表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「魔女と鳳凰と輝夜姫」(セーラー服と雪女 第18巻)  作者: サナダムシオ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/31

⑧ 巌流島

 カグヤは目を見張った。

 そこで木刀を構えている人物は、紛れも無く、あの"式神のムサシ"だったからだ。


「アナタの想い人は、ちゃんと生まれ変わったみたいね?」

 隣で雪子が囁いた。


「…ああ、本当ですね。ありがとうございます。」

「こんなの、大したことじゃないわよ。ただ私は、少女時代によく、吉川英治センセイの小説を読んでいただけ。」


「…でも。」

「…どうかした?」

「私が最後にムサシ様に出会ったのは、確か西暦1796年だったような…。」


「ああ、センターコンソールの座標数値を気にしているのね?恐らく彼は、その後誰かによって滅せられて、式神として生まれた時点まで戻ったのよ。つまり、西暦940年からの魂のリセットって訳。」

「…はあ、そういうモノなんですね?」


 カグヤは取り敢えず納得した。

 それよりも、現場の決闘の行方である。


 純粋なフィジカル能力は、私と互角かそれ以上のムサシ様が、負けるはずも無いけど…。

 そう思いながらも、心配そうに見つめるカグヤであった。


 小次郎は既に大刀を抜いており、それをまるで野球の右バッターのように、後ろに引いて、腰をやや屈めて構えていた。


 およそ、自らの高身長を、活かしているとは言えない構えだが、大刀の長さを、武蔵に悟られないようにするためであろう。


 そして、その構えから、様々な角度で相手を下から上に、薙ぎ払うことが出来るのだ。


 対して武蔵は、木刀を上段に構えていた。

 彼もやはり、頭の後ろに木刀を振りかぶることで、小次郎に木刀の長さを悟られないことが、作戦だった。


 砂浜で、ジリッジリッと、お互いに間合いを詰めていく二人。


「とぉっ!」気合いと共に、大刀を斜め上に薙ぎ払う小次郎。

 武蔵はそれを、その場にサッとしゃがんで躱す。

 小次郎の剣が、武蔵の乱れ髪を僅かにかすめた。


 しかし、武蔵が反撃の一太刀を振るう前に、今かすめて行ったばかりの小次郎の大刀が、一度描いた軌道をなぞる様に、斜め上から下に即座に戻って来た。

 これぞ、所謂"ツバメ返し"である。


 しゃがんだままの姿勢から、まるでカエルの様に、

一気に斜め上に飛び上がる武蔵。


 彼はその動作で、小次郎のツバメ返しを躱しつつ、上段に振りかぶっていた長い木刀を、一気に振り下ろした。


 間合いは、充分に詰められていた。

 空中から放たれた武蔵の渾身の一太刀は、見事に小次郎の額を捉え、それを割ったのである。


 このように、二人の決着は、一瞬の出来事であった。


 小倉藩士の長岡佐渡と、細川家の家老の沼田延元が、それぞれ、倒れている小次郎の状態を、即座に見聞し、武蔵の勝利を認めたのだった。


 勝利を宣言された武蔵は、急いで小次郎を介抱しようとしたが、それを沼田延元に止められた。

 彼は仕方無く、あらかじめ細川家が用意しておいた小舟に乗り、巌流島を離れて行ったのだった。


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