シャロン!王都に帰還する。
シャロンは、侍従と警護の騎士二人を連れて、グリーンマイン国へ旅立った。
結奈は、ソフィーナポーテさんの、術で、ヘブライ国のトンネルの側に降り立った。
トンネル内は、前よりも頑丈に作られていた。
これなら、大勢の人や馬でも、乗って通れるようになっている。
間違いない、荷馬車や軍馬も通れる。
私は、注意深く見てみると、トンネル内は全部木の枠で作られている。
もしかしたら、敵を混乱させられるかもしれないと思った。
結奈は、心中でマジョリッタにお願いをする。(師匠!愚かな弟子に力をお貸しください!)
私は、ケンダース親子の家に行く。
家のドアをノックすると、マイクが笑顔で出迎えてくれた。
「師匠!何かあったの!父さん!結奈が戻って来たよ!」
「やあ!・・・元気でいたのか?汚いところだが、入りなさい。他の者に見つかると、大変だからな。」
「あの、馬鹿王子の命令で、結奈を見つけ次第、城に連れて来いと、連れてきたものには、報奨金が出ると聞けば、欲の張った者がいないとは限らない。
この村の者たちは、皆、結奈に感謝しているのだ。しかし、人とはかねが入るとなると恩を仇で返す奴も出てくる。気を付けるに越したことはないからな」
「師匠!水の魔女には、会えなかったのか?」
「マイク!ハンスさんに頼んでくれて、ありがとう。ソフィーナポーテさんには、会う事も出来たし、エメリンダさんにも会えたの、そして、大事な人も出会えたわ・・・・」
「それだったら、この危険な場所に戻らなくても・・ほかに何かあったの?」
私は、親子に事の詳細を話出した。
ケンダースは、暫く何かを考えているようだ。
「結奈の話を聞いたら、思い当たる事がある。最近この村の周辺で、軍隊が集められている。あいつ等は、修練だとは言っていたが、兵隊の募集もしているようだ。
そんな事になれば、この村は戦場に巻き込まれる。」
「私が、いけないのごめんなさい。謝罪を受けては貰えないことは、重々承知しています。私は、世界に住む人には、戦争で苦しい思いをしてほしくはないのです。家族や大事な人を失くさせるわけにはいかないの!私の提案に協力してもらえませんか?お願いします。」
「父さん!俺は、この国に生まれたけど、王家の者は何もしてくれたことはなかった。食料がなくて餓死で死んだ者。流行り病で、大勢の人がなくなっても、援助はなかった。俺は、今までは、世の中はそんなものだと思っていた。でも師匠に会って、違うと思ったのだ。俺は、師匠に協力するよ!」
「マイク!格好いい所を見せるなよ!親の見せ場がないではないか。結奈!俺達に出来る事があれば、是非やらしてくれ。俺達の村だ、結奈が作り上げた温室や温泉もある、水車小屋だってある。水路やそれを荒らされてたまるか!」
結奈は、自分の愚かしさに沈んでいた気持ちが、軽くなった気がした同時に、涙が溢れてきた。(マジョリッタ、私のやって来た事は、少しは役に立っているの?進んでもいい?)(結奈!大丈夫だ。もうお前さんは一人ではない。思った通りに進めばよい)
結奈は、マジョリッタの声が聞こえたように思えた。
それからの私達は、計画を話し合い、それぞれの遣るべきことを始めだした。
私は、人に見つからないように、マイクの部屋で、火薬を考案している。
それをマイクが作る。
ケンダースも信用のある仲間と一緒になって、計画に沿って進めている。
シャロン一行も、ようやくグリーンマイン国へ着いていた。先ずは、カーマイン宰相の屋敷を訪ねていた。
ロナルドが、対応していた。
「シャロンリップ殿下の、消息をお知りとか?殿下と貴方の関係を、聞かせては貰えないでしょうか?」
「関係と、言われても言いようがないのだ。私自身がシャロンリップなのだから。」
「まさか!どう見ても、20代ですよね。殿下がもしも生きておられたのなら、40代後半になられている筈。馬鹿にするのもいい加減にしてください!」
「信じてもらえないのは、仕方がない!クレスターは息災か?クレスターとは幼馴染だ。
