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両親と合流

 


「お父さんやお母さんを探そう!」

「ん……」


 ひなたの手を握ってどうするか考えてみる。ひなたはゲームのアバターになっているという事は魔法とかが使えると思っていいよね。じゃあ、ボクは千里眼が使えるはずだ。


「スキルの使い方ってわかる?」

「ステータス、選択?」

「ステータス、スキル、千里眼」


 声を出して確認しながらステータスを開いてスキルを選択する。見ると全部がオフになっている。


「ひなた、ステータスからスキルを開いて急いスキルを有効にしてっ!」

「う、ん……」


 肉体強化のスイッチを入れると身体が軽くなった。他の肉体系のスキルも全てスイッチを入れる。次に精霊魔法と空間魔法のスイッチを入れる。こちらは特に何もなかった。最後に特殊系のスイッチを入れる。エクストラテイミングと極大魔力のスイッチを入れると身体の中から凄い量の何かが溢れ出してくる。


『くすくす』

『美味しそうな凄い魔力』

「なに、これ……」

「光、いっぱい」


 緑色や茶色などの光がいっぱい出てきた。それに声も聞こえる。特に森と地面から……精霊魔法をオンにした瞬間だから、これって精霊?


「綺麗」

『手伝う?』

『教える?』

「何か知ってるの?」

『危険、知ってる』

『危険、きけーん』

「……危険?」

「どういう事だろ」


 聞き返すボク達に教えてくれる精霊(?)達。


『魔力多い』

『多すぎ、危険』

『呼び寄せ……る?』


 その言葉を聞いて急いで極大魔力を切る。すると力が湧き出てくるのは止まった。


「ひなた、極大魔力を切って」

「ん」


 周りをみると光達は少し残念そうに漂っている。


『逃げる』

『来る、危険、来る』

『逃げるー』

「っ!? ひなた!」

「ん!」


 声に従ってひなたの手を握って逃げる。同時に千里眼のスイッチを入れてみる。すると色んな光景が見えた。なんていうか、ゲーム視点のような物で遠くも見える。直ぐに周りを調べるとボク達が先程まで居た所へと向かって森の奥から沢山の大きなモンスターが移動してきていた。


「ねえ、手伝ってくれないかな!!」

『いいよー』

『魔力ちょーだい』

「わかった!」

「あげる」

『み~な~ぎる~』

『ぱぁわぁぁぁっ~』


 風がボク達の背後から吹いて走るのを助けてくれる。草原の草達は避けてくれる。ぽーんという音がしたけど急いで離れる為に無視する。走っていると前方に光が集まってきて人型を取る。


「ここは……」

「あっ、居た、居たわ! リン、ひなた!」

「お母さん、お父さん」

「逃げて逃げてぇぇぇっ!!」


 ひなたの言葉で姿が違うお父さんとお母さんだとわかったので必死に伝えると、2人も直ぐに理解してくれて一緒逃げる。しばらく走っているとポーンという音と同時にボクの速度だけ速くなってくる。


「リン、パーティー登録して!」

「そうしないと一緒に逃げられないぞ!」

「わかった! でもどうするの!」

「……ステータスに、ある……はい」


 ひなたがステータスを操作して指で何かを送ってくる動作をするとシステムメッセージが脳内に響いてきた。


[ひなたよりパーティー申請が届きました。参加しますか?]


「参加するよ!」


 音声入力も可能なのか、直ぐにパーティーが組まれて皆のヒットポイントが見えるようになった。しかし、お父さんの足が遅い。


「ドワーフにとってはこの速度がきついな」

「仕方ないわね。敵の数は?」

「いっぱい!」

「前方、窪み」


 地盤沈下か何かで出来た大きな窪みが見えてきた。高さ2メートルくらで隠れるのはいいかも?


「そうね。窪みに入ったら止まりなさい」

「わかった!」


 お母さんの指示に従って窪みに入る。するとお父さんとお母さんはステータスを捜査して魔法を発動させる。お父さんが何かの魔法で地面から沢山の蔦を作り出して窪みを覆ってしまう。その上にお父さんが使った土魔法によって土が盛られていく。直ぐに光が消えて暗くなるけどボク達には種族特性で暗視があるみたいでよく見えた。


「気配遮断、発動っと。多分、これで大丈夫じゃないかしら?」

「ちょっと待ってね」


 千里眼で確認してみるとボク達が隠れている位置から少し離れた位置にモンスター達が少数やってきた。更に奥には沢山のモンスターが集まっている。


「使い方はわかっているのね?」

「うん、なんとか」

「調べた」

「凄いな。父さん達はあっちで問い詰めて色々と聞いてきたよ」

「そうなんだ。それでどういう事なの?」

「結論から言うと地球には戻れないそうだ。そもそも、渡された特別限定版はこの世界に送り込んで住人として過ごしてもらうための奴だったようだ。だから本来のゲームとは違ってスキルを習得できる人数とかが決まっていたようだ。その与えたスキルの力を使ってダンジョンを攻略し、世界に魔力を循環させてくれってさ」

