② 憧れの君
「その…雪村様とやらは、今、どちらに?」
「どこかしら?最近あの子もフラフラしているから、正直、私も場所が把握出来ないのよねえ。向こうはコッチが見えてるのに、不公平よね?」
そう雪子に言われても、カグヤも困ってしまう。
「ああ、因みに私は真田雪子。雪村の…時空を超えた姉よ。コッチに居るのが由理子と鷹志。二人は付き合ってるのよ。で、アッチのメガネっ子が香子。由理子と香子は…まあ、私の妹みたいなものかな?」
と簡単に雪子がメンバー紹介をした。
「他にもチームには、酒井弓子や村田京子が居るけど…アナタが逢いたいのは雪村だけよね?」
「…はい。ここまで辿り着くのに苦労しました。何としても逢いたいんです。」
カグヤは切実な感じを顔に出した。
「う〜ん、どうしようかしらね。」
「あの、このセカイには、携帯端末とか、スマートフォンとかの、通信手段は無いのですか?」
「ああ、まだその時代には、なってないんですよ。仮に端末があっても、基地局やアンテナが存在しない。」と申し分けなさそうなサン・ジェルマン。
「ウチはまだ、ポケベルの導入もしてないしね!」
と追い打ちをかける由理子。
「その代わり、私が独自に開発したデバイスを貸し出してるじゃないですか。」
とサン・ジェルマン。
「そんなモノが有るんですか?」とカグヤ。
「まあ、おもちゃのトランシーバーみたいなモノですよ?」謙遜するサン・ジェルマン。
「仲間内だけの、腕時計型通信装置よ。次元転移装置や翻訳機能まである、優れモノなの。」と雪子。
「あと、あの便利なペンダントも有るわよねえ。自動車型タイムマシンは4台もあるし…サンジェルマン先生は、ホントに天才。あ、でも、どれも雪村兄様には、貸し出されてないわ。」と由理子。
「まあ、そんな訳ですから…しばらくココで待ってみますか?最近ふらっとやって来ることも、結構有るので。」
サン・ジェルマンにそう勧めれて、カグヤは取り敢えず、席についてお茶をいただくことにしたのだった。
「そうだ。ちょっと電話してみましょう。」
鷹志が気をきかせて、黒電話の受話器を取った。
「どこにかけるの?」と由理子。
「守山区の真田研究所だよ。」
「ああ、ワンチャン有るかもね?」
鷹志が電話すると、果たしてそこに雪村は居た。
最近すっかりご無沙汰だったので、その埋め合わせに、愛する弓子に会いに行っていたのだった。
実のところ、サン・ジェルマンも由理子も、最初からそんな気がしていたのだが、電話をかけるのはヤボかなと、敢えて話題にしなかったのだった。
鷹志ったら、相変わらず空気読めないところ、治らないわねえ。由理子は心の中で思った。