君の母親の名前はソフィーナなのかい、クレスターの一番のお気に入りだったから結婚したのだな。」
「ロナルド!俺達には時間があまりない、ヘブライ国は我が国を侵略するつもりだ。結奈は、自分がトンネルを作ったせいで、ヘブライ国を有利にさせた、原因を作った状況を悔やんでいる。
ヘブライの宰相とダンガリー伯爵はつながっている。
我が国の情勢は、ヘブライ国に筒抜けなのだ。
対策を考えなくては、我が国は滅ばされるだろう。
クレスターに、至急会って話がしたい!ダンガリーには、内密にしてくれ、知られては困る。結奈の命も危険になる。」
「結奈!結奈は元気なのですか!結奈と貴方はどんな関係なのですか!」
「俺は、氷の魔女に猫にされていた、シャロンなのだ。長い間、魂を抜かれていた、愛玩の猫として生きていた。死んでいたのかもしれない。俺は、結奈と出逢って初めて、生まれ変わったのだ。ここにいる二人も同じなのだ。親も友達も20年以上違えば、失くしたのも当然だろう。」
「俺は、結奈と二人の時だけ人として、話をする事ができた。そして結奈は俺にとって愛しい人へと・・・すまない、ロナルドも結奈の事を思っていたのは、分かっていたが俺は、結奈しか手にしたいものはないのだ。」
「では、この国の継承は放棄なさると!」
「当然だよ!今更、ヘンリーの変わりをするつもりもない!ヘンリーもエンドリアも良くやっている。俺が王となったら、結奈は逃げ出す。王になる変わりはいるけど、結奈の夫の地位だけは、誰にも渡したくないのだ。
それに、結奈に目を離したら、今度は何をしでかすか分からないだろ!俺は結奈の側でいつまでも、結奈の事を見ていたいのだよ。」
「分かりました!俺も、あきらめたのではないですよ。いくら殿下が、恋敵でもね!結奈は実に魅力的な女性ですから。」
「至急、父に連絡を入れます。こちらも色々手段を、考えなければなりませんので。」
シャロンは暫くの間、結奈の思い抱きながら、カーマインの屋敷にいた。
夜半、シャロンのもとに、3人の来訪者があった。
「兄上様!ご無事で何よりでした。兄上様のお帰りを待ち望んでおりました。」
「ヘンリー!すまない。俺の勝手な行動が、父上やお前たちを心配させてしまった。」
「シャロンリップ殿下、生きておられたことが、こうしてまた、お会いすることができて、感無量で御座います。」
「クレスター!お前を老けさせたのは、俺のせいだな、済まなかった。いい年して、泣くなよ。」
「泣いてなんかおりません!これは嬉しい時に出る水です。」
「お前は、相変わらず、偏屈ものだな、可愛げがないぞ!」
「殿下は、あの時のままですね。」
「猫にされていたお陰で、年は取らなかった。侍従の二人もあの頃のままなのだ。それはそれで、二人には苦痛をさせてしまった。」
「叔父上様!結奈は、ヘブライ国に置いてきて、大丈夫なのですか?」
「エンドリア!君とは、見た目は変わらないから、叔父と呼ばれるのは、あまり嬉しくはないので、シャロンでいいよ。結奈には、強力な人達がいる。彼女は知恵も勇気もある。心配はないだろう。」
「しかし、結奈は女性なのですよ。そんな彼女を、敵陣に一人置いてくるなんて、考えられない!」
「エンドリア殿下!シャロンリップ殿下を責めないでください!今一番辛い思いをされているのは、殿下なのです。それに結奈の事です、どんなに殿下が説得されても、残られたのでしょう。結奈は、自分から責任を、放棄するような事はしないでしょうから。」
「私達は、そんな彼女だから、魅せられてしまうのです。」
そのあと、これから起こるであろう事に、最善な方法をとれる様に対策を、時間が許す限り夜が明けるまで、話し合いをした。
数日後、グリーンマイン国の王子様の婚約が発表されて、国内外にお触れが出された。
エンドリア殿下とオース国のマリー王女との、婚約披露舞踏会が開かれる。
期日は5月10日
参加国は、オース国。ヘブライ国。サウス国の国賓。