「そう、なんだ……」


 つまり、運営の人はボク達に力を与えるかわりやって欲しいことがあるみたいだ。でもボクの為に巻き込んじゃって悪い気がしてくる。また動き回れるようになったのは嬉しいけど。


「平気」

「そうよ。私達はリンと一緒に居れる事の方が大事よ」

「そうだぞー。何も気にするな。それに父さん達も楽しめるからな」

「ん、凄く、楽しみ」

「現実だろうが仮想だろうがどっちでもいい。こうしてリンの元気な姿が見えるんだかな」

「あ、ありがとう……」


 凄く美人になったお母さんに抱きしめられて撫でられる。お父さんもひなたも嬉しそうだ。ボクは急に恥ずかしくなって話を逸らす事にする。


「それでこれからどうするの?」

「モンスターが何処かに行くまでは待機だな」

「そうね。まだ戦い方もよくわからないし、装備もろくなのがないのだから」

「魔法、使う」

「魔法もできるけど……」

「魔法か。そういえば先程何か音がしていたな」

「ボクもしたよ。ぽーんっていうの」

「ステータスを確認してみなさい」


 直ぐにステータスを見たいと念じてみると半透明な板みたいなのが浮かび上がってきた。そこにはステータスと思うものとシステムメッセージが表示されている。


 名前:リン

 種族:エルフ/ドワーフ

 肉体:肉体強化Lv.2、肉体再生Lv.1、状態異常耐性Lv.1

 魔法:精霊魔法Lv.2、空間魔法Lv.1

 技術:

 特殊:エクストラテイミングLv.1、極大魔力Lv.1、千里眼Lv.1、経験値10万倍(PT)、成長限界突破(PT)、精神障壁Lv.1、強運Lv.1

[肉体強化のレベルが上昇しました。精霊魔法のレベルが上昇しました]


 ぽーんというのはレベルアップを知らせる音みたいだ。システムメッセージの通り、肉体強化と精霊魔法のレベルが上昇している。お母さん達の方を見てみると、嬉しそうに微笑みながら虚空をみていた。


「精霊魔法と土魔法のレベルが上がっているわね」

「俺も土が上がっているな」

「ん、上がってない……」


 しゅんとするひなたの頭を撫でる。撫でながらお母さんとお父さんの容姿を改めて確認する。

 お母さんは金髪碧眼で緑色のドレスのような服にブレストアーマーを装備している。これは棒島のハイエルフさんみたいな感じかな。

 お父さんは銀髪をオールバックにして鎧を着ている160cmくらいの筋肉質の男性だ。普通にカッコイイけど身長はやっぱり小さくてお母さんの方が170cmと大きい。


「経験値10万倍は偉大ね。しばらくここで経験値稼ぎはしましょうか」

「それがいいだろう。ひなたもバレなさそうなので経験値を稼ぐといい」

「ん」

「ボクもそうしよう」

「俺とレンは男だから身体を鍛えるぞ。前衛に出るのは俺だが、もしもの場合はお前が母さん達を守るんだ」

「わかった」

「では腕立て伏せからだ」


 ボクはお父さんと一緒に筋トレをしていく。ひなたとお母さんは精霊魔法と人形魔法を練習している。精霊魔法はその辺に漂っている小さい精霊さんの力を借りて発動するみたい。千里眼を発動して見ると光がそれぞれ顔があって母さんの身体から流れてる何かを食べている。


「あ、こけた」


 ひなたの声にそちらを向くと、眼帯をしたクマちゃんがテクテクと歩いてコテンと転んだ。ここまでは可愛いのだけど、こけた時に爪が地面に思いっきり刺さっている。


「な、なにそれ……」

「武器。この子、初期装備……だよ?」

「そう、なんだ……」


 そんな風にやっていると、ぽーんと音がして肉体強化のレベルが上がった。やっぱりレベルが上がるのが早い。


「身体強化のレベルが上がったな。しかし、筋トレも魔法も使いながらの方がいいんだろうが、流石に無理だろうな」

「そうだね。まだ無理だと思うよ」

「魔法はステータスからじゃなくても発動できるからそっちを先に慣れたほうがいいな。慣れるまでが大変らしいが頑張ろう」


 お父さん地面に座って土を取って両手で捏ねだした。ボクは空間魔法か精霊魔法、どっちをあげようかな。まあ、便利差からいえば空間魔法なんだけど。よし、確認してみよう。

 ステータスから空間魔法の項目を選択すると現在使用ができる魔法名が出てきた。できるのはアイテムボックスだけだった。精霊魔法は精霊と契約しないと本領を発揮できないみたい。今ままでのは精霊のお手伝いってだけだった。


