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異界での私の新人生  作者: 木瓜乃ハナ
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現実社会での私の人生

私、秋月結奈。20才の大学2年生医学部に在籍している。


私には、人には言えない秘密がある。誰にも言えない。

当時5才の時。私は、両親に連れられて、親族の法事に行った時の出来事だった。

私にだけ、他の人には見えない物が見えたのだ。

幼児の私には、判明しなかったが、人が事故に遭う、または死に関する予知だった。

その頃の私は、良い事と悪い事の判断が解らなかった。

皆の前で観たままのことを、話してしまった。

「おじさん、どうして頭から血を出して寝ているの?」母は咄嗟に私の口を塞いだ。

それから、私は母に外に連れ出された。

「そんな事を絶対、人に話しては駄目よ!叔父さんに、話すなんて本当に困った子!」

その時の私は、母に嫌われてしまい、すごく悪い事をしたのだ、駄目な子なのだと思いこんでしまった。

それからまもなく、親戚の叔父は交通事故で亡くなりました。

その場にいた、親戚の人からの冷たい視線が嫌で、小さな子供ながら、自分は異質な者で、他人には気味が悪い子なのだと思いこんでしまった。

その日を境に、私の心は冷えてしまい、。無邪気で明るい自分は、いなくなる。

人の顔を視ないようにいつも、下を向き目線を人に向けようとはしなかった。

根暗な子供となってしまった。


小学校に、入学してからも友達も作らず、前髪を伸ばして伊達眼鏡をかけて、登校していた。

小学生の時は、いつも虐めの対象となり、嫌がらせを受けていたが、親には話せなかった。

私は、周りと同調出来ない異端者扱いだった。

先生も両親さえ、いつもトップの成績なので、問題視されては、いなかった。


ある日、下を向いて歩いていると、突然男の人に接触して、ふと見上げた瞬間に眼が合ってしまった。

その時の光景は、水の中に、浮かんでいる水膨れに膨れ上がった身体。

怖い!ホラーだ!こんな自分が嫌だ!人に合うのが恐怖になる。


翌日テレビのニュースで放映されていた。男性36才自分の子供を助けるために、川に飛び込み助けた後。父親の方が流されて、行方不明となり、数時間後1キロ先で見つかり死亡したと。私は、とても怖かった。

自分にとって、そのことがあってからは、トラウマとして心に残る。


それ以来私は、外へ遊びにも行かず、極力自宅で勉強をする事と、本を読んで過ごした。他の同級生とは、一線を引いて私に関わろうとしないそんな中で、幼稚園から一緒の幸太だけが、唯一人、普通に話しかけて来た。6年の冬、マラソン大会の前日の下校時間前だった。


「お~い!結奈!久しぶりだな!お前相変わらず暗いぞ!元は可愛いのに勿体ないよ!」

「幸太のばか!髪触るな!」

その時、私は視てしまった。体操服を着て、蒼白な顔し救急車に運ばれる幸太の姿を。


「幸太?何処か具合悪いの?もしも少しでも辛いと感じたら、明日のマラソンを中止して解った!約束よ。」

「なんだよ。心配するなよ。大丈夫さ!この俺から健康取ったら何も残らないだろ。それに明日は必ず1等取るよ。

お前には絶対に取れない物をやるから、結奈楽しみに待っていろよな!」

と話すと、私にブイサインをして幸太は笑顔で、家に帰ってしまう。


マラソン大会の日は、どんよりとした曇り空、今にも雨が降り出しそうだ


私は最後のグループの後ろを走っていた。

遠くから救急車のサイレンの音が聞こえてきた。私は自分の鼓動が早くなるのが解った。

嫌だ!今度ばかりは、私の見間違いで在ればいいのにと・・・・救急車のサイレンの音が止まり・・・またサイレンが遠ざかる・・・・・

私は、唯一人の友達の事さえ解っていても、何も出来ずにいた自分が、助ける事を努力しなかった無気力な自分自身を、罵倒し己を責め続けていた。

それ以来勉強もせず、家族との団欒さえ拒否して、何日も布団の中で過ごし不登校になった。


両親はそんな娘を心配して、田舎の祖父母の家に預けた。

そんな状態の私の事を何も言わずに、祖父母は受け入れてくれた。


私にとって田舎の暮らしは、すごい癒しになり、山里での体験が、これからの自分が進む道を教えてくれた。

思春期を、祖父母の知識と、薬草の面白さを知り、有機栽培で育てて、採れた野菜で作る料理。

自然環境の暮らしは、私に、色々な知識を教えてくれた。私には、穏やかに流れる時間が、生きた勉強だった。

3年間田舎で暮らした私は、あることを思い決心をする、医者になることだった。

3年前の、逃げてばかりの自分は嫌だと、幸太のような友人をもう二度と失いたくないと。

両親の元に戻り、医学生に成るために猛勉強を始める。

優等生だった私は、教師や両親からは、期待されていたが、心の中は冷めていた。

周囲の人から、褒められるたびに、私は下を向いて心の中で叫ぶ。

(当たり前よ!勉強と読書するしかないのだよ!)

学友達は私の事を(がり勉!)と一線引いて誰も私に関わろうとしなかった。

そんな状態も私には都合が良かった。

女子の恋バナの話など無縁で、初恋も、ましてや男の子と話した事もない。

自分には、異性を好きになる感情も、ましてや恋愛なんて考えられなかった。

高校2年の夏、進路を決めなければならない。

3者懇談で、母はある有名な大学を進めたが、私は2流でもいいから、家から通える場所にある医学部の道を選んだ。

交通機関で大勢の人に出会うのは嫌なのだ。何時も人通りの無い道を歩いていた。

自転車は特に私には最適なのだ。

自転車で通学出来る、大学の一つ目の理由なのだ。二つ目は、漢方の権威である教授が、お見えになるので、是非とも講義を受けたい。

病院は、病を抱えた人が来る処。人の未来が見えても気にならないからだ。

身体の悪い人なら、私のこの能力が生かせる道があるかもしれない。

そんな動機で入学した理由なのかも知れない。


大学に入学しても、人と関わり合う事は避けていた。

サークルやゼミにも参加せずに居た。

学友は私の事を(気味が悪い。サワコだ)そうだろうと、自分自身も解っている。

能力なんていらない。ましてや人の不幸が(予言)見えるなんて嫌だ!


両親は、私が生まれたとき、人を結ぶ縁になる様にと(結奈)と名を付けたそうだ。名前なんてどうでもいい。人の悪い未来が見える自分には、親が思う反対の人生を送っている。

これが幸せの未来が見えるのなら、今の様な生き方は、しないでいただろう・・・・・・・この世で自分は生活をしなければならない。

自分は周りに眼を、合わせないで生きていくしかないのだ。

私は、これまでに、人の死を見てしまった。来世があるとしたら、死とは無関係な物になりたい。

私は、これからの長い人生を、自分はそうして行くのだと、諦めていた。


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