③ 探し求めたキミ
2時間後、真田雪村は、名護屋テレビ塔の亜空間レストランにやって来た。
彼は今日も、グレーのフード付きパーカーにジーンズという、ラフな服装だ。
先程の鷹志からの電話で、遠方からの客人とのことだったので、酒井弓子との楽しい逢瀬を切り上げて、出来るだけ急いで来たのだった。
だが、そこに居たのは見慣れない顔の、巫女姿の美しい女性だった。
ま、彼もキレイな巫女さんは、性癖にどストライクなので、悪い気はしなかったのだが…。
「初めまして。私はカグヤと申します。遥々、惑星ニビルからやって来ました。」
「初めまして。僕は真田雪村です。ここに居る由理子、香子の兄です…って香子!?」
「…なによ?」
「いや、コミケでもない所に外出とか、珍しいなって…。こんな場所で会うのも意外だから。」
「私も仕事の無い日は、コチラの冒険パーティーに参加することにしたから、ヨロシクね、お兄ちゃん!」
「あ、ああ、分かったよ。ヨロシク。」
「イキナリですけど、単刀直入に伺います。アナタが、惑星ニビルをケプラー星系に瞬間移動させた方ですか?」とカグヤ。
「はい。それは確かに僕がやったことですが、どうかこの件は、各方面にご内密に。」
「どうしてですの?強いチカラは誇るべきなのに…。」
「四次元とか五次元とかの、上位の時空の連中が、色々と五月蝿いんですよ。」
「そう…なんですね?分かりました。では内密にしますから、私の願いを一つだけ、聞いていただけますか?」
「お安い御用ですよ。何なりと。」
「じゃあ、私と無差別格闘技の試合をしてください。」
「ええ、イイですとも…って、ええっ!?」
「今、確かに承諾してくださいましたね?男に二言は無いですよね?はい、ありがとうございます。」
「え、なに?ちょっ…。」
「まあまあ、雪村、ちょっとだけ、付き合ってあげなよ。」と雪子。
「申し遅れましたが、彼女、戦闘民族なのですよ。」
とサン・ジェルマン。
「何ですか。ソレは!?」
「逆に何を期待したんです?」とサン・ジェルマン。
「…イイですよ。分かりましたよ。」
「では、早速皆さんで参りましょう。」
サン・ジェルマンがそう言うのをきっかけに、みんなでエレベーターに乗り、地下5階に向かった。
目的のフロアに着いて扉が開くと、そこは直に闘技場になっていた。 全くサン・ジェルマンとは、空きあらば、何でも作ってしまう男である。
「では、我々はこちらの端で、事の顛末を見守りますから、彼女の思いの丈を、受け止めてあげてください。」
サン・ジェルマンはそう言うと、壁際のベンチに皆を案内して、自分も一緒に腰掛けた。
「ああ、そう、そう…。」
「なんですか?」
「雪村くんは、全力を出しちゃダメですよ。ここでそんな事したら、名護屋市に、震度7の地震が起きてしまいますからね。」
「…分かりましたよ。」
些か嵌められた感を覚えながら、雪村は答えた。
闘技場の真ん中までカグヤを案内して、向かい合わせに立つと、雪村はこう言った。
「じゃあ、どうぞ。どこからでもかかって…。」
彼がセリフを言い終わる前に、とんでもないスピードとパワーの一撃が、目の前の可愛らしい巫女さんの、右手から繰り出された!




