私の、予知能力が復活する?
中央の城に戻ってきた時、突然声を掛けられる。
「君は、何処から来たのだね?珍しい髪と眼を持っているのだね。」
私は、声を掛けた人物を視た。
(えっ!!)この異界に来て初めてこの人物の未来を視てしまった。
この男性の周りで沢山の人が炎に巻かれて死んでいく光景だ。
男性自身は炎には巻かれてはない。
同憂事、今までその人自身が不幸な事故や死が見えていたのに、不思議だった。私は動転していた。
久しぶりに見たせいで、気分が悪くなった。
「お嬢さん?顔色が悪いようだ。大丈夫かね?誰か呼ぼう。」
その男性はすぐさま、侍従を呼び、メイドに知らせてくれて、私は部屋に戻った。ユリアさんが私を部屋着に着替えさせて、温かいカモミールのお茶を用意してくれた。シャロンが心配そうに、私の膝の上で大人しくしている。
「結奈様、少しお休みになりますか?」
「少し、休みたいので面会はお断りしてください。ユリアさん私を、ここへ連れてきた人は誰ですか?」
「ダンガリー伯爵の侍従のかたです。」
「ありがとう。後でお礼を言わなくては、ダンガリー伯爵様は、この宮殿にお出でになるのですか?」
「公務がある時はこの宮殿の執務室にお見えですが。
ご用が無いときはお屋敷に戻られています。
伯爵様は、国王の信頼が厚い大臣のお一人ですので、大抵は、自身の執務室におられるようです。
お礼がしたいのでしたら、また御案内します。
今日は、お休みください。」
「そうしますね。ありがとう」
ユリアさんが、寝室から出て行った。
「結奈、大丈夫か?何が在ったのだ。」
「シャロン!私、こちらへきた時から今まで遭った人では、嫌な物は見えなかったの。でも、ダンガリー伯爵の眼を視た瞬間。
また嫌な光景が見えてしまったの!どうしてか解らないわ?」
「ダンガリーの嫌な事って、どんなことなの?嫌でなければ俺に話をして!」
私は、さっき視た光景をシャロンに話をする。シャロンも思案している。
何か思い当たる事があるのだろうか?私は心配になった。
もしシャロンに何かあれば自分は、異界で一人になってしまう。
思うだけで自分の胸の鼓動が早くなる。
「シャロン!何か?思い当たる事があるの?私にも、話してね。仲間でしょう。自分一人で解決しようと思わないで、お願いシャロン!」
「結奈、俺は必ずお前だけは、守ってやる。絶対に、一人にはしないよ。他に不審な事はなかったか?大事な事だ、少しでも情報が欲しい。」
「この大陸で、硫黄が採れる場所はある?伯爵様から何故か硫黄の匂いがしたような・・・・」
「ある!ヘブライ国には、火山がある。今は休火山だが、結奈!へブライ国は炎の魔女・・・ダンガリーは魔女と俺の父との子だ。もしかしたら、何か恐ろしいものを作っているのかも知れない!」
「あっ!もしかして?この国には、まだ火薬は無いよね。」
「何だ!その火薬は?」
「火薬があれば、町や村其ればかりではないわ!このお城でさえ吹っ飛ばせる威力があるの。火薬に火を付けてそれを使えば、大勢の人が犠牲になる。
止めなければ!シャロン!この大陸が火の海になるのよ!」
「へブライ国が、どこまで進んでいるのか?確かめなくてはいけない。」
「俺は、火薬が何で出来るのか?作り方も知らない!これでは確認出来るわけがない!」
「シャロン!私、火薬の作り方なら知っているわよ。」
「結奈!君・・・・そんな危険な物を・・・どうして?」
「早とちりしないでね。私の居た所は、シャロンも少しは知っているでしょう!文明はここより進化している。
火薬を使用して爆薬を作り殺人兵器を作り沢山戦争もしてきた、今では原子爆弾まで持っている国もあるの。
でもね、それは地球にとって最終兵器なの、ボタン一つで、ありとあらゆる所を一瞬にして破壊してしまう。
