列車開発と牧場開発1
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僕はお父さんの居る工房へとやって来た。ユエと調の二人には外で待っていて貰っている。
「城の地下に工房を作りたいとだと?」
「うん。駄目かな」
「駄目だな。城の地下は結構危ない事になってるからな」
「え?」
「精霊樹で生成された魔力が大地にも放出されているんだ。お陰で地下室の更に下は魔力が渦巻く危険な状態だ。土精霊達が成長と鉱脈を作るエネルギーとして使って調整しているが、少なくとも安定させるまでは手が出せない」
それって爆弾が埋まってるって事じゃないの?
「大丈夫なの?」
「平気だ。精霊が消費している魔力の方が上回っているからな。魔力を持つ鉱石が沢山出来るだけだ」
「そっか。じゃあ、土地を貰っていい?」
「何をするんだ?」
「牧場と工房が欲しいんだ」
「一号大樹の周りなら好きにしていいぞ。外なら地下も空いているからな」
「わかった。ありがとう」
「まあ、頑張れ。困った事があれば相談しに来い」
「うん」
外に出て二人と合流して一号大樹を目指して歩いていく。
「それでどうする?」
「一号大樹の外側に地下工房を作る。内側は牧場かな」
「魔物さん達の住処ですね」
「そうだよ。魔力は大量にあるし空間魔法で色々とやりたい」
「本当に便利ね」
空中回廊を三人で並んで歩いてい一号大樹を目指す。一号大樹と精霊樹の間に存在する空中回廊は互いから伸びた大きな枝によって作られている。手摺こそあるが、落ちたら不味い事になる。それに距離も長いただの道だった。昨日までは。でも、今日は精霊樹と大樹達の間に何本か大きな木が出来ていた。そこは空中回廊から中に入れるように接続されていた。入れる場所も広くて公園みたいな感じになっている。
「公園ね」
「でも、昨日までは無かったんだけど」
「下で何人かが出入りしていますね」
「聞いてみるか」
精霊さんに聞いてみたら、これらは住居との事だ。住民が増えたから急遽生活スペースを増やしたみたいだ。それと大樹に店舗が作られる予定だとも教えてくれた。
「ありがとう。それと土精霊さん達を一号大樹に集めてくれるかな?」
『がってんだー』
『集まる~』
精霊さん達は直ぐに飛んでいって仲間達を集めにいってくれる。
「それで、なんて?」
「住居らしいよ」
「ここに住むんですね。賑やかになりそうです」
「ここ自体が観光名所にもなりそうだしねえ」
「この世界で観光なんて滅多にできるものじゃないわよ。それこそ移動手段が無いとね」
モンスターが蔓延る世界で馬車は危険するぎる。それにモンスター以外にも盗賊といった驚異も存在しているんだから。
「だから僕が、僕達が作るんだよ」
「列車を作れれば問題は解決ですね」
「護衛と武装も考えないといけないのだけどね」
「問題点は多いけど、やる価値はあるよ」
「確かに」
「そうですね」
話しながら歩いていると一号大樹に到着した。ここからは階段か鶴で作られた昇降機で降りる事になる。今回は昇降機に乗ることにする。昇降機はリフトと同じだ。常に動き続けていて、タイミングを合わせて乗る事になる。
「危険じゃないですか?」
「子供は危険でしょうね。後荷物が多いと」
「ああ、それは大丈夫だよ」
昇降機に近付いて待っていると無数の蔦が伸びてきて僕達を引っ張り上げて昇降機に乗せていく。この蔦が落下も防止してくれるのだ。聞いた時はデタラメだと思った。
「なるほど。降りる時も勝手に降ろしてくれると」
「うん。もっとも、出口に並ばないといけないけどね」
大樹の内部をゆっくりと降りていく。大樹の内部は中央が吹き抜けになっていて、吹き抜けを囲むように幾つもの空き部屋が階層毎に存在する。あれが店舗になるんだろう。
「しかし、遅いわね。急いで降りるのには不便ね」
「そうだね。飛び降りるくらいしかないんじゃないかな」
「バンジージャンプみたいな感じなのを用意すればいいんじゃないですか?」
「危険だけど有りだね」
