クラスメイトの声
日をまたいでしまいました。ごめんなさい。
翔と野々花は、向かい合って昼ご飯を食べていた。
ついさっきまで机に向かっていたせいか、二人ともどこか肩の力が抜けている。
勉強中、野々花がメイドに「お昼は、キリのいいところでお願いします」と事前に伝えているのを、翔は横目で見ていた。昨日の反省をちゃんと活かしているあたり、こういうところは本当にしっかりしているな、と思う。
おかげで、今日は昼ご飯が来るまでに屋敷内をうろつく必要もなく、問題集を閉じて手を洗ったら、すぐに食事にありつけた。
運ばれてきた料理は、昨日と同じく量も味も申し分なく、翔は無言で箸を進めながら、心の中で密かに感心していた。
――これ、毎日だったら普通に太るな。
よく毎日これで体型を維持出来るものだ、と変な方向に感心を向けてしまった。
食後、二人は自然な流れで換気をすることにした。
さすがに何時間も空気を閉じ込めたままなのは良くない。野々花が窓を開け、春先の少し冷たい風が部屋に流れ込む。
「ちょっと、外出よっか」
そう言われて、二人はベランダへ出た。
日差しは強すぎず、ちょうどいい。翔は無意識のうちに大きく息を吸い込み、胸の奥まで空気を入れた。
「やっぱ外の空気いいね」
「だね。ずっと机だと、頭も固まっちゃうし」
そんな他愛のない雑談をしながら、しばらく並んで手すりにもたれていた、その時だった。
「――あれ? 今の声……」
下の方から、聞き覚えのある声が上がった。話の内容的に、視線が南家に向いているのは確実だ。
瞬間、二人はほぼ同時に顔を見合わせる。
「……クラスのやつじゃね?」
「うん……多分……」
言い終わる前に、二人は反射的に部屋の中へ引っ込んだ。
カーテンの影に身を隠し、息を潜める。
ほんの一瞬の出来事だった。
たった一秒、いやそれ以下だ。野々花が特定されるかどうかも怪しいし、翔まで認識された可能性はかなり低い。
――低い、はずなのに。
「……明日、絶対なんか言われるよね」
「だよな……」
学校で「昨日誰かと一緒にいるの見た気がする」とか、「誰といたの?」とか。
最悪の場合、特徴から翔の存在まで嗅ぎつけてくる輩が出てくるかもしれない。
そんな未来を想像してしまい、二人とも同時に気が重くなった。
安全を確認してカーテンを閉めると、緊張が一気に解け、二人はその場にへたり込むように脱力した。
「びっくりしたね……」
「あぁ、心臓に悪いって……」
苦笑いしながら顔を見合わせ、なんとなく気まずそうに笑う。
それでも、さっきまでの張り詰めた空気は少し和らいでいた。
「……じゃ、続きやろっか」
「うん。今度こそ集中しよ」
そう言って机に戻り、再び教科書を開く。
明日の学校が少し憂鬱になりつつも、今は目の前の問題に集中するしかない。
こうして二人は、また静かな勉強の時間へと戻っていった。
力尽きました。今日(12/24)はあと2話更新です!
もう少しでクリスマスですね!




