⑬ アヌンナキたち
そこは砂漠の中に建つ、古めかしい城門前だった。よく見ると、鳥の頭をした衛兵が、二人で門番をしていた。
雪子はビートルから降りると、まるで勝手知ったる我が家のように、躊躇なく一直線に、彼等に向かって歩いて行った。
そして彼女は左手の衛兵に声をかけた。
「超時空の魔女が来たと、天王アンに取り次いで頂戴。」
「イキナリなんだ、お前は?ハダカ猿族のメスの分際で偉そうに!」
と、取り合おうともしない衛兵。
「いいから!真田雪子が約束を果たしに来たと言えば分かるわ!」
重ねて言う彼女に対して、右側の衛兵が渋々動いて門の中に入って行った。
数分後、血相を変えて帰って来た彼は、慌てて城門を開けた。
「先程は大変失礼を致しました。私がご案内します。どうぞコチラへ!」
平身低頭になりながら、そう言う彼に対して
「分かればイイのよ。」
と宣う雪子。
「さあ、二人とも、行くわよ。」
彼女の後をついて、雪村とカグヤも、恐る恐る門の中へと入って行った。
雪子様御一行は、長い廊下を暫く歩くと、広い会議室のような部屋に案内された。
「コチラでお待ち下さい。」
そう言うと、案内人はそそくさと戻って行った。
「なんだか懐かしいわね。ついこの間の事なのに…。」
大きな円卓の下座へと皆に席を勧め、自らも隣に
座ると、雪子が独り言を言った。
丁度そこへ、入り口の両開きの扉を開けて、背の高いヒトビトの団体が、ゾロゾロと入って来た。
ヒトビトとは書いたが、2mを超えようという身長がまず、ニンゲン離れしていたし、よく見ると、全員の背中に色とりどりの翼が生えていたのだった。
ソレはまるで、天使か神のような容姿だった。
初見の雪村は、それだけでもう、圧倒され、面食らっていた。カグヤは「あらっ?」と言ったきり、黙ってしまった。
しかし、雪子だけは落ち着き払っていた。神々が席につくのを悠然として待ち、そして徐ろに口を開いた。
「皆さん、お久しぶりね。お元気でしたか?」
「おお、雪子よ。よく戻ったな。なんでも、約束を果たしに参ったとか?」
そう返事をしたのは、7名の鳥ニンゲンの内、最も年長に見受けられる者だった。
「天王アン、ご要望の人物を、連れて来てあげたわよ?でも彼は私の…いえ私たちの、大切な存在なの。だから、丁重に扱ってね?」
「もちろんだとも。そちらの彼が、そうなのだな?」
天王はそう言うと、雪村の方を見た。
雪村は、天王アンの、金色の鋭い眼光に見つめれて、ドギマギしていた。
すると、彼を見つめたまま、天王はこう言った。
「アナタ様が、鳳凰様でいらっしゃいますか?」
それに対して、雪村は答えた。
「はあ、どうも、そうらしいですね。」




