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「魔女と鳳凰と輝夜姫」(セーラー服と雪女 第18巻)  作者: サナダムシオ


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㉒  微妙な変化

 取り敢えず鷹志が、地下駐車場にクルマを入れたので、皆で付近を探索することにした。


 まず驚いたのが、テレビ塔の名前だった。

 1階エントランスに掲げてあるプレートに"中部電力MIRAI TOWER"と書いてある。


 いつの間にか、名護屋市のテレビ塔は、中部電力の持ち物になったようだ。

 まあ、どの道、サン・ジェルマンのアジトは、その裏側の亜空間だから、影響は無いはずだが…。


 取り敢えず、皆でエレベーターに乗ってみる。

 2階はイベントスペース。3階はグッズショップ、ラウンジ、カフェだった。そこは伯爵のアジトにむしろ似ていた。  


 そして驚くべきは、4階、5階だった。なんと、ホテルになっていたのだ。当然部外者は立ち入れない。サン・ジェルマンは、地下に居住区を広げていたが、表の時空では、上階が発達していたのだ。


 更にその上の展望デッキは、2008年に"恋人の聖地"に選定されたらしい。

「ねえコッチには、2022年にこのテレビ塔が、国の文化財に指定されたって書いてあるわよ。」

 香子は嬉々としていた


 そして3階の窓から、南側を眺めていた由理子が言った。

「取り敢えず、空飛ぶクルマは実現してないわね?誰一人、伯爵の技術力に追いついていないってことかしら…ねえ、ちょっと、中日ビルが変な事になってるわよ?それに手前にある、あの空中の、楕円形のプールみたいなモノは、何かしら?」


 「あ、こっにも、やたら背の高いビルが建ってる…あれっ、東急ハンズのビルはどこに行ったんだ?」 

 鷹志も違和感を感じたようだった。


「なんだか楽しいじゃない。そこのテレビはやたら薄くて横長だし…まるで映画館の、ビスタサイズ画面みたいね?」

 香子もはしゃぎ出した。  


 そのテレビでは、丁度NHK総合チャンネルで、ニュースを流していた。 それを見た香子の気分は、いよいよ最高潮に達したようだった。


「ねえ、みんな。ついにやったわよ。高市早苗が、総理大臣になってるわ。ついに日本で初めての、女性総理が生まれたんだわ。」

 香子はもう、狂喜乱舞の様相を見せていた。


 香子は生まれてからこの方ずっと、日本の伝統的な、いつまでもどこか、封建社会を引きずったような雰囲気が、大嫌いだった。


 彼女は"オトコは度胸、オンナは愛嬌"なんて言葉はクソ喰らえと、常々公言して憚らない人物であったのだ。 


 まだまだある。"オトコに二言は無い"とか、"オンナの腐ったような事を言うな"とか、"女々しい"とか、もっと"オトコらしく、オンナらしく"しろとか…キライな言葉には枚挙に暇が無かった。


 そうなのだ。

 彼女こそは、SDGsや多様性社会を先取りしたような、先進的な思想の持ち主だったのだ。そして2025年こそ、そんな彼女が永らく追い求めて来た、時代そのモノだったのだ。


挿絵(By みてみん)

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