㉘ アヌンナキ再び
「…他の方々も、もちろん何処かに、いらっしゃるのよね?」
由理子が、イシュタルに訊いた。
「ああ、この地方ではないけどね。因みに、アッチには、この地の者たちが作ってくれた神殿が有る。ワタシはそこに祀られているのよ。」
イシュタルは、そう答えた。
「はじめまして。私は由理子の姉で、香子と申します。やはり、あなた方が、我々日本人の祖先に、ヘブライ語を伝えたのですね?」
「ええ、そうよ。良く知っているわね。我々との、意志の疎通のために教えたのよ。」
彼女は、さも何でもない事のように言った…そして何かを思い出したようだった。
「ちょっと待って。はじめましてじゃないわね?遠い昔、確かテレビ塔のレストランで、会ったことが有る…。」
「…えっ?」
「ほら、ワタシよ。カグヤ、カグヤ・イシュタル!」
「ええ〜っ、あの巫女さん?でも髪の色が違う、って言うか、身体のサイズが!」
「巫女じゃなくて、非巫女!ワタシは戦闘民族なのよ。そしてコレは成長した姿なのよ。」
「ああ〜懐かしい、このセリフの応酬!」
「もう、分かったならイイわ。とにかく、我々は神々として、この地の者たちを教育しつつ、定期的にこの国全土にパトロールを行なって、時折先程のように、異世界からの略奪者たちを、追い払っているの…そうそう、さっきはアシストありがとう。そして年に一度は、出雲大社で、7柱のアヌンナキ全員が、落ち合う手はずになっているのよ。」
イシュタルからそんな話を聞かされて、香子はすこぶる満足そうだった。
どうやらこれが、彼女の求めていた、天孫降臨の真相のようだった。
「…イシュタル様、もう一つお訊きしてもよろしいでしょうか?」
香子は質問を続ける。
「ああ、何なりと訊いてちょうだい。古い友人よ。」
「ガイア人…つまり地球人に、金を採掘させてますよね?」
「ああ、それも知っているのね?やはり真田雪子の妹だわ。察しがイイ。だけど、我々は決して、ニンゲンを奴隷にしている訳ではないのよ。」
「…と、おっしゃいますと?」
「ちゃんと見返りに、相当量のオリハルコンや、勾玉、武器として利用可能な銅鐸、通信用のミラーなどを与えているわ。だからコレは、搾取ではなく、貿易なのよ。」
「オリハルコンというのは、この地方のニンゲンの言葉で言うところの"ヒヒイロカネ"の事ですね?」
「そうよ。よく知っているわね。」
イシュタルの、香子を見る眼が変わったようだった。
鷹志が別の質問をした。
「はじめまして…じゃなかった、お久しぶりです。ボクはここに居る真田由理子のパートナーで、杉浦鷹志といいます。やはり、先程の敵は、爬虫類族なのでしょうか?」
「うん。あのタイプの船とロボットは、定期的にヤツらが送り込んで来るモノなのよ。他の惑星でもよくやっている、ヤツら定番の省エネ侵略方法なの。因みにヤツらは"アラハバキ"っていう爬虫類族の一派なんだけどね。」
「…やはり、そうなんですね。だから出土する遮光器土偶は、一度完成させたモノを、ことごとく壊していたんだ…。」
鷹志も、前々から疑問に思っていた事を、この場で解消出来たようだった。




