今後の予定
数日掛けて作った道に皆で線路を整備している。現在はゴブリンの村が有った近くまで線路を引くことができた。ツリーハウスが作業拠点としても黒騎士配置場所としても使えるから道路も整備したよ。ここを利用して砦までの線路を作っている。線路は複線にしているので時間が掛かる。それでも頑張って作業をしていると砦の方からお母さんとヴェロニカさんが馬に乗ってきた。
「皆、ただいま」
「ただいまですよ~」
「お帰りなさい」
ここは家じゃないけれど、お帰りでも問題はないと思う。あくまでも行って帰ってきた二人に対してだから。
「お茶を準備しますね」
「お願い。皆も休憩しようか」
「「はい」」
協力してくれているミノタウロスさん達やワーウルフさん達も休憩するように促す。それから簡易のテーブルを作り出して青空の下でお茶会を行う。おやつはアップルパイで、飲み物はアップルティー。使ったリンゴは回復効果もある凄く美味しいリンゴだ。それに精霊樹になっている奴なので元手は掛かっていない。
「ひなたとユエちゃんは?」
「ひなたは人形を作ってる。ユエはダンジョンで素材を取りにいったよ」
「一人で大丈夫なのですか?」
「大丈夫だよ。ミノタウロスさんの戦士さんにワーウルフさん達も一緒だし」
「そうですか。それなら安心ですね。というか、本当にミノタウロスを仲間にしているんですね……」
「うん。ミルクも提供してもらってるから色々と作れるよ」
ティナがアップルパイを切ってお皿に乗せ、それぞれに配ってくれる。その後、温めていたカップにアップルティーを入れて配ってくれる。
「美味しそうですね~」
「美味しいわよ」
談笑をしているとフランと調もこちらにやってくる。調とティナは僕の横に座って、フランは僕の膝の上に座ってくる。ティナは相変わらずの青いシスター服で、調は黒い布地赤いリボンで装飾したフリルの付いたミニスカートのワンピースで、肩を露出させているのを着ている。下は白色のハイソックスをガーターベルトで止めている。フランは紫色の髪の毛を両サイドで束ねて肩の前に出した髪形で獣耳のパーカーにミニスカートとマントといった感じだ。
「その子が新しく入った子ね」
「うん。ワーウルフのフランツィスカ」
「よろしく、です」
「はい、よろしくです」
「ええ、こちらこそ」
「後は彼女のお姉さんがワーウルフさん達を率いているヒルデガルトさん。あちらがミノタウロスを率いているミルトスさん」
遠くで会釈だけしてくれる。二人は休憩の間に作業状況や残り資材を確認したり、ちゃんとおやつやお茶が行き渡っているかなども確認してくれている。
「後で挨拶をしておかないといけないわね」
「そうですね~」
「お願い」
フランは美味しそうアップルパイを手で掴んで一心不乱に食べている。調とティナはフォークを使いながら紅茶を楽しみつつ食べている。
「それで砦はどうだった?」
「問題ないわ。リンの言っていた通り、鉄道騎士団については認可が下りたし。その代わり、もうすぐ起こる大規模な戦争に私達も協力することになった」
「わかったよ」
もとから参加するつもりだったしね。
「なら、リン君には戦力を提供してもらいたいです」
戦力の提供か……確かに戦力は結構有ると思う。ワーウルフさん達率いるシルバーウルフ隊にミノタウロス隊。普通に考えたら少なくない戦力だよね。全部で45人と80匹くらいだし。
「アヌシャヌスの方達を徹底的に叩き潰すために出来れば協力してください~」
ボク達にとって彼等は本当に危険な国だしね。テロリストの親玉といえる。だから僕は大丈夫だけど、ティナ達はどうだろう?
