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創造神は救いたい  作者: ヒヨコのピヨ


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寝起き

夜分遅くにすみません。明日になっちゃう気がするんですけど、あと2話、頑張って更新します。

翔は昨日と同じように、約束の時間より数分早く野々花の家の前に立っていた。

眠気は正直きつい。昨夜は布団に入ってからもなかなか寝付けず、目を閉じるたびに昨日の出来事――

野々花の慌てた顔や、あの屋敷の広さや、妙に静かな廊下が浮かんできたせいだ。


とはいえ、不思議と気分は悪くなかった。

昨日は緊張で胃が痛くなるかと思ったが、落ち着いて考えてみれば、あれだけ整った環境で、しかも野々花に直接教えてもらいながら勉強できるのは、かなり恵まれている。昼飯は美味いし、椅子は柔らかいし、何より集中できる。


「悪くないな……」


そう結論づけようとしたところで、どうしても引っかかるものが一つだけあった。


――昨日の、あの野々花の慌てっぷり。どうしてあんなに慌ててたんだろう。


そんなことを考えていると、集合時間を少し過ぎた頃、屋敷の奥の方でドアが開く音がした。

視線を向けると、そこに現れたのは野々花だった。


「……あ」


思わず、短い声が漏れる。

寝癖が完全には直りきっていない。前髪が少し跳ねていて、目元もまだ眠たそうだ。いつものきっちりした雰囲気が薄れていて、その分、妙に無防備に見える。


(……可愛いな)


反射的にそう思ってしまい、翔は内心で慌てて否定する。

だが今回は昨日ほど動揺しなかった。必死に平静を装ったおかげで、身体が固まる最悪の事態は免れた。


「おはよ、翔くん。待たせちゃった?」

「いや、今来たとこ」


そこへ、執事らしき男性が現れ、門が静かに開かれる。

入口には昨日と同じように数人のメイドが並び、丁寧に頭を下げてきた。翔は条件反射で会釈を返す。野々花にはきちんと「おはよう」と言えたのに、こういう場面はいまだに慣れない。


敷地に入ってすぐ、野々花が少し言いにくそうに切り出した。


「あのね……今日、お父さんに会ってほしいんだけど」

「え」


昨日は姿を見せなかった父親。

しかも昨日は、よりによってあの部屋の件があった直後だ。翔の中で警戒心が一気に跳ね上がる。


「昨日いなくて……心配してるって」


なるほど、理由は分かる。

分かるが、タイミングが悪い。翔は一瞬だけ頭を抱えそうになりながら、結局頷いた。


「……分かった」


門を開けてくれた執事に案内され、大きな部屋へ通される。

天井が高く、落ち着いた色合いの調度品が並ぶ部屋の中央には、一人の男性が座っていた。姿勢がよく、どこか鋭い視線。間違いない、野々花の父親だ。

挨拶を交わした瞬間、翔の頭にまったく関係のない記憶がよぎる。


――ユラナスを無理やり女にする作戦を押し通した時の、あの妙な達成感。


場違いにもほどがある思考に、思わず笑いそうになり、翔は慌てて舌を噛んだ。


面会は、思っていたより穏やかに進んだ。

質問は多かったが、責めるような口調ではなく、あくまで「娘がどんな相手と、どんな時間を過ごしているのか」を確認するためのものだった。途中で野々花が呼ばれて説明を補足したりもして、特に大きな問題もなく終わった。


部屋を出た瞬間、野々花が深く息を吐いた。


「……ごめんね。また疑われちゃって」

「いや、一回経験してるし」


正直なところ、嫌な気分はほとんどなかった。

むしろ、あれだけ心配する父親がいるのは、少し羨ましいとすら思う。


「子供思いで、いいお父さんじゃん」


そう言うと、野々花は一瞬きょとんとしてから、ふっと安心したように笑った。


「……それなら、よかった」


その笑顔を見て、翔はようやく肩の力を抜いた。


それから二人は、昨日と同じ勉強部屋へ向かう。

大きな窓から差し込む光は穏やかで、机の配置も、椅子の感触も、すでに見慣れたものだった。


「じゃ、今日もとりあえず昼までやろっか」

「おう」


こうして、二日目の勉強会が始まった。

昨日よりも少しだけ、空気は柔らかくなっていた。

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