第7話 国王と騎士団長
遅くなり申し訳ございません…
王都ソロモンに入った俺たちは、乗っていたLAV‐Ⅲから王族専用の馬車に乗り換えて王都の中心、王城へと向かった。
王城は石造りのザ・中世ヨーロッパの城!といった感じの建物だった。
中心の建物を中心に四つの塔、城壁で囲われ、美しさと無骨さをかもしだしている。
…もっともよくわからない俺は大きい以外の感想はなかったがリリィたちは楽しんでいたようなので良しとする。
王城に入り、シルヴィアたちと別れた俺たちは国王の謁見に使われる謁見の間の側にある控室に通されていた。
どうやら国王に謁見しなければならないらしく、準備ができるまで待たされているのだ。
(謁見かぁ…イギリスの王女殿下の護衛の時に国王と会った時以来だな…あん時と同じように正装の方がいいかな?)
おもむろにPDAを操作すると次の瞬間にはアーマーを着た状態から黒の制服となっていた。
漆黒の詰襟のジャケットにパンツ、そして官帽。ジャケットの左胸にはマサトのために作られたと言われたほどの英雄勲章、左腕と官帽には大鎌と漢数字の零を合わせた部隊章をあしらったものだ。
しばらくして謁見の準備が整ったようで呼びに来た騎士に付いて行った。リリィはマナとリナに着いてもらい控室で待たせていた。
謁見の間はこれまた想像どうりで、広い部屋の中心に長いカーペットが敷かれており、その先には階段とその上に玉座と思わしき仰々しい椅子が置かれており、そこには壮年の男性が座していた。
歳は50といったその男は質のよさそうなだが決して趣味の悪そうな服ではなく威厳を感じさせる。男の身体は肩幅が広く、よく鍛え上げられている印象を受けた。
その男は
「余はソロモン王国第17代国王、アーノルド・オルセインである」
国王だった。
〈side アーノルド〉
(ふむ…こやつが例の報告にあった者…か?)
アーノルドの視線の先には漆黒の礼服で身を固めた少年が立っていた。
(本当にこの者が?まだ子供ではないか…だが、なんなのだこの気配は…明らかにこの者は相当な実力者だそれは間違いない。だが、明らかにその魔力を隠すのが上手すぎる)
マサトは今、いつも戦場で放っている気を完全に消していた。それはこちらの世界では魔力と呼ばれるものだがマサトはそれを知ってはいなかった。
(これに気づいているのはごく一部か)
この場には国王とその護衛、軍の上層部、騎士団長、文官数名に名のある貴族達だが、築いていたのはアーノルドと騎士団長のみだった。
(面白い…面白いぞ!)
かつて戦場を駆け抜けた時と同じ感覚に年甲斐もなく歓喜していた。
〈side out〉
そのあとは意外にも早かった。
どうやらシルヴィアとエルナから異世界人ということ、ロリ神(自称)の事は聞いていたようで、まず国王であるアーノルドから感謝の言葉と士官の誘い、褒美としての爵位などが提示されたがマサトが丁寧に断り、結果、白金貨10枚の価値がある王貨を100枚、100億ガルを受け取り貴族?と思われる肥えた奴らから見下すような視線を向けられ続け、シルヴィアから改めて感謝を述べられ王城を後にする…はずだった。そう、はずだったのだ。
「なんでこうなった…」
今俺は王城内にある騎士団の訓練場にいた。
なぜか?それは帰ろうとした際に国王が行ったことが原因だろう。
曰く俺と手合せがしたい。
曰く実力を見てみたいと…
流石に国王との手合せは恐れ多いと拒否したのだが「余ではなく騎士団長ならば問題なかろう?」とのありがたい一言でいつの間にかてあわせをすることになってしまった。
俺の前には騎士団長のチャールズ侯爵が剣を抜き合図を待っていた。
「マサト殿、武器は抜かれぬのか?」
「ええ、これで行かせてもらいます」
そう言って拳を握った。
「不可思議な武器を使うと聞いていたのだが…まぁいい、不可思議な武器を抜かさせてみせよう!」
審判の合図とともにトップスピードまで加速したチャールズ候爵はマサトに向けて左下からの切り上げを仕掛けるが横の平行移動で回避、胴に掌手を打つが鎧を掠るだけですぐさま横薙ぎ、振り下ろしを仕掛けてくる。
横薙ぎをバックステップで躱し振り下ろしは体をひねって躱す、同時に手首を持ち捻り上げ剣を叩き落とし胴に膝蹴りをお見舞いする。
