結奈!ヘブライ国王子のてに!
結奈のいる所までも、その噂は広まっていた。
私は、いよいよ佳境に入ったのだと思った。これは、シャロンが考えたシナリオだ。
グリーンマイン国は、受け入れ態勢ができたのだ。あとは、敵を呼び出す作戦なのだ。
シャロン、私も、準備は出来ているわ。
私は、自分が怪しまれないように、荷物と一緒に、グリーンマイン国に行かなければならない。そのことだけが、解決できていない。
数日後、結奈は思いもしない事態になってしまった。
よその村から来た人に見つかってしまい、城の警備に通報されたのだ。
城の警備が、直ぐに来て、逃げる間もなく、捕まってしまった。
ケンダース親子は、無事助かったのは、良かった。今回の件は、あの親子に任せておけば支障はないはずだ。
私の事を心配する親子に、私は、暗号を歌いだした。
「黒いカラスは、必ず、東の空へ飛んでいく。
ひな鳥たちよ!お前たちは、それぞれ餌を持ち、大空へ飛び出しなさい。
貴方たちは小さな鳥だけど、心配しないでね!母鳥はいつも、側にいるわ。」
それ以上、ケンダース親子は、何もしないでいてくれた。
今は、私の事より、前を向いて進んで欲しい。皆も、無事でいて、また笑って会いましょう。私は、この大陸を、御使いに頼んだと言われる神様の事は知らない。
だけど、今は、その神様に手を合わせて祈っている。国の者の幸せをお助け下さいと。
三日かけて、ようやくヘブライ国の宮殿に着いた。
私は、牢屋にぶち込まれると覚悟をしていたが、メイドに連れられて、豪華な部屋にいる。
四人のメイドに囲まれて、バスルームに入れられた後には、化粧台の前に座らされて、これでもかと思うほど、磨き上げられている。
ドレスを着せられて、私はそれだけで疲労困憊なのだ。
私は、そのあと、大きなドアの前には、両側に警護騎士立っている部屋に、行かされた。
中から、侍従らしきものが、私に、入るように案内する。中には、豪華なソファに座る男がいた。(馬鹿、王子だ!)
「結奈と言ったな!良く、俺から逃げ出したものだなあ・・まあ、お前を逃がした者の処分は、結奈!お前次第だ。私が言う事は、賢いお前の事だから、言わずともわかるであろう。」
「私には、何の事を言われているのかは、分かりません。チンパンジーの脳しかないのです。殿下の言われることは理解できません。」
「ははは・・!エンドリアや宰相の息子まで、お前の虜になったと聞いたが、実に興味深い!お前のような女も、側に置いておくのもいいだろう。」
馬鹿王子は、私の側に来ると、私の手をとりながら・・・・
「お前は、こうしてドレスにみを包むと、他の女にない魅力がある。綺麗だ。私の者になってくれ。そうすれば、お前の望み通りにしようではないか。」
「地位、宝石、金、お前が望みとあれば、王妃にしてやってもいい。」
私は、思いついた事を試す事にする。
「では、この大陸の王妃にしてくださいますか?私は、こんな小さな国一つでは満足できません。私は、此処より数倍大きな地球で育ちました。
それを下さると言われるのなら、その時には、考えます。」
「お前!本気で言っているのか?」
「本気?地球では、こんなドレスや宝石など、いつでも身に着けられるのよ!馬になど頼らず、一人で運転して、何処までも行けるし、こんな不自由な生活はとても我慢は出来ないのよ!私の知識は、王子ならご存知でしょう?」
「王子の気構えを、見せて戴いたら、その時は、この身も、私が持つ知識も、貴方の者になるはずです。」
「王子!私は、長い道のりで疲れています。失礼します。」
馬鹿王子は、何も言わずに、結奈を部屋に戻してくれた。
私は、部屋に戻ると、メイドに頼んで、ドレスを脱いだ。
疲れたから休むと伝えて、メイドを下がらせる。
ドアの外には、二人の警護の者が張り付いている。外へは、逃げられない。
これから自分が、出来る事を思案した。頭の中はシャロンの姿で一杯なのだ。
(シャロン!私は貴方の側に行く事が出来るの?逢いたい!)
結奈は、三日間軟禁状態のまま、部屋で過ごしていた。5月10日までには、後半月もない。私は、段々と焦りだしてきた。王子からは何も、言ってこなかった。
少し、大きく出過ぎたのか?不安になる。
こうなったら、ソフィーナポーテに頼む?駄目よ、彼女は、他の所を守ってもらっている。
こちらに来ては、あちらに隙を作る事になるそうなれば、大打撃を受けるのは必然なのだ。
私は、ここの王子を、甘く見ていた自分自身の失策なのだ。
では、王子の言いなりになって、王子の者になる?そんな事は絶対に嫌だ。
自分は愛するシャロンにも、清い身をあげてない!そんなことになったら、二度とシャロンには、逢うことは出来ない。
私は、マイナス思考に落ちていた。
翌日、私の部屋に、王子がやってきた。
「結奈、私は本気でお前の事が好きになったよ!お前には、これからの私がどうなるのか、見せてあげるよ。」
「どうするつもりなの?」
「結奈でも、まだ言えないのだ。ただ、結奈にも、私と一緒についてきて欲しいのだ。」
「どこへ?」
「グリーンマイン国の王子が、オース国の王女と婚約するそうだ。
我が国にも招待状が来ている。王の代わりに私が、国賓として行くことにした。
結奈は、あいつ等に会いたいのか?」
「そうね、少しは、お世話になったことは有るから、お祝くらいは、伝えるべきなのかな?お祝いのメッセージでも送ろうか?」
「本当に、それだけ?気持ちはないのか?」
「何よ!私が会いたいと思っていたの?」
「グリーンマイン国の人は、世話をしてやったのに、他の国へ行った女の事など、今更気にしないわよ!」
「私は、結奈を是非とも連れていきたいのだ!あいつらの顔を見てみたいのさ、結奈が、最終的に誰の者になるのかを見せつけてやりたい!」
「私は、嫌よ!見世物ではないわ!」
「行かないわ!」
「結奈!お願いだから一緒に付いてきてくれ!これでも苦労したのだ。最後まで、コルーマン宰相は反対していたからね。」
「だったら、尚更、私はいかない方がよいのでは?」
「もう承諾は取った!三日後に行く予定だから、準備をしておいてくれ。」
私は、思わない方向に事が動き出して、喜びのあまりに、取り乱しそうな気持を抑える事と、冷静さをキープすることは苦難なことだった。
私は思った。やはり、コルーマン宰相には、隙を見せてはならないと。最後まで、気持ちを引き締めて取り組まないと、コルーマンは何を考え、どんな手を打つのか、解らない。
手強い相手だと、心を読まれないように用心をしようと思った。




