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異界での私の新人生  作者: 木瓜乃ハナ
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逃亡先は、オオカミに連れられて?

結奈が逃げたトンネル内では、ブラッド殿下にコルーマン宰相とケンダース現場監督に現場で働く者たちが、不穏な空気に包まれていた。

「結奈を見たものはいないのか!」

「俺たちは、仕事をしておりましたので、結奈様らしき人は、見かけませんでした。どうだ!皆、見たか!」

周りの人達は口々に、否定をしている。殿下は、不愉快を表している。

「もういい!護衛騎士を集めろ!いいか!何としても、結奈を見つけて私のもとに連れてこい。いいな!」

「宰相、私は、明日宮殿に戻るこんな寒い所は、私のいる場所ではない!」



私と、ハンス爺さんの旅は、野宿生活をしながら、2週間かけてサウス国に、辿り着いた。サウス国に入って3日目に、私とハンス爺さんとの旅は、終わった。

「結奈、左の道をいけば湖がある。湖の辺りに魔女の住む館があるいう噂だ。

本当に行くつもりかね。噂だから確実に、そこに居るのか誰も知らないのだ。一人で、大丈夫か?」

「ハンスさん、ありがとうございました。大丈夫です!心配しないで下さい。これでも私も、森の魔女の弟子なのですから、何とかなります。」

「ハンスさんも、気をつけて帰って下さい。マイクに宜しく伝えてください。」


私は、ハンスさんと別れて、森の中へ、歩き出した。手入れされてない森は、歩きにくい。

私は、目を閉じて心の声で、森に訴える。

(森よ、私の願いを叶えて、水の魔女の所へ案内して!)

私は、目を開けて、目の前に広がる光景を見た。木々たちが道を開いている。

「森の精霊たち、ありがとう!」

私は、木々で作り出された道を進む。夕暮れになると、道はわかり難くなった。

野宿をしなければならない。

ハンスさんに戴いた、パンを水で流し込み、休む事にした。

月明かりの下で、厚手のフードをかぶり、枯草に埋もれて、目を閉じる。

頭の中に浮かぶのは、シャロンの姿だ。

シャロンと離れてからもう直ぐで1年になる。

(氷の魔女ではなく、私に会いに来て欲しかった。側で、抱きしめていて欲しい!身も心も寒いよ!逢いたい、シャロン!)

私は、歩き疲れていたために、眠りにつく。


私の、周りの騒がしさで、眠りから覚める。多種の生き物に囲まれている。咄嗟に体を起こして、身構える。どうしていいのか判らないけど、生き物たちには、敵意は感じない。


一匹の大きなオオカミが、私の前に来た。私の、様子をうかがっているのだ。

私は、動物の言葉は話すことも、聞く事も出来ないが、心の中で、話しかけてみる。

(あなた達の領域に踏み込んでしまって、ごめんなさい。私は、水の魔女の所へ行きたいの、あなた達には、害を与えるつもりはないから、直ぐに行きます。通してくれませんか?)


オオカミは、一声泣くと、周りの生き物達は、私に道を開いてくれた。

私は、お礼を言って、歩き出そうとしたら、オオカミが私のマントの裾をかむと歩き出した。(えっ!何!何処に)

私を、何処に連れていくつもりなの?今逃げ出しても直ぐに、捕まると思い、素直についていく。


森の中が、夕やみに染まり始めた。その時、オオカミは結奈を開放する。

他の生き物たちが、一斉に動き出す。私は、唖然として見ているしかなかった。

みるみるうちに、枯草の山が出来ている。

(これは、私の寝る場所を作ってくれたのだ。)

(ありがとう!とても寝心地が良さそうね)

私は、その上に座った。自分の膝の上何かが、落ちてきた。

真っ赤に熟した木の実だ。鳥たちは、私の頭上で飛び回っている。

(私が、食べてもいいの?あなたたちも、おなかがすいているでしょう?(

私は、ハンスさんからもらった、パンを袋から取り出して、一口サイズにちぎって、周りに置いてやる。

(少し、固くなっているけど、おいしいわよ!食べてみて!)

私は、鳥達の行為に甘えて、赤い実を食べた。

甘く酸っぱくて、とても美味しかった。

人間は、狼を、みたら直ぐに襲われると思い殺す。他の動物だって同じだ。

人間以外の生き物たちは、自分のお腹が満たされれば、襲うことなどしない。

自分に危害を受けそうなとき以外は、無暗に殺戮を侵さないのだ。

人間だけが、無暗に殺してしまう。食料だけではなく、自分が楽しむ娯楽だけで、害のない者を殺してしまう強欲だ。

私は、無知なのだ。

この世界に来たことで、今まで気づかなかった事を思い知らされている。

物が溢れている社会で育った自分は、何と多くの犠牲の上で生活をしていたのだろう。

私は、自分の事が恥ずかしくなった。

日本には、賞味期限切れのゴミが何万と廃棄されている。

それを考えると、この世界は、シンプルな生き方をしている。

その日の、食べれるだけのものしか取らない。

日本でも、昔はそうだっただろうが、徐々に人間社会は狂いだした。

日本が、戦争をしていた時は、満足にお腹を満たす事は、できなかった。

その、反動が自然と豊富に物を手に入れることが、一種のステータスとなり、次から次へと新製品が売り出されていく。

一度飢えを経験した者は、どれだけ手にしても渇きは潤わないのではないか。

だからこそ、この世界の人たちには、戦争も飢えで苦しむことのないようにしなければ、私たちのような未来が待っているのかもしれない。

私は、絶対に、この世界には、自分のいた世界のようになって欲しくはないのだ。

私は、枯草の匂いに包まれて、眠ってしまう。・・・・・・


今日は、雪が降りだしている。

私は、逃げ出すことは諦めて、オオカミの後ろをついていく。

道は、坂道になっており、坂では雪で滑りやすかった。

足元に注意しながら歩いていたが、足が滑り崖から、落ちてしまった。

何とか、転げ落ちるのが止まり、自分を確かめる。

足には異常はない、しかし体のあちらこちらが痛い!崖の上を見ても、登れそうもない。私は落胆していた。

寒さと、空腹の為に、体力の消耗が早い。シャロンの事が気にかかる。

相談もせずに自分勝手な私を、シャロンは許してくれるだろうか?死ぬ前にもう一度だけでいいから会いたい・・・・・・結奈は瞼を閉じた。


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