⑮ 同一人物か
「…これで、双方納得ってことで、イイかしら?」
雪子が言った。
「ああ、お主のお陰で、一応の希望は叶った。」
天王アンはそう言って、少し笑顔を見せた。
「…じゃあ今度は、私から別件ね?」
雪子が徐ろに声をかけた。
「ねえ、イシュタル!」
「何かしら?」
「何でしょう?」
すると、円卓の別々の場所から、ユニゾンで返事があった。
返事をしたのは、戦争王イシュタルとカグヤだった。
「ねえ、イシュタル…。」
雪子は戦争王の方に向いて、再度言った。
「…コッチの若いイシュタルは、アナタの過去の姿なのよね?」
そう言って彼女は、カグヤを指し示したのだ。
「…ええ、そうよ。私もやっと思い出したわ。私とアナタは、やっぱり過去に出逢っていた。ただ、随分昔のことだから、すっかり忘れいたのよ。ごめんなさい。」
戦争王イシュタルはそう答えた。
「…だそうよ?」
雪子は、振り返って隣のカグヤに話しかける。
「この神様が…未来の私?」
カグヤの理解は追いついていないようだった。
「そうなのよ。アナタの背中の小さな翼は、いずれ大きくなり、髪の色共々蒼くなって…完成形がコチラの女神様って訳。そしてこの地に、他の神々より、少し遅れてやって来るのよね?」
雪子は前ははカグヤに、後半は戦争王に語りかけた。
「御明察よ、雪子。」と戦争王。
「それに、他のアヌンナキのメンバーは、直接ニビルからやって来ている。でもアナタは幼少期に一度、輝夜姫として、このガイアで暮らしていた経緯があった。だから、自分は"出戻り"だと言っていたのね?」
「それも当たり。流石ね。よく調べたわね?」
「…私、暇なのよ。」
雪子は女神に褒められても、さして嬉しそうでもなかった。
「まあ、でも、分かったからと言って、私とカグヤの間柄が変わる訳じゃないけどね?」
「…今後も仲良くしてくれるってことで、いいわね?」
「ええ、乗りかかった船ですもの。せいぜい世話を焼かせてもらうわ…アナタの子どもの分までね?」
「えっ!?」コレはカグヤの声。
「…うふふ。」コレは戦争王の含み笑い。
「カグヤ、いずれ分かる事だし、この際だから、ハッキリ言っておくわ。」
雪子が急に真面目な顔になった。
「アナタには、子どもが出来るのよ…ついさっきのアレのせいでね!」
「えっ?えええっ!?」
カグヤはよく分からない感情になった。
「確かニビル人の成長速度は、ガイア人の3倍だったわよね?」
「そうよ。何でもご存じなのね?」
戦争王が肯定した。
「何でもは知らないわ。知っていることだけ…西尾維新センセイごめんなさい。」
「…なに、それ?」
「気にしないで。ちょっと著作権が気になっただけ。」
「…まあ、そんな訳だから、あと3ヶ月もしたら、アナタも目出度くお母さんになるのよ。大丈夫、サン・ジェルマンのアジトに、便利な地下室が幾らでもあるから、子育てには困らないわ。」
雪子はカグヤに対して、そんな爆弾発言をするのだった。