「ティナ達は参加しても大丈夫?」
「人が死ぬ事は悲しいですが、止めようとしても止められません。仕方のないことです。ですから、できる限り被害を出さないようにするべきかと」
「フランは連中をぶっ殺してやりてー、です。皆の仇でやがる、です」
「私とユエはリンに従う。これから生きていくために何人も殺すことになるんだから気にすることはないわよ。リンが手を汚したくないなら私とユエに任せておけばいいし」
確かに僕自身で人を殺したことはない。命令をして殺したことはあるけれど。それについては後悔していない。ユエを助けるためだったから。じゃあ、調の言う通りユエ達に人を殺すことを任せる? そんなのは嫌だ。後ろで隠れて指示だけしているなんて男のやることじゃない。僕だって皆を自分の力で守りたい。僕には守る力があるんだから。ハイ・オーク・ジェネラルとやることはなんら変わらない。モンスターを倒すのも人を殺すのも同じようなものだよね。人はモンスターよりも恐ろしいし、敵は確実に倒す。そうしないと大事な人達が傷付く。皆を守るためなら僕は例え戦争でもやれる。
「大丈夫。僕がやるよ。それで何時になりそう?」
「時期はまだ分からないわね」
「相手さん次第ですね」
「それじゃあ、レベルアップをする時間はある?」
調がお母さん達に聞いている。確かに今のままじゃまずいかな。スキル上げもしていないし。
「大丈夫よ。相手側も戦力を集めるのに必死だから十分な時間が取れるわ」
「今は冬ですから春になるでしょうね」
よくよく考えたらすぐにで大部隊なんて用意出来ないよね。兵糧とか物資もそうだけど、いろんな所から人が集まってくる訳だから移動時間の問題があるはずだし。
「なら、僕達も頑張らないとね」
「そうね。とりあえずただの布の防具はどうにかした方がいいかしら」
「それもそうか」
「確かに危険かな。私は大丈夫だけれど、ユエやフランは必要。リンも勿論ね」
「僕の防具か……」
悩むんだだよね。僕のパーティーメンバーは……あれ? 変な事になっている。パーティーメンバーの欄を見ると僕、お母さん、お父さん、ひなた、調、ティナだけになっている。それで6/6になっていて最大メンバーって事になっているみたい。ユエとフランが書かれていない。そう思って調べてみると使い魔の項目に二人の名前が有った。二人は僕の付属扱いみたいだ。ログを確認するとユエは最初の時はパーティーに入っていたけれど、ティナが入った瞬間に弾かれていた。ただ、その間も僕の経験値増加効果は1/2に減少していたけれどちゃん入っている。これは他のワーウルフさん達にもいえることだ。とりあえず早急に対策をしないといけない。スキルカードを使ってパーティーを拡大すべきだね。あとで拡大しておこう。
さて、話は戻して僕のパーティーメンバーだ。僕、ユエ、調、ティナ、フランでひなたが入るかは微妙。わかりやすく別けるとこんな感じか。
前衛
ユエ:スピードアタッカー
調:パワーアタッカー
中衛
リン:スカウト(?)
後衛
フラン:キャスター
ひなた:キャスター
支援
ティナ:ヒーラー
僕は千里眼による索敵がメインになってるしスカウト枠。さて、我がパーティーで足りないのは何かと考えるとどう見てもタンクやディフェンダーと呼ばれるタイプが居ない。これをみると僕がディフェンダーをやった方がいいか。皆を守るのは男の仕事だし。でも、そうなると盾の後ろから攻撃を出来るようにしないと。槍がいいのかな……いや、微妙か。僕の身長だと大きな盾だと完全に隠れちゃうし。軽装で回避しながら盾をする回避盾? でもな……どうせなら背後から攻撃をしたいけれど……鞭みたいに。鞭と剣で戦う今のスタイルも……連接剣とか? ないない。あんなの現実に使ってられないって。やっぱり槍がベストか。杖の機能も取り付けて……うん、そうしよう。フルプレートアーマーは動けなくなるだろうし、服とかはそもそも時間停止でどうとでもなるし動きやすいのにしよう。
「防具は僕が服に付与するから大丈夫。メインに使う服を渡しておいてね」
「わかった」
「了解だ、です」
「まあ、好きにしたらいいわ。それよりも修行場所よ。やっぱり近場だとうちのダンジョンなんだけど、弓と相性が悪いのよね」
「そうですよねえ~。ここからだとどうしても他のダンジョンは遠いですし。そもそも短時間で実力が上がるとは……」
「それが上がるのよ」
「……出鱈目ですね」
修行場所か。確かに交通網も発達していないし移動が面倒だよね。僕ならどうとでもなるけれど他の人達が……ああ、無ければ作ればいいんだ。ちょうどやりたい事もあったし。
「お母さん、お願いがあるの」
「何かしら?」
僕はお母さんを少し離れた所に呼び出してこっそりと話す。
「魔力を生み出す精霊樹を一つと全属性の精霊さん。繁殖力と味を強化した薬草や香草を欲しい」
「何に使うのよ? 流石に簡単には渡せないわよ」
「オークを捕まえたでしょ。あそこの時間を早めてオークを沢山作るの」
「世話を精霊達にやってもらうのね?」
「そう。彼らにとっても精霊樹の下で膨大な時間が経過する訳だから成長出来る。それにオークもそう。薬草や香草をひたすら食べさせて世代を重ねれば……」
「いい豚が出来るという訳ね。でも、それだと処理が……ああ、なるほど。ダンジョンを作る気なのね」
「そういうこと。大規模戦闘になると僕達だけじゃ手に負えないかも知れないけれど、狭い所で10対6とかをひたすら繰り返せばいいだけならどうとでもなると思う。ましてや装備が無いんだから」
「そうね。いざとなったら成長した精霊に間引かせればいいだけね。いいわ、やりましょう」
「うん」
すぐに理解してくれたお母さんと一緒に急いで戻る。ミノタウロスさんとワーウルフさん達にはこのまま作業を進めておくようお願いしておいた。他の皆で急いで戻った後、ダンジョン作成に入る。ダンジョン作成といっても簡単な内容なんだけれどね。