「お母さんは精霊と契約しているの?」

「しているわ。契約はポイントでしたけどね」

「ボクもした方が良かったのかな?」

「エルフ限定だからハーフの貴方達には無理よ」

『むりーむりー』


 声の方へ視線をやると、そこには3cmくらいの緑色の服を着て頭部に花がある少女が居た。この子がお母さんの精霊みたいだ。


「アルちゃんよ。低級精霊だけど育てば強くなるわ」

「いく」

『くるくるなー?』


 クマのぬいぐると対峙している。クマに対して来るなと言ってるのかな? どちらにしろ、ひなたの操るクマが突撃していくと、地面から蔦が生えてきてクマを捕まえようとする。クマは対抗して蔦を爪で切り裂いていく。段々とお互いに動きが良くなっていく。アルちゃんの方は蔦の出す速度が増しているし、クマの方は動きが良くなってきている。


「精霊魔法は後回しにしなさい」

「うん。それじゃあ空間魔法をするね」

「ん、それがいい」

「空間魔法は何があるんだ?」

「アイテムボックスだね」

「それなら丁度いいな。鉱物を探知して土魔法で集めるから仕舞ってくれ」

「わかった。それまで少し使ってるね」

「頼む」


 お父さんの言葉に従ってアイテムボックスを使ってみる。アイテムボックスの部分を押すと身体から魔力っぽい何かが抜けて目の前に穴が現れた。適当にその辺にある石を入れてみる。すると穴は消えてぽーんという音がした。


「あ、上がった」

「最初は早いわよ」

「ん。1回ごと、あがる」

「だなあ」


 空間魔法のレベルが上がった。もう一度作って石を取り出す。取り出したい物を思い浮かべるだけでいいみたいだ。


「どうせならお金や食料とかを入れておきなさい。システムメッセージに聞いたら最初の内だけに現れる支給品って所に当座の資金と食料が入ってるらしいわよ」

「どれどれ」


 見てみると金貨が1枚と銀貨が50枚入っていた。貨幣価値がわからないからなんとも言えないけど、どうなんだろ? まあ、それなりのお金だろう。それよりも食料だ。パン10個に干し肉6個、麦1個、水筒1個。これが食料に分類される。それらに加えて背嚢1個、毛布1枚、火打石1セット。最低限野宿できる用意だね。しかし、麦って精米どころか、そのまま刈り取りましたって感じで置かれてる。まあ、アイテムボックスに仕舞っておこう。入れて仕舞うと穴が消えてレベルが上がった。でも、もう一回すると今度は上がらなかった。どうやら結構な量が増えているみたいだ。


「よし、掘れた。まあ砂鉄だけどな」

「それじゃあそれを塊に変えないといけないわよね」

「それも土魔法でできる。そっちも地中を探して鉱石を探してくれ」

「わかったわ」

「あ、死骸、欲しい」

「死骸か!?」


 ひなたの言葉に驚いてしまう。


「……アンデット、する……」

「わかった」

「任せて」

「いいのかなあ……」


 まあ、ボクはお父さんが作った鉄の塊をアイテムボックスに入れていく。でも、3レベルからが上がらなくなった。アイテムボックスの容量は使うごとに増えているからこのままするけど。でも、どうせ入れて消すだけだから千里眼を使いつつ行うことにする。千里眼はまだレベルが上がってないしね。

 モンスターの方を覗くと共食いをしだしていた。小型のモンスターが大型のモンスターに食べられている。もちろん、小型のモンスター達は必死に逃走している。数メートルもある虎や狼、クマ、サイなどの大型モンスター同士でも戦っている姿が見える。ちょっとした怪獣大決戦?


「ひなた。モンスターの死体が欲しいんだよね」

「ん、欲しい」

「しばらく待ったら手に入るかも」

「え?」

「今、モンスター同士で戦ってるんだよね。大型なのも含めて」

「消えたら貰える」

「うん」

「監視して常に情報を教えて。ひょっとしたら生き残ったのも倒せるかも知れないわ」

「本当?」


 キラキラした瞳でボク達を見るひなた。そんなに欲しいんだね。わからなくはないけど。


「ええ。生物なら呼吸ができなければ死ぬわ。あなた、準備しましょう」

「そうだな。用意しておくか落とし穴を」

「ええ」


 埋めちゃうんだね。確かに倒せそうだよ。でも、そこまでしたら可哀想な気がするけど……いや、モンスターはボク達を食べようとして集まってきたんだし……し、仕方ないよね?


「そういえばどうして集まって来たのかしら?」

「えっと、それは……」


 ボクは極大魔力の事を教える。するとお母さんは納得したようだ。


「精神障壁で鑑定とかを防げるらしいから油断したわね」

「隠蔽系は必要だったか」

「どうにかしないといけないわね」

「……空間魔法……結界、ある……?」

「結界か……わかんないや」


 空間魔法のレベルは3。使える魔法はアイテムボックスだけ……あっ、増えてる。空間魔法の所にはアイテムボックス以外に空間設定と重力操作が追加されていた。




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