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創造神は救いたい  作者: ヒヨコのピヨ


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48/67

やさしい嘘

ちょっと短いです。

「俺が、キャンセル?」

「はい。……自覚はなかったのですか?」

「全く。」


ユラナスは本気で不思議そうにしており、陽介も開いた口がふさがらない。


しばらく二人で「いやでも」「どうして?」と噛み合わない会話を続け、やがて静かに考え込んだ。


前回の“時空停止のデモンストレーション”では確かに止まった。

だが、今回は止まらなかった。


違いは――

ただ一つ。


「……前は、”止められる”って思ってたよな」

「で、今回は発動してから気づいた、ですね」


二人は小さく息を呑んだ。


――結論。

陽介は“停止系の干渉そのものを無効化できる体質”を持っている。

しかもそれは、意識でON/OFFが切り替わる可能性がある。


この答えに、ユラナスはぽかんと口を開けた。


「……どうして今まで気づかなかったんですか?」

「いや、そもそも時間止められるような場面なかったし」

「それもそうですが……一体いつからなんでしょう」


謎が増える一方だった。


もし先天的なら、陽介の両親は何者なのか。

もし後天的なら、誰がいつ与えたのか。


二人は深追いするのをやめ、いったんは事件の処理に集中することにした。

___________________________________

そのあとは淡々とこなすだけだった。

家の近く。

最寄り駅。

隣駅。

隣町。

市内。

別の市。

次々と範囲を広げていき、トラブルを探し、見つけては片付け、見つけては片付ける。

移動の手段として使用した電車の中でも乗客トラブルを解決し、気づけば太陽はすっかり真上、というかちょっと超えていた。


「そういや昼飯まだだったな」

「そうですね。お昼ご飯はどうしましょう」


二人が周囲を見回すと、目についたのは――


「……あそこのファーストフード店はどうですか? 陽介くんからこないだ頂いたクーポンもありますし」


ユラナスが、赤と黄色のピエロの人形を指さして提案してきた。


(……あ、クーポンの話、ここで聞くべきか)


陽介は意を決して口を開く。


「その……クーポンって何だ?」


その瞬間、ユラナスの顔が雷に打たれたみたいに固まった。


「……協力者が二人増えそうだって、陽介くんが手紙で伝えてくれた時に…

…後ろに、くっついていたじゃないですか。あれ…

…陽介くんが僕にくれたものじゃないのですか?」


ぽつりと問うユラナスの瞳は、うるんでいた。


(……あ、あれか……!)


陽介は思い出す。

確か、家にあった広告の裏紙を適当に掴んで手紙を書いた。

そこに印刷されていたのだろう。でも


(これ……「善意じゃない」とか絶対言えねぇ……!)


かなり悩んだ末に、彼が絞り出した言葉は――


「……そ、そういえばそんな事もあったっけな」


嘘である。


だが、ユラナスを傷つけないための“優しい嘘”でもある。

仮にユラナスが心を読む能力を持っていたとしても、

”易しい”嘘だと思われると同時に、”優しい”嘘だとも伝わるはずだ。


「陽介くんは忘れん坊ですね〜」


と、どこか楽しそうに煽られたが、陽介は耐えた。


「じゃあ、食べに行こっか」

「はいっ!」


ユラナスの明るい返事に、陽介の肩の力も少し抜けた。


――二人は昼の街へ歩き出す。


その二人の背中を、じっと見ていたものの存在には気付かずに。

ブックマーク登録を、また一人してくださいました。本当にありがとうございます。

やる気が出ます。

ちなみにタイトルの「やさしい嘘」の”やさしい”を平仮名にした理由は…。

本文にあります。

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― 新着の感想 ―
家の近く。 最寄り駅。 市内。の頭のひらがな?違うか…!?
2025/12/15 07:17 ストーンmil
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