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「魔女と鳳凰と輝夜姫」(セーラー服と雪女 第18巻)  作者: サナダムシオ


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⑪ 雪子のアイデア

「さあ、そうと決まれば、雪村。」

「はい?」

「せっかくだから私たちは、江戸時代初期の、九州観光でもしましょう。」

「はあ、イイですけど…。」

 

「それじゃあ、お二人さん、明日の朝迎えに来るから、それまでどうぞごゆっくり。」

 最後に雪子が声をかけた。

「イロイロありがとうございます。」

 ムサシにしっかりと抱きしめられているカグヤは、やっとのことで返事をした。


 その後は、ビートルを、光学迷彩で貴族風の牛車に擬装して、茶屋で団子を食べたり、阿蘇山の火口を見に行ったり、熊本城を見学したりと、本当に観光三昧だった。因みに茶屋のおばちゃんは、お代に砂金を受け取って、面食らっていた。


 こんなノンビリするのは久しぶりだったので、雪村もまんざらでは無かった。

「ここまで姉弟水入らずなんてことも、珍しいわよね?」雪子が言う。

「僕と雪子さんが、初めて出逢ったころ以来ですかね?」雪村も言う。


「ねえ、雪村。」

「なんです?雪子さん。」

「私はアナタが弟じゃなかったら、多分この世で一番好きなオトコよ。」


「ボクもそうですよ。でも残念ながら、僕らは時空を超えた姉と弟だ。」

「しかも、私はアナタの一部なんですものね?これじゃあまるで、お互い、度を超えたナルシストね?」


「そうなりますかね?」

 最後に雪村がそう言って、二人で笑った。

 その夜は、加藤清正の肝入りで整備された、宿場町の旅籠で泊まりとなった。

 

 翌朝、雪子たちはカグヤたちを迎えに行った。

 昨日二人を送り届けた洞窟に行くと、丁度二人が出て来るところだった。


 カグヤは、昨日より何故か顔の色艶が良く見えた。 

 ムサシは、ナニか憑き物が落ちたような顔をしていた。


「さあ、カグヤ、取り敢えず私と一緒に、次の目的地に付き合って貰うわよ。」

「はい。あのう、それで…ムサシ様は?」


「ムサシは今後も、この世界線で、宮本武蔵として61年間過ごさないとマズイのよ。だからそれまでは、私が定期的にアナタを20世紀からこの時空へ連れて来てあげるわ。」

「…ありがとうございます。」


「それからムサシさん。」

「おう、何だい?」

「アナタは、ココから自力で熊本城下まで、辿りつけるわね?」


「おうよ。オレは健脚だからな。」

「まあ一晩で、誰かさんに、相当体力を奪われたでしょうが、大丈夫でしょう。」


「…少し反省してます。」とカグヤ。

「いいのよ。今後は時々しか逢えないんだから!」


挿絵(By みてみん)

 慰める雪子であった。

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