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エリゼさんのファンタジー世界初作品

回復魔法を修正させて頂きました。


 エリゼ




 アースと別れて息子達を迎えにドリルホーン・ライノクスに戻って来たのだけれど、ひなたしか居ない。


「お帰り」

「ただいま。リンとユエちゃんは?」

「あっち」


 ひなたが指差した北側の森を見ると2人が戻って来た。少し待っているとお互いに顔を真っ赤にしたリンとリンに抱かれたユエちゃんが上がって来た。


「あらあら」

「た、ただいま……」

「……ただいま戻りました……」

「ん、お帰り」

「じゃあ、リンはこの子、ドリルホーン・ライノクスの後ろに狼、ガルムと虎、ブラッドタイガーを並べて呼び出して。アイテムボックスの事は隠すからね。その間、ユエちゃんは預かるわ」

「うん」


 リンがユエちゃんを渡してくれた。私はリンから距離を取って聞いてみる。大体予想はつくのだけどね。


「どうだった?」

「は、恥ずかしかったです……恥ずかしくて死にそうです……」

「でも、そのお陰でリンもユエちゃんの事を異性と意識したわ」

「はうっ!?」

「いい子ね」


 優しく頭を撫でてあげる。ユエちゃんが落ち着いてから彼女が身体を覆っている毛布て手を触れる。


「ちょっと胸元を確認させてね。大事な事だから」

「ど、どうぞ」


 毛布を少し開いてみると制服の残骸が見える。そこから服を更にどけて胸元を見ると確かに紋章みたいなのがあった。


「この紋章みたいなのが見えるかしら?」

「み、見えます。前はなかったんですが……」

「これがテイムされた証のようよ。それでこれを見えるように出すか、首輪を嵌めないと駄目らしいの。出す方をオススメするけれど、どうする?」

「わ、私は……出す方がいいです。く、首輪には抵抗があります……リン君が望むなら首輪でもいいですけど……」

「あらあら。じゃあ、出す方で行きましょうね。リンもそっちがいいというでしょうし」

「わかりました」


 ユエちゃんに似合う服を作ってあげないといけないわね。色々と覚える事が多そうだわ。


「終わったよ」

「それじゃあ、砦に向かってちょうだい」

「ん。らいちゃん、GO」


 ひなたの言葉に従ってドリルホーン・ライノクスが動き出す。


「らいちゃんって何?」

「この子の、名前。べーちゃん、ガー君、ター君」


 ドラゴンベアがべーちゃんで、ガー君がガルム、ター君がブラッドタイガー、ドリルホーン・ライノクスがらいちゃんね。随分と可愛らしい名前だ事。


「そ、そう……」

「あ、皆には騎士さん達の誘導に従うように言っておいてね」

「ん、わかった」


 それから砦の前に四匹を誘導に従って並べさせる。それが終われば降りてあとは案内に従っていく。クロードは別の事があるみたいで他の人が案内してくれた。

 直ぐにテーブルと椅子があるだけの部屋に案内された。部屋の中にはローブを着た茶色の毛をした若い女性が待っていた。


「私はヴェロニカと申します。皆様のお世話をせよとクロード様より仰せつかった者です」

「エリゼよ。こっちは息子のリンと娘のひなたとユエちゃんよ」

「「よろしくお願いします」」

「よろ、しく」

「どうぞお掛けください」


 進められるままに椅子に座るとテーブルの上にあるのが目に入った。羊皮紙と羽ペン、インクの壺に台座に乗せられた水晶ととんがり帽子。それに明らかに文明レベルが違う箱。


「ここでは皆様の身分証を発行させて頂きます。普通は許可証なんですが、皆様の場合はウルカレル男爵が身分を保証致しますので特別な物を作らせて頂きます。それではエリゼ様から作らせて頂きます」