それを使用したら人類は滅びるわ。
優位にたとうとする人間の強欲は、解っていても廃棄出来ないのよ。
他の国への抑止力だけにもつ。
そんな不均衡な世界にいたの。
だからこの世界だけは、そんな脅威を持って欲しくはない。
私は学校で教えて貰ったのよ。
可笑しいでしょ!そんな兵器になるような物を勉強するなんて、でもだからこそ、危険なもので、人間にとって不幸な原因になるような物を、興味では作らない。
それを知るためにも、勉強をさせるの。
無知では何も得られないから!確かに、火薬は人を殺傷するためにも使われたけど、文明の発展には貢献している。
大きな山を開いて、畑や家等を作り、そして交通を、便利にするために、トンネルを作る際も火薬を使用してね。
火薬も人の使い方で違うのよ。
マジョリッタが話してくれたの、最初文明が違う事に驚いたわ。
だから自分の知っている知識はここでは、持ち込まないで置こうと思ったの。
変わるのが嫌だし恐いでしょ!でも、使い方次第だって。
良い心で使えば良い、悪い心で使えばそれは決して良いものにはならない。
私が良いと思ったら進めばよいと。・・・・・・話が脱線したみたいね。
火薬は硫黄、硝石、木炭・・・・硝石から硝酸カリウムを作り・・・木炭をすり鉢に入れて練り、その中に硫黄と硝酸カリウムに水を加えると・・・だったような?」
「ダンガリーはどこまで発明したのだろう?」
「そうよね。私、へブライ国に行って、調べてくるわ!硝石が採掘されたのなら、多分威力を試すはずだわ。」
「結奈!君を行かせる筈がないだろう!無謀な事は止めてくれ!君は時として跳んでもない事を言い出し、行動するのだから、俺は何時心臓が止まるかと、冷や冷やしている。今度は危険な相手だから、結奈は、大人しくしていてくれないか。」
「シャロン!駄目よ!貴男だって危険なのは、同じなのよ。私も貴男と同じ気持ちなのよ。シャロンは直ぐに居なくなるでしょう。だから、これからは、何処に行くのも一緒にね。シャロン、好き!貴男の事を。」
俺は、結奈の気持ちも、俺と一緒なのだと、俺の事を好きと云ってくれた。
歓喜して、結奈を抱きしめた。もう離さない。
この事は俺たち二人で解決出来るわけがない、ヘンリーやその息子にも関わる事だ。
何より国民の命が架かっている。相談しよう!俺の心は決まった。
逃げてばかりの自分ではもう駄目だ。逃げていては大事な人も失うかも知れないのだ。
もう自分の人生を諦めたりしない。結奈と一緒に生きて行こうと思った。
「結奈!俺は、ヘンリーとエンドリアに話す。氷の魔女の呪いを受け猫として生きてきた真実。
ダンガリーが実の腹違いの兄だと、兄の憎しみでこの国に災難が降りかかるのだと。
協力して助けて欲しいと話をする。」
「シャロン!今は駄目よ!確証がないと理解して貰えないわ。
何か確実な証拠がいるわよね。私が視た事を知らない人に訴えても、信じては貰えないのよ。シャロンも、私の前だけが貴男自身の姿で居られる、私がいくら話しても駄目だと思うわ、何処から来たのかも判らない不審者の云う事など、聞いて貰えないと思うから。
確かな証拠を見つけなければ、二人でヘブライ国に行きましょう。何か在るはずだから。」
「俺がいくら反対しても結奈は、行く気だな。」
私は、頷いた。ここでいくら思案していても、解決出来ない。
敵の懐に入れば何か得る物も見つかるはずなのだ。
(マジョリッタ、私進んでもいいよね)私は、ロナルドだけに相談する事にした。
ロナルドなら何か情報を掴んでいるかも知れない。
宰相の息子だ。なかなかの策士家と私は思っている。
次の日、私は、ダンガリー伯爵様の執務室を訪ねた。
侍従の人に案内された部屋は、シンプルな部屋だが、置いてある家具は、重厚で、贅をつくした豪華な物ばかりだ。
