㉗ 自然現象なら
「私のチカラは植物使い。アナタのチカラは動物使い。つまり、この場面で二人でナニかしても、自然の成せるワザってことに収まるのよ。」
香子が由理子に、分かるような、分からないような、理屈を説いた。
由理子はしかし、それで納得したことにした。
幸いな事に、二人のチカラは遠隔操作に向いているので、ビートルに乗ったまま、発揮することが可能っあった。
「じゃあ、鷹志君、暫くこの当たりの上空を、旋回していてもらえるかしら?」
香子がリクエストした。
「了解!」
鷹志の操縦で、ただちにクルマは、逃げ惑う人々の上空を回りだした。
まず香子が意識を集中させる。
するとそこら中の地中から、草木の根が這い出し、たちまち遮光器ロボットの手足に絡みついた。
次に、由理子がテレパシーで呼び出した、ワシやタカなどの猛禽類の集団が"ヒチコックの鳥"よろしく、一斉に敵に飛びかかって行った。
彼等は鋭い爪や嘴で、ロボットたちの装甲の薄い関節や、ゴーグル部分を攻めたてる。
姉妹二人のチカラの波状攻撃で、すっかりロボットたちは行動不能になった。
しかし、敵にトドメを刺したのは、別のチカラだった。
突如として空が黒い雲に覆われ、ゴロゴロと音がしたかと思うと、次々に稲妻が発生した。
そして、全てのロボットに落雷したのだった。
ソレは余りにも不自然な現象だった。
そして、由理子には、ソレに既視感があった。
彼女は無意識に、雷を操る主を探していた。
そして、ついにその姿を見つけたのだ。
それはアヌンナキの7柱の内の一人、戦争王イシュタル…あのカグヤの未来の姿だったのだ。
最後に、稲妻を掻い潜って逃げて行く敵ロケットに向けて、鷹志がビートル備え付けの、とって置きのミサイルをお見舞いした。
真っ黒な雲の中で"宇宙船大爆発"という名の盛大な花火が上がった。
「…って、ソレは自然現象じゃないから、ダメじゃん!?」
由理子が鷹志にツッコミを入れた。
「あ、ゴメン、逃げて行っちゃうから、つい…。」
「まあまあ、固いことは、言いっこ無しで。」
香子がフォローする。
そんなこんなで、鷹志はビートルを着陸させた。
地上ではイシュタルが、縄文人たちにとり囲まれて拝まれ、すっかり神扱いされていた。
そして、彼女は、コチラに気がついたようだった。
「あら、奇遇ね。由理子じゃない?今日は雪子は一緒じゃないのね?…あとの二人は、はじめましてかしら?」
「…こんにちは。」
鷹志と香子は、その身長2m級の、髪と翼の色が蒼い、天使のような、妖精のような存在に、恐る恐る挨拶をしたのだった。




