⑭ 始祖との対話
「…それは、一体、どういう…?」
要領を得ない、といった顔の天王。
「僕の現在の名は、真田雪村と言います。実は僕も、その件に関しては、自分で確認した訳ではないのですよ。」
「と言うと?」
「それは、サン・ジェルマンという人物が、時空を飛び回り、調べて見つけた推論なのです。」
「またしても、サン・ジェルマンか。彼は本当に、タダのニンゲンなのか?」
訝しむ天王である。
「実はさっきから、雪村君の頭の中を、テレパシーで探ってみているんだが…。」
横から、知恵王エンキが口を挟んできた。
「…どうも良くない状況だな。鳳凰の魂は、確かにソコに有るが、彼の深層心理の奥深くに隠れていて、出渋っているようだ。まるで我々と、対話したくないみたいだよ。」
「第一なんだって、偉大なる我々鳥族の祖たる神が、こんな辺境の星の、しかも寄りによって、ハダカ猿族に身をやつしたりなどしているのか、全く解せぬわ。」
別の席からそう言ったのは、太陽王ウトーだった。
「コレは私の推測だけど…。」
そこで雪子が、一言もの申した。
「…彼の中の鳳凰が、努めて存在感を消している理由は、四次元や五次元などの、高次元の住人からの、注意を集めないようにしているから、なんじゃないかな。彼はその気になれば、同じ時間軸の過去・現在・未来のみならず、全ての並行宇宙に影響を与えることが可能な程の、強大なチカラを持っているから…。」
「…なるほど。その高過ぎるチカラ故に、と言う訳だね?」
そう同意したのは、月王ナンナだった。
流石は知恵王エンキと並んで、賢明な王である。
理解が早くて助かるわ。雪子はそう思った。
「やはり、惑星一つを楽々と、別の星系に移動させたという事実は、多方面に大きな影響を与えているらしいからな。」
そう付け加えたのは、大気王エンリルだった。
彼はアヌンナキの7柱の神々の中で、天王アンに次ぐ権力者だ。
「それに関しては、反省しています。思いつきとは言え、大それた事をしてしまいました…多分もう二度とやりませんから。頭の中にイメージしたことは、全て実現可能だと言う、根拠の無い自信から、成せるワザでした。」
雪村はそう言って、頭を下げた。
すると、その場に居たアヌンナキの神々は慌てた。
「やめて下さい。どうか頭を上げて…アナタの行ないで多くの者が救われたのですから。皆、鳳凰様に感謝しているのですよ。今日は、ただ、一言お礼を申し上げたかっただけなのです。」
天王アンが、皆を代表して、雪村にそう告げた。
雪村は、どこかホッとしたようだった。
「そう言ってもらえると、僕も救われる気分です…良かれと思ったとは言え、自分でも、迷った挙げ句の行動だったので…。」