「良く、いらっしゃいました。お加減はもう宜しいのですか?」
「はい。昨日は大変失礼をしました。慣れない場所なので、緊張してしまい、伯爵様の前で、見苦しい姿を拝見させて申し訳ありません。どうぞお許し下さい。」
「結奈さんとお呼びしても構いませんか?」
「いえ!結奈で結構です!私はそんな風に呼ばれる人間では無いですら」
「貴女は、実に正直ですね。やはり国王や殿下がお気に召す筈ですね。」
「紅茶を用意させました。なかなかこの紅茶は美味しいですよ。飲んで視て下さい。感想をお聞かせ下さい。私は元来お茶が好きでしてね、特に紅茶が好きなのです。どうでしょうか?」
私は、一口飲む。ダージリンに似た爽やかな深みと味わいがある、とても美味しい。
「どうですかな?お口に合いますかな?」
「はい!とても美味しいです。何というお茶ですか?爽やかで、香りもとても良く、味わいも深みがあり渋すぎず。美味しいです。」
「ウエサムです。初めてですか?この葉が採れる場所は、農業の作物は育たない荒れた土地にしか出来ません。私は、そんな葉だからこそ好きなのかも知れません。」
「ウエサム!そんな土地でも、こんなに美味しいお茶が作れるのですね。私もフアンになりました。此を沢山栽培出来たら、その土地も生き返りますよね。」
「結奈さんは、面白い考え方をなさる方ですね。荒涼とした土地に、少ないから貴重価値があるのでは無いでしょうかね。」
「私は、貴重価値よりそこに住む人達が、自分達が、荒れた地でも出来る茶葉が沢山採れて、その価値が、この大陸中に広がれば、生活も潤うのではないかと思っただけです。出過ぎた事を言いました。お許し下さい。」
「もう一つお聞きしても宜しいですか?」
「何でしょうかな、私で判ることなら何でしょう?」
「今、一番茶葉が生産量の多い場所は、何処ですか?」
「そうですな・・・サウス国のバッサラという場所が生産量は一番でしょう。しかし味が悪い!粗悪だよ。飲めた物では無い、何故そのような事を聞くのだね。」
「はい、生産量が在っても味に問題があるのなら、そこの茶葉に、ウエサムとブレンドして売り出すのはどうかと思っただけです。すみません」
「結奈さんは、実に興味がある事を考えるものだね。君の知識は何処から来たのだね。」
「私、実は、この大陸の者ではありません。伯爵様はお気付きですよね?
ここより少し進んだ文明を持った国よりきました。
黒い髪に瞳を持った者は、大陸にはいないから。目立ちますよね。
私、森の魔女の弟子をしていました。目立つので匿って貰いました。
でもマジョリッタはこの冬になくなりました。
行く宛もないところを、カーマイン伯爵家のロナルド様に拾われて、今はこうしてお城にも来ることになりました。
人の、運命の一寸先は判りません。私は、もっと自分の知識を確かめて視たいのです。
伯爵様は人脈も沢山おありだとか伺いました。
私を、必要としている所をご存知ではないですか?宜しければ、誰か、紹介して戴けないでしょうか?」
「結奈さん、なかなか図々しいですな?可愛い顔をして大胆な事を言い出す。確かに国王の言うのも正しい。面白い人だ。宜しい!考えて起きましょう!」
「伯爵様!ありがとうございます。」
ダンガリー伯爵の執務室を出た。(ああ~、疲れた。)敵の陣地に乗り込むとは、自分自身呆れている。
部屋に戻ると、シャロンが、心配そうに私の側にきて、柔らかく抱きしめてくれて、私の頭の上に唇を押し当てる。シャロンは辛そうに黙っている。
「シャロン、私は大丈夫だからそんな顔しないで!」
私は、シャロンの唇に自分からキッスした。大胆な自分が、信じられないけどシャロンの落ち込んだ態度を視たら、ついやってしまった。
私は、そんな自分の行動を、後で後悔することになるとは、現時点では、思っても視なかった。