後はポールを滑り降りるみたいなのとか。消防隊の訓練とかみたいにするのも面白そう。そんな事を考えながら地上に到着した昇降機から降りる。
『集まったよ~』
『何する、何する?』
大量の土精霊達が待っていてくれた。まあ、その殆どが生まれたばかりの子達なんだけどね。
「うん。まずは外に出ようか」
『『は~い』』
皆で大樹から外側に出る。そこは整地された道と広大な森が広がっている。よく見れば森は明らかに成長している。
「なんだか来た時よりも成長しているんだけど?」
「そうですね」
『魔力いっぱい~』
『ぼくたち』
『『いっぱ~い~!』』
精霊達が多くいる所は豊かな土地になるのかな? それに魔力も大量にあるから成長が速いのかも知れない。まあ、別に切り倒すんだけどね。
「ここに地下の空間を作るから手伝って……」
「空間魔法で出来るんじゃない?」
「あっ」
「リン君一人でできそうですよね」
「できるかも」
空間設定を使って地下の空間を指定して大量の土などを抜き取る準備をする。同時に地上が崩壊しないようにしないといけない。橋のようにすると強度が足りない。まず、地上に空間設定で盛り上がって来ないようにする。それから内部に支柱ができるようにして支柱の周り、複数箇所に空間を押し広げるように設定して行う。
地震すら起きずに地下に空間が出来た。押し広げられた土などは圧縮されて硬くなっている。これは支柱も同じだ。現在は空間魔法で支えているので崩れもしない。
「さて、土精霊さん。土から鉱石を抜いて岩壁にしゃって」
『任せろ~』
『魔力魔力~』
極大魔力のレベル1分を与えると生まれたばかりの低級精霊達が急激に成長して力を発揮していく。それらを中級精霊達が統括して効率よく作業してくれる。
「私達はやる事がないわね」
「そうですね」
「あ、二人はこの木材を加工して柵を作ってくれないかな?」
アイテムボックスから道を作る時に伐採した丸太を取り出して道に積み上げていく。
「いいわよ」
「はい。それじゃあ、私が切るので調ちゃんは乾燥させてください」
「はいはい」
二人が作業を開始したので、僕は空間魔法を使ってもう一つの作業を行う。それは一号大樹から地下の空間に移動する為の道を作るのだ。といっても、壁を取り除く簡単な作業なんだけどね。僕がやっている間に精霊さん達も人海戦術ならぬ精海戦術で鉱石を取り出して純度の高いインゴットに変えてくれる。
『終わった!』
『次は~?』
「そうだね……」
僕は空間設定を解除して問題無いかを調べる。幸い、崩れもしないので大丈夫そうだ。安全が確認出来たので地下に作った広大な空間を改造していく。鎖やアームなどを作ったら長時間居る為の部屋なども作成していく。最後にお父さんが使っていた製図機を作り出す。これらがお昼過ぎに出来てしまった。
「そっちはどう……って、何してるの?」
「いえ、言われた通りにしてるだけですよ?」
「そうね」
大量に積み上げた丸太は綺麗な角材に加工されて大量に積まれている。その横には角材を使って作られた柵がある。こちらも数が多い。
「なんだか凄く上手いんだけど」
「そりゃ、経験値10万倍じゃこうなるわよ」
「木工を習得したら4まで直ぐに上がりましたから」
「なるほど」
凄い成長速度だよね、本当に。
「お昼ご飯を食べたら柵を設置しに行こうか」
「そうね。お腹が空いたし」
「私もです」
皆で一号大樹に入るとティナがランチボックスを持ってこちらにやって来た。
「皆さん、お昼ご飯をお持ち致しました」
「ありがとう」
「助かる。あの通路は面倒だから」
「ですね」
「じゃあ、皆で一緒に食べようか」
「「「はい」」」
草原の方に出てると草が刈り取られた石畳の道が作られていた。道の左右には木々が植えられており、道を覆うように枝と花によるアーチが形成されている。上にある空中回廊を下から見上げさせない為だと思う。落ちてこないかと不安に思う人も居るかも知れないし、これでいいと思う。それにほんのりと花が光っているので歩いているだけで楽しくなる。
「エリゼさん、どれだけ凝ってるのよ」
「徹底的にやってるみたい」