そのまま足を払いうつぶせに倒しながら腕を背中にひねりながら押さえつけナイフを首筋に当てる。
「そ、そこまで!」
審判の騎士が慌てた様に試合の終了を告げると拘束を解いた。
『…………………………………』
む、無言がいたい…
試合の開始から5秒で試合終了という試合なのかわからないものを叩き出しこの場に居る国王やシルヴィアをはじめ騎士団のみなさんが固まっている。
リサやマナも同様だ。リリィだけは目をキラキラさせているが。
「お、おーい…」
取りあえず近くにいたリサに声をかけてみる。
「…」
…返事がないただの屍
「ハッ!ちょ、マサト!な、なにあれ!」
「い、今なんかすごい速度で無力化しましたよね…」
「パパすっごーい!」
帰ってきたと思ったらいきなり詰め寄られたじたじになってしまった。
それにしてもリリィはすごいしか言って無い気がする…
「マサト殿…」
とここでチャールズ侯爵が復活して国王に伴われてきた。
「今のはどういった技なのだ?良かったら教えて頂きたいのだが…」
「どういったって言われても…相手の腕をつかんで捻り上げて握力が弱くなったところで武器を叩きをとして腹に膝蹴りを入れ即座に足を払って倒して腕を拘束して首にナイフを突きつけただけですけど…」
言い終わるとなぜかみんなの顔が驚愕に染まっていた。あれぇ?
「あ、あの一瞬でそれだけのことをしたというのか?」
「いや、それだけって…余裕でしょ?」
『普通は出来んわ!!』
おお、ハモったハモった。
「マサト…ナイフで剣をそらすことはできるけど、そんなことは出来ないから…」
「普通は出来ませんよ、マサトさん」
「え、俺の居た世界の2~3年軍人やってる奴ならみんな出来るぞ?」
『……………………………………』
再びの沈黙。
『……………………………………』
さらに沈黙。
「いや、弓矢なんか放たれてから手で掴めるくらいじゃないとうちの戦場だと生き残れないし…」
『……………………………………』
もはや絶句。
そのあと何とか回復した皆さんと別れて王都にある宿屋へと入った。名前を『葡萄と樽亭』という。姉妹店か何かかな?
夜になりリリィを寝かしつけてから今後の事を考えていた。
(取りあえずギルドのランクを上げつつ拠点を確保したいけど…安全を考えるなら王都とかかな?)
『ご主人様』
「なんかあったか?」
『現在王国と帝国のほぼすべての地図の作成が完了しました』
「お、そうか…なんかめぼしいとこでも見つけたか?」
『はい、実は生体反応のない島を発見しました』
「生き物がいないってことか?」
『肯定。植物は自生しておりますがその他の生物が確認できません』
「火山島とかの可能性は?」
『ありません』
「それが本当なら拠点としては一流なんだが…拠点を作るのがなぁ」
『問題はないかと』
「ん?どういうことだ?」
『ついさっきPDAがアップデートされ、新機能のほかにAIのバージョンアップ、メールが届いております』
「へ?」
そういわれPDAを見ると確かにメールが届いていたので開くと案の定あのアホからだった。
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新着
flom アテナ
sud 依頼とそれに伴うサービス
ヤッホー!アテナちゃんだよ!って閉じようとしないで最後まで読んで!お願いだから!
実は聖教に関する件でほかの神達に対応を迫られてね?一度聖教をというか帝国を潰せば良いんだけど、そっちからそういう事をして貰わないといけなくなって…
一応マサトくん私の使徒って奴だがらお願いしたいなーと…
でもお願いだけじゃなんだから一応ご褒美もということで新機能&パワーアップさせてみました!
新機能はMSNUFACTURE-製造、通信機能。
MSNUFACTURE-製造は指定圏内(再設定不可)で兵器の製造や拠点の構築などが一発でできる便利機能!国を作るのも余裕だね!
範囲は半径30㎞圏内。ちょっとした島くらいのサイズだね!
通信機能はこのPDAと同じような仕組みなら電話やメールができるよー。これで私とも話し放題だね!MSNUFACTURE-製造とあわせれば無線機やケータイも作れちゃう!
次にパワーアップだけど、AIのパラべラムちゃんのCPUやHDDを大幅改良!