「ええ、構わないわ」


 ヴェロニカと名乗った子は私の瞳を見詰めながら羊皮紙に私の名前を書いていく。こちらを探っているわね。


「家名はありますか? エルフだと氏族になるのでしょうが」

「捨てたわ。駆け落ちみたいなものだしね」

「なるほど。では家名は無しにしておきますね」

「お願い」

「では次にスキルなのですが……教えて頂けますか?」

「ええ、もちろんよ。私は精霊魔法と料理、回復魔法、支援魔法、付与魔法、弓術、翻訳系のスキルを持っているわ」


 回復魔法や支援魔法、付与魔法は属性魔法や精霊魔法に含まれる同系統の魔法が得意という事を表し、それぞれの魔法を使用する時にボーナスを与えるもの。レベル×100%が増加されるので有ると無いとでは差が大きい。それに加えてこれらは属性に関わらず全ての系統を中級までなら覚えられる。回復系だと同じ回復系だけなのだけど。それと、教えた以外にもレアスキルを持っているわ。私のレアスキルは植物改造で自由に植物を改造できる。1万円も支払って手に入れたスキルで、私達の食生活などを支えてくれる素晴らしいスキルになるはずよ。


「……妨害関係のスキルもありますよね?」

「あら、どうしてそう思ったのかしら、鑑定士さん」

「私の人物鑑定のスキルが通らないからです」

「レベルが低いだけかも知れないわよ?」


 レベルに関係なく解るのか、それともレベルによって見えないのか、どちらでしょうね。


「それもあるかも知れませんが、スキルが一つも何も見えませんから」

「そう。確かに私達は精神障壁というスキルを持っているわ。でも、他人に覗かれるのは嫌でしょう? スリーサイズとか体重とか」

「それはそうですが、解除してくれませんか?」

「できないわね。解除の仕方を教えてくれるかしら?」

「……わかりました。監視は厳しくなりますが、不問とします。いいですか?」

「ええ、構わないわよ。出来る限り素直に答えてあげるわ」


 それからヴェロニカの質問に私はしっかりと答えて子供達の分も作って貰う。もちろん、子供達のスキルはぼかした。

 作って貰っている間にここに来た目的なども話していく。他には夫と出会った事も話して惚気けてやった。それに駆け落ちまがいというのは間違っていないし、嘘は付いていないわ。


「はい、これで終わりです」


 ヴェロニカが私の事が書かれた羊皮紙を箱に備え付けられた挿入口から入れた。それから掌に収まるくらいの水晶をこちらに差し出してくる。


「これに触れて魔力を流してください」

「わかったわ」


 言われた通りに触れて魔力を流していく。


「はい、もういいですよ」


 私が手を離すとヴェロニカが箱の方に触れて魔力を流し込んでいく。すると別の排出口から金属のプレートが出て来た。


「登録を完了しました。このプレートに魔力を流してください」

「これに? わかったわ」


 受け取ったプレートに魔力を通すと表面に紋章が浮かび上がり、続いて私の名前や種族。それに申告したスキルが映し出されてくる。所属にはミリニア王国ウルカレル男爵領と記載されていた。


「スキルなどは隠す事ができます。次はお子さんですね。水晶に触れて魔力を流してください」

「ええ。リン、ひなた」

「じゃあ僕がするね」

「次」


 ユエちゃんを受け取ってリン達が作るのを待つ。リン達も問題なく作成できたわね。問題はユエちゃんかしら。


「さて、その子はダンピールでしたよね?」

「ええ、そうよ」

「っ」


 私の腕の中で震えているユエちゃん。あんな事があったら仕方ないわよね。ちょっとでも不安がなくなるように抱きしめてあげる。リンが彼女の頭を撫でて気を落ち着かせてあげる。


