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「魔女と鳳凰と輝夜姫」(セーラー服と雪女 第18巻)  作者: サナダムシオ


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⑦ 花婿の第二候補

 翌日、雪子は、勝手知ったるサン・ジェルマンのシルバーのビートルを借りて、雪村とともに、カグヤを乗せて出かけることにした。


 彼女は、久屋大通の地下駐車場から、ビートルを出すと、早速、光学迷彩をかけて垂直上昇した。 

 そしてそのまま操作パネルにナニやら座標を打ち込むと、次の瞬間にはもう、時空転位に移ったのだ。


「雪子さん、そんなに慌てなくてもイイですよ。」

 後部座席の雪村は言った。

「いいえ。すっかり忘れてたけど、アナタは不老不死じゃないものね。だから、アナタの時間は貴重だわ。」


「はあ、お気遣い、どうも。」 

 じゃあ、最初から誘うなよ。という言葉は飲み込んだ雪村である。  


「それで、彼女をどこへ連れて行くんですか?」

「彼女の身の上話から考えられる、花婿第ニ候補の所よ。」


「…それは、僕の次って事ですね?」

「そうよ。そして、生身のニンゲンの能力としては、日本の歴史上、恐らく最強と謳われる人物…。」


「…ああ、分かりました。」

「…?」

 助手席のカグヤは、ピンと来ていないようだった。


「話は変わるけど…。」

 カグヤは助手席をチラリと見る。

「アナタ、もう少し年齢を重ねると、背中の翼が大きくなって、髪の色が蒼くなったりするのかしら?」


「…そうなんです。よくご存じなんですね?」

「…ああ、もう、間違い無いわね。」

「…?」

「その件に関しても、後で確かめに行くから…。」

「…そう…なんですね?分かりました。お供します。」


 そんな会話を交わしている間に、クルマは目的地の座標に出たようだった。

 雪村は後部座席から、センターコンソールの表示を見た。そこには、こんな表示が出されていた。


 1612年4月13日9時00分。

 北緯33度56分。

 東経130度56分。


 山口県の…下関市のあたりかな?

 彼には、何となく目的地の見当がついていた。

 眼下に見えるのは、例のアノ島だろうか。


 ビートルは光学迷彩をオンにしたまま、その島の浜辺へと静かに降下した。

 三人はクルマから出ると、岩陰から、現場の様子をコッソリとうかがった。


 そこでは、2名の立会人の元、二人の剣士が、今まさに、決闘の決着をつけようとしている最中であった。


「涼し気な目元でスマートな体格をした、長剣を構えた方が佐々木小次郎。野性的な目をしたガッチリ体型の、舟のオールを削って作った木刀を握っている方が、宮本武蔵です。」

 ヒソヒソ声で、雪村がカグヤに解説した。


挿絵(By みてみん)

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