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「魔女と鳳凰と輝夜姫」(セーラー服と雪女 第18巻)  作者: サナダムシオ


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㉔  トラブル発生

「…さて、今日はコレで帰るけど、次のリクエストが有るのよ。」

 香子が言い出した。


「未来に関しては、納得したわ。だから次は、過去の疑問を解消しに行きましょう。出発日は1991年1月4日の金曜日、午前9時 でイイわね?鷹志君。」


「えっ?」

「ちょっと、お姉ちゃん、勝手に何を…。」

「私、すっかり気に入ったわ。アナタのビートル。」

「そう…ですか?」


「シルバーやレッドやイエローも、華やかでイイけど、やっぱりあのグリーンの車体色が、渋くてイイわよね。如何にもドイツ車って感じがして素敵。アナタの運転も、ジェントルでとても良かったわあ。」


「そう…なんですねえ。」

「ちょっと、ナニ丸め込まれてるのよ。シッカリしてよ鷹志。」

「いやあ、1月4日なら、色々年始の用事も済んで、動きやすいんじゃない?」

「もう、鷹志ぃ~。」


 そんな流れで、次回の香子の旅の予定は確約されたのだった。

「それまでに私は、どの時代の何を見に行くか、決めておくから。じゃあ鷹志君、よろしくね!」

 そう言って香子は帰って行った。


 由理子はまだ、ふくれっ面をしていた。

「まあ、まあ、ユリちゃん。これも将来の、義理のお姉さんとの親睦を深めておく、数少ないチャンスなんだから…。」


「分かってるけどぉ。私、お姉ちゃんの事が、苦手なのよねえ。」

「でも昔は兄姉妹、みんなで仲良しだったんでしょ?」

「…そうだったんだけど…最近はすっかり…ね?」


 鷹志は一人っ子だから、そのへんの事情は想像出来ない。が、何となく、親しい間柄故に、ぶつかりやすい事もあるのかな、とは思った。


 その後は、サン・ジェルマンのアジトも、仕事納めとなり、皆それぞれ実家に帰るなどして年末年始を過ごしたのだった。


 コレは、皆がそんな平和な年末を過ごす、少し前の話である。


 由理子と鷹志の二人に手を振って帰った香子は、帰り道で、ちょっとしたトラブルに遭遇した。


 地下鉄桜通り線で、久屋大通公園から名護屋駅に出た香子は、次にJR線を使って豊橋駅まで行った。

 駅の改札を出ると、最寄りのバス停から、丁度バスが出て行ってしまうのを見かけた。


 彼女は仕方無く、自宅まで歩くことにした。

「イイ運動にもなるし、たまにはいいわよね。」


 そんな感じに自分に言い聞かせ、もうすっかり暗くなった幹線道路の左手の歩道を、大きなリュックを背負って、トボトボ歩き出したところだった。


 突然、後方からやって来た黒いハイエースが、彼女のすぐ前で急停車すると、スライドドアが開いて、二人の男たちが飛び出して来た。

 二人とも黒い目出し帽を被り、黒いジャンパーに黒いズボン、つまり全身黒ずくめだった。


「あらあら、まるで名探偵コナンに出て来る、犯人みたい…。」などと下らない事を考えているうちに、彼女はその二人によって、クルマの中に連れ込まれてしまったのだった。


 そして、ただちにクルマは急発進した。


挿絵(By みてみん)

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