「あっ、すいません。害意がある訳じゃないんです。ただ、彼女の場合は主人の方の方に登録するので。ですが、不用意でしたね」

「い、いえ……大丈夫です。私はどうすればいいですか?」

「胸元にある証を常に晒すか、首輪をしてもらう事になります。それと街などでは主人から一定以上離れないようにしていただけるとありがたいです。どうしますか?」

「む、胸元の方で」


 ユエちゃんが毛布をずらして胸骨辺りにある紋章を見せる。


「はい、確認しました。その、服は無いのですか?」

「ええ、私達も手持ちが着ている物しか無くてね」

「そうですか……少し失礼しますね」


 ヴェロニカが立ち上がると、前のボタンを外してローブを脱ぎだした。それをユエちゃんに被せた。


「あ、あのっ」

「あらあら」

「怖がらせたお詫びです」


 毛布を脱がしてローブを着せ、前のボタンを閉じていく。胸元だけ開くように調整して。


「いいの?」

「ええ、構いません。代わりにこれを借ります」


 リンがすまなさそうに聞きながら少し寒そうなヴェロニカに毛布を掛けてあげた。


「では、リン君のプレートを貸してください。彼女のもそちらに入れます」

「わかった。ありがとう」

「いえ。さて、これで完了ですね。では、御案内致しますのでついて来てください」


 彼女はインクの壺にしっかりと蓋をしたらとんがり帽子を被って部屋の扉を開けた。


「行きましょうか」

「うん。ユエは僕が連れてくよ」

「お願いします」

「ん」


 ユエちゃんをリンに預けてヴェロニカの後ろを付いて行く。改めて防壁を超えて砦の中に入っていく。空からは雪が降りだして来たので精霊魔法で防ぐ。そのまま歩いていくとすれ違う人達が結構な人数出になる。それで気付いたのだけど……なんていうか臭いわ。前を歩くヴェロニカも香水の匂いで誤魔化しているけれど、ローブを脱いだせいかはっきり言って臭うわね。それに建物と建物の間を見れば汚物が捨てられていたりする。衛生面はかなり悪いようね。


「んん、臭い」

「あ~定期的に攻められているので清掃に兵を回せていないんですよね」

「お風呂はどうしているんですか?」

「お風呂なんてある訳ないですよ。街にもありませんし、有るのは領主様の館くらいですね。それも伯爵家ぐらいじゃないですか?」

「入り、たい」

「そうですよね」

「ええ」


 私も含めて女性陣は凄く残念に思う。リンも多分入りたいと思ってるんじゃないかしら。


「入った事あるんですか?」

「ん、ある」

「毎日入ってましたし」

「どこの貴族様ですか!?」


 この馬鹿娘達……いえ、仕方ないのかも知れないわね。子供だし。


「お母さん……」

「こうなったら仕方ないわ。私に任せて」

「うん」


 さて、出来ない事は無いのよね。どうせ拠点になる自宅にはお風呂を作るつもりだったから。それにここの人達の衛生面にも気を付けた方がいいわね。私達の防波堤になってくれるのだから。