「お母さんは加減ってあんまり知らないからね」
「素晴らしいお方じゃないですか?」
「そりゃそうね。こんなのをぱっと作れるんだから」
「あははは」
お母さんは凄いけどやり過ぎるんだよね。まあ、便利だからいいけど。っと、ここから草原に出られるね。
アーチの途中で木々の壁が無くなっている場所があり、道もそちらに繋がっている。途中までだけどね。まだまだ開発中なんだろう。
「ここから草原に出られるみたい」
「どうせならお日様の下で食べたいわね」
「うっ……太陽は嫌いです」
「パラソルでも作ろうか」
草原に出た僕は精霊さんにお願いして鉄製のパラソルを作る。なぜ鉄製かって? ユエにも持てるようにする為だよ。
「よっと」
パラソルを広げて地面に突き刺す。大きめなので充分な日影を作れる。
「それじゃあ、ご飯としようか」
「そうですね」
「今日は何なのかしら?」
「本日はサンドイッチになります。それも不思議な事に柔らかいパンで作った物です」
「不思議なのかな?」
柔らかいパンって一般的なんじゃないの? 酵母菌を入れればいいんだよね、確か。
「リン~私達の国とは違うわよ。ここじゃ柔らかいパンなんて無いんだから」
「そうなんだ」
「おそらくエリゼさんが作ったんでしょうね」
「はい。柔らかくなる木の実を砕いて入れるらしいです」
酵母菌の代わりを木の実で代用したの!?
「やりたい放題ね」
「それを狙って汎用性の高いスキルになさってますしね」
「ゲームで料理なんて考えてなかったからありがたいんだけどね」
「そうだね」
「どうしたんですか?」
「なんでもないよ。食べようか」
サンドイッチは野菜と塩胡椒で味付けされた肉が挟まれただけの奴だ。
「頂きます」
「「頂きます」」
「頂きますとはなんですか?」
「僕達の国で食べ物になった物達全てに感謝しながら食べるという意味の言葉だよ」
「そうなのですね。こちらでは神様に恵みを頂いた感謝の祈りを捧げるのが一般的です」
「どちらも変わらない」
「そうですね」
「ティナもどっちでもいいよ」
「では、両方にさせて頂きます」
ティナは手を組んで祈りを捧げた後に頂きますと言って食事を開始した。
「「っ!?」」
「相変わらず美味しいですね」
「そうだね」
僕はユエに食べさせてあげながら自分も食べる。片手でサンドイッチを一つずつ持っている。もちろん、ユエの食べる速度に合わせている。
「野菜が甘いんだけど……」
「そうですね。こんな甘い野菜と美味しい肉は初めてです」
「香辛料とハーブがふんだんに使われているわね」
「胡椒とかも独自生産だしね。塩はどうやっているかはわからないけれど」
「水精霊さんに塩水を出して貰っていましたよ」
「よくやるわ……」
「僕が病気になってから料理は凄く気を使ってくれてたからね」
食べられる回数に限りがあるから、出来る限り美味しい物を食べさせてくれるように努力してくれたんだよね。食べ物の制限もされてたし、食べても戻しちゃう場合もあったから本当に迷惑を掛けたと思う。
「リン君……」
「病気ですか……」
「今はもう大丈夫だよ。それより早く食べよう」
「そうね」
皆で食事をした後はゆっくりとする事にした。
「お昼寝をしようか」
「いいですね。でも、雪は降っていませんが少し寒いですよ」
「そこは火の精霊さん達にお願いするから」
僕がそう言うと火の精霊さん達が周りをいい感じに温めてくれた。
「それじゃあ、僭越ながら私が膝枕をさして頂きますね。どうぞ、ご主人様」
ティナが草原の上に正座して膝を叩いてくれる。恥ずかしいけれど、ちょっと興味があるのでやってみる。ティナの甘い香りと柔らかい太ももの感触が心地よい。それに優しく頭を撫でてくれるので気持ち良くて瞼が落ちていく。
「むぅ……私じゃリン君に膝枕をしてあげられません」
「そうね。硬くて冷たいだけだし。私とティナがやればいいから、ユエはほら、私ので我慢なさい」
「わかりました」
どうやらユエも隣で調に膝枕をしてもらったようだ。僕達はそのまま穏やかな日差しと緩やか温もりに包まれ眠りに就いた。