向こう10000年世界中すべての事象を記録しても問題ないHDD!
陸海空軍国家レベルの兵器群を同時かつ精密操作しても余裕なCPU!
これでよろしく頼むね!じゃ!
ps.
アンドロイドも作れるようにしたからパラべラムちゃんに肉体を作ってあげること!
それから兵器の動力を変えられるような設計図も入れておいたから後で改造しておいてね?
それと言い忘れていたけどそっちにはステータスってのがあるからきちんと確認しておいてね!
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「…なるほど、チートが加速したと、そういう訳だな」
『逃避しないでくださいご主人様』
「いや、いいんだけどね?どうせ帝国は潰すつもりだったしさ…通信も欲しかったさ!拠点も作りたかったさ!」
『ご主人様が壊れ始めました』
「ふ~…すまん取り乱した」
『では拠点の建造はいたしますか?』
「その島の大きさは?」
『本島が東西20㎞、南北25㎞。分島らしきものが島の西側5㎞地点にあり東西10㎞、南北30㎞。本島の中心部から半径30㎞圏内にありますね』
「分かった…明日行ってみよう」
『了解いたしました。島の周辺の警戒を強化致します』
「ああ、頼んだ。リリィ達は連れて行かずにさっさとやってしまおう」
『承知いたしました』
「パパ…」
とリリィの方を向くとどうやら寝言だったようだ。
「…このあたりの警戒も頼んだよ」
『了解致しました』
王都の夜は更けていく…
「そうだ、ステータスの確認をしておくのを忘れてたな」
どうやらステータスもPDAで確認できるようなので安心した。PDA様様だ。
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ステータス
NAME マサト・ヒイラギ
LV 測定不可
種族 現人神(仮)
HP 1500000/1500000
MP 50000000/50000000
STR 20000(500)
VIT 2000(1000000)
AGI 5000(2500000)
INT 50000
MND 5000
DEX 7500
※()内は銃器、アーマー使用時
スキル
射撃Ⅴ
CQCⅤ
刀術Ⅴ
操車Ⅴ
ヴァッフェ・クリエイティブⅤ
称号
死神 最高神の使徒 女殺し(笑) 若父 亜人の救世主
加護
最高神の加護
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…これはあれか、これが一周回って落ち着くって奴か?
(ふむ、『ヴァッフェ・クリエイティブⅤ』ってなんだ?)
さっそくクリックすると詳しい説明が出てきた。
ヴァッフェ・クリエイティブⅤ
この世界とは異なる世界の兵器を作り出す能力。最高神がマサトに与えたこの世ならざる力。
作り出す所と召喚するところのみ魔力を消費する。
最高レベルの能力で軍需品なら製造可能だが、異なる世界と同じものなので燃料などに注意が必要。
どうやらPDAの能力はこのスキルのようだ。
(いろいろ突っ込みどころがありすぎるんだが…)
現人神(仮)
地上に現れた神。人にして神となった者。
最高神により生み出されたが魂は人のままなので未熟な神になる。
愛する者が全て天界人となる。不老。
女殺し(笑)
強烈な出会いのあった女性たちにほぼ強制的惚れられた者の持つ称号。
ハーレムの主の持つ称号。
最高神の加護
最高神アテナの加護。さまざまな能力を上昇させる。
効果 魅了 精力上昇(人数×MND) カリスマ 不老化
不老化
愛したものを不老にする
「…………」
(…寝るか)
マサトは全てを無かったことにしたのだった…
ほかの子のモノも一応…
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ステータス
NAME マリ
LV 12
種族 人狼族
HP 300/300
MP 100/100
STR 500
VIT 500
AGI 3000
INT 90
MND 500
DEX 750
スキル
短剣術Ⅱ
加護
なし
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ステータス
NAME リナ
LV 12
種族 人弧族
HP 300/300
MP 1000/1000
STR 500
VIT 300
AGI 2500
INT 200
MND 500
DEX 750
スキル
弓術Ⅱ
加護
なし
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ステータス
NAME リリィ
LV 3
種族 エルフ族
HP 50/50
MP 5000/5000
STR 250
VIT 100
AGI 500
INT 70
MND 50
DEX 70
スキル
精霊魔術適正
加護
なし
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これは比較用に一般的な冒険者のもの…
ステータス
NAME ?
LV 30
種族 人族
HP 300/300
MP 300/300
STR 300
VIT 300
AGI 300
INT 30
MND 300
DEX 500
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