。
ようやく支度は終わり、外は夕闇に染まり始めている。
ブラット王子が、私を迎えに来た。王子にエスコートされて、宮殿の大広間に出向く。
大勢の視線を浴びて、その中を王子にエスコートされて、グリーマイン国の国王に拝謁した。
「この度は、エンドリア殿下とオース国、マリー王女様のご婚約を心よりお祝い申し上げます。」
「私も、エンドリア殿下にあやかりたく、此処に控えます、結奈と結婚を考えております。結奈は、ヘブライ国を救ってくれました。彼女の知識は、何よりも掛け替えのないものです。」
「ブラット王子にも、春がきたようで何より、今晩は、無礼講といたすうえ、存分に楽しまれよ!」
「ありがとうございます。」
私は、めまいがしそうなくらいに、緊張していた。
喉の渇きを覚えたので、側にいる侍女に頼んで、お水を持ってきてもらう。
そこへ、都合よくお盆にお水を載せて、持ってきてくれた。顔に見覚えがあった。
そ知らぬふりして、お水を貰う。ナフキンをもらい口元を拭うふりをした。
手の中にあるナフキンを胸にしまい込んだ。
私は、シャロンからのメッセージだと、本能が告げる。
少しでも、早く読みたいのに、ブラットは、私を放そうとはしてくれなかった。
お盆にワインを載せた、侍従が私のドレスにワインをこぼしたのだ。
「申し訳ありません!どうぞ、お許しください!」
「お前は、誰のドレスを汚したのか、分かっているのか!結奈は私の妃となるのだ。
私が、王に代わって成敗してやる!」
「ブラット!こんなドレスの1枚、2枚などブラットなら、気にしないでしょ!貴方は、私とドレスとどちらが好きなの?」
「もちろん!結奈に決まっているだろ!」
「だったら、もう怒らないで!エンドリア殿下の婚約披露に水を差してはいけないわ。」
「私は、着替えをします。少しだけ、待っていて下さいますか?」
「離したくはないが、仕方がない、早く戻っておいでよ。」
私は、微笑むと、侍女と一緒に、広間を出た。
広間からヘブライ国の宿泊している、建物までは、長い廊下を進むことになるのだ。
「足が、痛いのよ!靴が合わないのね。貴方一人で、靴とドレスの変わりを持ってきて、私は、この部屋で待っているから、お願いね。」
「しかし、それは出来ません。おひとりにさせるなと言われておりますので。」
「コルーマン宰相でしょう!あのお方は、本当に心配性なのね、私は、元はグリーンマイン国にいたでしょ!だから、この国の人には、恨まれていると思い込んでいるのよ。心配しないで、これでも、魔女の弟子なんだから、大丈夫よ!それよりも、早くしないと殿下を待たせることになる方が、大変だと思うわよ。」
「では、結奈様、この部屋からは出ないでくださいね。」
「分かっているわ!足も痛いし、動けないわよ。靴を忘れないでね!」
侍女は、私を残して、部屋の方へ戻って行った。
私は、部屋に誰もいないことを確認してから、ナフキンを取り出して、広げてみた。
やはり!シャロンからの手紙だった。短い言葉だけど、私の事を心配しているのが、分かった。私は、シャロンの思いは分かっていた。なぜなら、シャロンの侍従の二人が、私の事を
絶えず守っているのだと知っていたから、一人ではないと、いつも貴方が側にいてくれる様な気がして、心強かった。私も、貴男に逢いたい!




