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「魔女と鳳凰と輝夜姫」(セーラー服と雪女 第18巻)  作者: サナダムシオ


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⑩ 武蔵の中のムサシ

「…どう?少しは何か思い出した?」

 カグヤは武蔵に問う。


「…待て。こんな事が前にも…アレはサン・ジェルマンとか言ったか?」

「そうよ。その調子で、どんどん思い出して!」

 カグヤは必死に重ねて問う。


 そして、そんな武蔵に向かって、次々に剣を打ち込んで行った。

 その剣を、一太刀一太刀受け止めながら、少しずつ記憶を取り戻す武蔵。


「…その後、妙なトカゲの化け物たちと闘って…そして…ああ、お主は…カグヤ!」

「ムサシ!」

 その瞬間、二人とも刀や剣を投げ出して、抱き合った。


「…やっと逢えた。」 

 感無量のカグヤ。

「忘れていて、済まなかった。」

 オトコ泣きのムサシ。


「まずは、めでたし、めでたし、ってところかしらね?」

 と、その様子を眺めながら、隣に居る雪村を見る雪子。

「…はあ。でも、この後はどうするんです?史実を変えると、マズイですよ。」

 何時もながら、慎重に考える雪村。


「それに確か宮本武蔵には、お通さんという恋人が居たのでは?」

「それは、吉川英治センセイの創作よ。むしろ彼は生涯独身だった。でも野獣のように精力の強い彼が、何時までも、一人切りの夜が耐えられたとは考えられない…。」


「…つまり?」

「だから、このカグヤとの出逢いは、必然なのよ。彼のようなオトコを、イロイロな意味で、昼も夜も満足させられるようなオンナは、他に居ないわ。」


「…なんか、生々しいお話ですね?」

「あら、アナタだって、弓子さんとヤルことヤッてるでしょ?中学生じゃあるまいし…。」

「…雪子さん、言い方!」


「気に障ったのなら、ごめんなさい。不老不死になると、何だかデリカシーが足りなくなるのよ。自覚はしているの。」

「はあ…そんなモノですか。」


「そういう訳だから、ムサシとカグヤが史実の裏側で、コッソリ男女の仲になっても、何のモンダイもないのよ。さらに乱暴な事を言えば…仮に子供がデキたとしても、ソレを養子の宮本伊織にしてしまえばイイのよ…ううん、むしろソレこそが歴史的には正解なんだわ。」


 雪子は一人で勝手に納得していた。

 そして彼女は、やおら抱き合う二人に声をかける。

「ねえ、お二人さん。」 


「こんな所に何時までも居られないから、もっとイイ場所に移動しましょう。」

 雪子は、カグヤとムサシをビートルに案内すると、二人を後部座席に押し込んだ。


 雪子は運転席に収まり、雪村は助手席に戻った。  

「どこに行くんです?」

「この時空内のイイ所よ。」

 雪子はそう言って、雪村にウインクした。


 後部座席では二人のイチャイチャが止まらない。

 さては、アドレナリンと吊り橋効果の相乗作用だな。

 雪村はそう思った。


 クルマは光学迷彩をかけたまま、一路空を飛んで熊本市近郊へ向かった。

 そして、とある山中に降りて行った。

 そこは金峰山の霊厳洞という洞窟前だった。


「さあ、一晩だけ待ってあげるから、アナタたち、ここで好きなだけイチャつきなさい。でもその後は、私の言うことを聞いて貰うわよ?」


 ウムを言わさないという態度で、雪子は二人に言い放ったのだった。


挿絵(By みてみん)

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