「ヴェロニカさん」

「なんですか?」

「私は代々我が家に伝わるエルフの秘術を使ってお風呂を作れるの。場所を用意してくれるなら友好の証としてここに作らせて貰いたいのだけれど、いいかしら?」

「本当ですか!?」

「えっ、ええ」

「ちょっと待っててくださいね! 直ぐにクロード様にお伺いを……あっ、その前に泊まる所に案内しないといけませんね! こっちです!」


 急に速度が上がって早歩きで付いて行く事になった。幸い、直ぐに到着したのだけれど。


「鍵、鍵……あっ、ローブの中でした。すいません、ちょっと失礼しますね」

「は、はい」


 ユエちゃんが着ているローブから鍵束を取り出して扉の鍵を開けると扉を開いて私達を迎え入れてくれた。


「これがこの家の鍵です。掃除はできていないので軽く掃いて使ってください」

「空家……じゃないわね」

「家族でこちらに詰めていた方が使っていた家です。ご家族の方は色々とあって帰られましたのでお好きに使っていただいて結構です」


 戦争中なら仕方ないわよね。汚いのは嫌だから掃除しましょうか。私じゃなくてリンとひなたにさせるか。


「リン、ひなた、精霊さん達に頼んで家を綺麗にしてもらって」

「任せて」

「わかった」


 ひなたとリンがユエちゃんを連れて中に入っていく。私はヴェロニカと一緒にこれから行動する。


「さて、お風呂の事ね」

「あ、すいません。その前にやらなくちゃいけない事があります」

「何かしら?」

「あのおっきなモンスターさん達に首輪をつけないと」

「そりゃそうよね。じゃあ、走って行きましょうか」

「走るのは苦手なんですが……」

「任せなさい」


 私は精霊魔法を使って支援魔法を掛ける。これで走っても問題ないわ。


「身体が軽くなりました!」

「じゃあ走るわよ」

「はい! お風呂の為に頑張ります!」


 ヴェロニカを連れて急いで入口へと向かうのだけど、その途中でクロードがこちらに歩いていくるのを発見した。


「クロード様!」

「あ、丁度いい所に来たね。今から行こうとしていたんだよ」

「何かあったのかしら?」

「ええ、あの大きさに装着する首輪がありません。なので外に待たせても大丈夫ですか? アンデットなら大丈夫だと思うのですが……」

「構わないわよ」

「大きかったですからね」


 砦の防壁が5メートルくらいで、ドリルホーンライノクスが3メートル。ドラゴンベアに至っては立ち上がれば4メートルになるのだから当然ね。


「まあ、首輪はアースさんに適当に作ってもらって認可証を取り付ける事にします。魔物の意思で暴走する危険がある生きた状態ならともかく、アンデットなら使役者がしっかりとしていればそれで問題ありませんし」


 ひなたが暴走するか、襲われない限りは問題ないわね。


「そう。じゃあそっちに行かなくていいのね」

「それなら直ぐにお風呂に取り掛かれますね!」

「お風呂?」

「はい! エリゼさんが友好の証として作ってくれるそうです! なので空いている土地を使用する許可をください!」

「お風呂ですか……」

「お風呂に入って身体を洗えば病気になる確率が減るわよ。それに汚物は綺麗に片付けたらこちらも減るわね」

「それは本当ですか?」

「ええ、保証するわ」


 体調の問題が既に出ているのかしら? かなり食いついてきたわね。


「わかりました。それではお願いします。東側の右奥に使ってない区画がありますのでそこの家を何件か壊して使ってください。それと他に対策はあれば教えてください」

「そうね。簡単なのだと食事の前に手洗い嗽ね。口とかに手についた病原菌、病の元が入ったら大変だから」

「わかりました。徹底させましょう。エルフは素晴らしい叡智をお持ちだと聞き及んでいましたが、非常に助かります!」

「持ちつ持たれつ、互いに助け合って行きましょう」

「ええ、そうですね。では、お風呂の件、よろしくお願いします。私は仕事がありますので失礼します。ヴェロニカ、エリゼさんの言う事を聞いて手伝うように」

「はい!」


 クロードが走って行く。私達も急いで指定された場所に向かう。




 東側の右奥に到着して調べると明らかに使われて居ない崩壊した建物がある。明らかに攻撃を受けた跡まである。


「これは?」

「少し前に敵の侵入を許してしまいまして……食料庫がやられてしまいました。幸い、何個かに別けていたので被害は少なかったのですが……」

「侵入されたって大丈夫なの?」

「はい。敵を招き入れた裏切り者も処刑しましたし、大勢で攻め込まれない限りは大丈夫です。実際に皆さんが来てくれて助かりました。あの四匹のお陰で敵もそう簡単には攻め込めません。その間に応急処置しかできていない壊れた防壁を修理したりする時間が稼げますし」


 かなりきわどい瀬戸際じゃない。でも、これはチャンスよね。私達を売り込むタイミングとしてはベストじゃない。これもリンの強運かしら?


「こないだの戦いで皆も疲労が溜まっています。なのでお風呂は凄く助かります」

「そうね。どうせなら徹底的にやりましょうか」

「お願いします!」

「任されたわ」


 まずは崩壊した建物を土精霊さん達に退けて貰う。同時に水精霊さん達に水脈の位置を識別してもらう。


「ヴェロニカさん、果物ってあるかしら? それもできれば栄養価が高くて美味しいのがいいわ」

「ありますよ。食べるんですか?」

「いいえ。見てたらわかるから持ってきなさい」

「わかりました!」


 ヴェロニカが走っていったので今の間に構想を練る。食料庫が壊されたなら食料不足も深刻なはず。お風呂を作ると同時に解決させる。その為に木片を拾い上げて植物改造を発動させる。適当に発動させて改造してまた改造する。10万倍のお陰で直ぐにレベルが3まで上がった。


