結奈!難敵に、ヘブライ国より逃亡する!
「結奈殿、ようやく、トンネルが開通しましたな。」
「コルーマン宰相様、来ておられたのですか?はい!これで、グリーンマイン国からの援助も届くようになるでしょう。」
「ほう?君が、今話題の女神かな?誠に珍しい髪と目をお持ちだ。」
「結奈殿、こちらはヘブライ国王太子ブラッド殿下です。」
「初めまして、結奈と言います。」
「結奈と申したか、グリーンマイン国の援助と言っていたが、まさか軍隊が来るのではないのか。お前は、我が国に油断させて置いて、侵略する計略ではないのか!」
「殿下!私が、そのつもりでしたら、こんな面倒な事はしません。この冬で決着がつくはずです。貴方の民は飢えて餓死をしているでしょう。」
「生意気な娘だ!でも、私は気に行った。磨けば美しくなるであろう。コルーマン!結奈を宮殿に連れていく!手配を頼む。」
「殿下!無謀です。私は、嫌です!勝手に決めないで下さい。」
「結奈を他の国でも、横取りされては、国の損失になる。私の側で可愛がってやろう」
私は、コルーマン宰相に、訴えてみたが、宰相は首を横に振り私から目をそらした。
宰相の裏切り者!信じていた私が、馬鹿なのだ!お人好しな自分に腹が立った。
私は、これからどうしようかと思案していた。そんな私の側へマイクが来て、話しをしだした。
「師匠、あいつから逃げたいの?」
「マイク、仮にも自分の国の殿下に対して、あいつはないでしょう。」
「じゃ!師匠は、彼奴のことが!師匠も権力が好きなのか!見損なったよ!」
「私には、やらなければいけないことがあるの。だから、ここから逃げ出したい!トンネルが出来上がれば、グリーンマイン国からの、食糧も届く予定だから、そうすればこの冬は、民は飢えなくて、冬は越せる。私は、安心してあいつから逃げられる。でも、私には逃げる手立てがないの。」
「師匠!俺に任せておけよ。準備しなくてはいけないな。」
マイクは、そう言って、どこかに行ってしまう。
私も、これからの、計画をケンダース親子に、頼むためにノートを広げて書き出した。
その日夕方に、マイクが私の側にきて、逃亡の計画を話した。
私は持っていたノートをマイクに渡して、お願いをする。
ノートの中にはロナルド宛ての手紙もある。
夕食が終わり、私は、温室の様子を見るために外に出た。
所々に殿下の警護をしている騎士の姿が見張っている。
騎士たちに労いの言葉をかけながら、温室の建物内にはいる。
この建物には、もう一か所入り口があるのだ。これは、建物を建てた人しか知らない。
私は、スカートを脱ぎ、ズボンに履き替える。マイクが用意していたものだ。
帽子をかぶりその中に髪の毛を入れたら、何処を見ても、少年にしか見えないだろう。
まして初冬の夕暮れ時は、薄暗いので見分けがつかないはずだ。
私は、裏にある入り口から外にいき、トンネルとは反対方向に向かって、歩き出した。
目印は大きな木だ。大きな木は水車小屋の近くにあった。
木の陰に隠れて私は待っていた。トンネルの方から、慌ただしい声がする。
そちらに気を取られていた私は、ひとりの老人が来ていたのが分からなかった。
「結奈さんだね?わしは、マイクから頼まれたハンスという者だ。」
「ハンスさん、宜しくお願い致します。。」
「いいかね、水車小屋まで走るぞ!」
ハンス爺さんは駆けだした。私も、遅れないようについていく。小屋の後ろには、荷馬車が用意してある。私は、荷馬車の上で荷物の間に隠れて乗った。
何処へ、行くつもりなんだろう。私は、ハンス爺さんに、行先を聴いてはいないことを思い出した。
「ハンスさん、何処へ行くのですか?」
「しっ!声を出すな!」
私は、ビックリして、固まっていた。ハンス爺さんの鼻歌が聞こえてきた。・・・・・
どの位時間がたったのだろう?毛布の隙間から外を眺める。満月だ。
空には無数の星が光っている。不思議だ、この世界にきてから、夜に星を眺めることなど無かった。私は、星がこんなにも多いとは、思いもしなかった。
(星が降るとはこんな情景なのね)私は、このような状況なのに、夜空の美しさに感動をしていた。荷馬車が止まった。
「結奈さん、もう大丈夫だよ。ここまでくれば見つかるまい。」
「ハンスさん、、ありがとう。この馬車はどこに行くのですか?」
「お前さんが、行きたい所へ、載せていってくれと頼まれたのだが」
「どこに、行くつもりかね。」
私は、突然の事で考える暇がなかった。氷の魔女の所へシャロンを探しに行きべきなか?今の私では、氷の魔女の所へ行っても、太刀打ちできない。ではどうするか?
そうだ!一人いる!水の魔女!彼女なら、何か知っているのではないか。そんな気がした私は決断した。水の魔女の住むサウス国へ行こう。
「ハンスさん、サウス国へは遠いですか?」
「サウス国は、ここから2週間はかかるよ。お前さんは、サウス国へ何しに行くのだね?」
「私は、水の魔女の所へ行くつもりです。ハンスさんは、何か魔女について知りませんか?」
「わしも、あまりよくは知らんからの、何でもこの大陸全体には4人女神がいたと、その女神たちが、それぞれの役割を持って、この大陸を守ってくれていたのだと。」
「わしも、実際に見たこともないので、よくわからない。」
「ハンスさん、連れて行ってくれますか。」
「マイクは、本当に、お前さんの弟子なのだな。師匠はサウス国へ行きたいから頼むといわれてな、俺に任せたのだよ。わしは、サウス国へは、月に一度荷馬車で荷物を運ぶ仕事をしている。わしも、ケンダース親子には、色々世話になっておる。あの親子の頼みだ、断るわけにはいかないのだ。」
「それに、お前さんは、俺達には、女神みたいなもんだ。わしも、お前さんの役に立つ事が出来るのは光栄なのだ。」
私とハンス爺さんの旅は始まった。