「お待たせしました! どれかわからないので高いのを持ってきました」

「ありがとう」


 果物を見るとブドウやミカン、マンゴー、リンゴのような果物があった。無難なのを考えたらリンゴね。これにしましょう。リンゴの身を風の精霊魔法で切って種を取り出す。切ったリンゴの実の方はそのまま食べる。


「あっ」

「はい、あーん」

「はむっ。お、美味しい……」


 しゃくしゃくと音をさせて食べていくヴェロニカ。餌付けしているみたいね。まあいいわ。とりあえず食べながら種を改造していく。イメージするのは大きなリンゴの木で、地下から水を汲み出す感じ。その水を湯に変えて湯船とシャワーに使う。元々ツリーハウスというのがあったのでそれを改造していく。色々と設定してやったわ。


「アル、お願いね」

『お~!』


 種を植えてアルに魔力を与えていく。魔力は使えば使う程増えていく。つまり、魔力にも経験値が存在する。そう、10万倍のお陰で魔力がかなり増えているのでアルにたっぷりと上げられる。


『にょき~にょき~』


 植えた種がアルの言葉に従って急成長していく。


「なななな、なんですかこれ!?」

「秘術よ」

「無茶苦茶ですね!」

「そうね。でも、これって現実なのよね」

「あははは……エルフ、恐ろしすぎです……」


 木はみるみる成長して東側右奥の一部を完全に占拠して5メートルくらいまで成長した。そして同時に地震が起きた。それから直ぐに広い脱衣所と洗い場、浴槽が三つ作成された。どれも浴槽の半分以外は大きな枝と葉っぱで覆われて屋根が完成する。出来たリンゴの実は光ってライトの代わりになる。発光期間が終われば落ちてくるのでそのまま食料になるエコ仕様。そして、組み上げた水を温め、中心部が空いた枝を通して浴槽やシャワーに供給され、地面の下にある排水用の枝に吸い込まれて水精霊に浄化される。サイクルさえ作れば運用面では問題ない。

 そして、浴槽に流す途中にししおどしも作成しておく。あの音って好きなのよね。

 もちろん、浴槽は木で区切られているので覗きも出来なくしてある。男性用、女性用、家族用で作らせて貰ったわ。


「さて、最後の仕上げ以外が出来たわね」

「なんですか、それ? これ以上、すごいんですか?」


 虚ろな瞳をしたヴェロニカ。少しやり過ぎたわね。魔力も空になったし。


「リンを呼んできてくれる?」

「いいですけど……」

「魔力が切れたからこのままじゃお湯にできないの」

「直ぐに呼んできます!」


 走っていったヴェロニカかが戻るまでに中に入って火精霊と土精霊、水精霊達を呼び出してに話をつける。


「皆、定期的にたっぷりと魔力をあげるから仲良くここの運営をするのよ?」

『おお~?』

『仲良く~』

『美味しい~?』

「ええ、美味しいわ。それと綺麗に掃除して清潔を保つの。人間達にも手伝って貰うし、お供物をするようにも言うわ」

『『『わかった~』』』


 信仰もこの子達の力になるからね。


「連れてきましたよ!」

「お母さん、呼んだ?」

「ええ」


 ヴェロニカが野次馬をかき分けてリンを連れて来た。ユエちゃんは置いてきたようね。


「この木にたっぷりと魔力をあげて」

「いいけど、これは……なに?」

「お風呂よ?」

「明らかにやり過ぎだよね!」

「そうね。お母さんもお父さん達と同じなのよ。やりだしたら止まらないの!」

「威張って言う事じゃないから! それで?」

「この木に与えた沢山の魔力をこの精霊さん達が運用してお風呂を維持してくれるから。皆、お風呂に入りたいのよ」

「わかったよ」


 リンが魔力遮断を木……いえ、大樹ね。大樹全体に貼って極大魔力のスイッチを入れて木に流し込んでいく。早速、精霊さん達がお仕事をしてくれてお湯が浴槽などに流れていく。


「さて、お集まりの皆さんに使い方を説明するわね」


 使い方を説明した後、私はリンに引っ張られてこっぴどく怒られた。だけど、後悔はしていない。それにリンが空間設定で色々と細工をしてくれたから大丈夫でしょう。





やり過ぎた。自重していない。でも、お風呂は大事だよね!

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