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創造神は救いたい  作者: ヒヨコのピヨ


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眼差し

今日の2投稿目です。

家を出て、人通りの多い通りへ向かうと――

ほんの数分で、ざわついた声が耳に飛び込んできた。


「やめろよ!」

「なにあれ、なんか光ってない?」


人の輪ができている。

陽介とユラナスが近づくと、すぐに状況が目に入った。


運動神経が良さそうな二十代の女性。

その両腕は肘から先が獣のように変化しており、体ごと低く構え、狼を思わせる鋭さを帯びている。


対するは、汗を浮かべながら両手を前に突き出す中年の男。

手のひらの周囲で、ほの赤い炎が絶えずゆらめいていた。


女性の能力は『一部獣化』。

男の能力は『炎操作』。


「ッ……くそっ、近づかせねぇからな!」


男は必死に炎を維持しているが、炎自体に“向きを付ける力”はない。

燃焼を起こすだけで、相手を狙って飛ばすような器用さはないのだ。

女性はそれを正確に理解しているらしい。

一歩踏み込み、鋭く距離を詰める――だが、


「熱っ……!」


男の炎に触れそうになった瞬間、女性は眉をひそめて跳び退いた。

その体毛は部分的に濃く、狼めいた質感になっているため、炎があれば焦げつく危険が高かった。

しかし、その表情は怯みよりも怒りが勝っていた。


(……痴漢でもされた、っぽい感じだな)


陽介は静かに二人を観察する。

女性の語気、男をにらむ目。

男の狼狽と、無駄に威力を上げすぎた炎の出力。


(このままなら……先に力切れするの、あのオッサンのほうだな)


炎操作は消費が大きい、訳ではない。ただ単純におっさんが出力を調整していないからだ。

一方の女性は、突っ込まないときの獣化を少し解いている。

全開のまま耐え続ければ数分と保たない。

そうなれば、女性が一気に距離を詰めて押し倒すのは目に見えている。


ちなみに、すぐ止めに入らないのには理由があった。

記憶改変は、事前の観察が雑だと違和感が大きくなり、後でボロが出る。

だから陽介は、事件の “雰囲気” をまず正確に掴むようにしていた。


十分に状況を把握したうえで――


(……よし、止め時だな)


陽介は小さく息を吸い、ユラナスにだけ聞こえる声で言う。


「行くぞ」

「了解しました」


二人が人だかりを抜けて前へ出た瞬間、女性がぐっと体勢を低くし、男が炎をさらに強めた。

静かに手を前へ出した。


『法力吸収』


次の瞬間――

目に見えない波が広がり、ここ一帯の“法力”が静かに吸い取られていく。


炎がふっと弱まり、女性の腕の獣化もみるみる萎んだ。

男は「……え?」と戸惑いながら手元を見る。

女性も「力が……?」と驚いたように指先を見つめていた。


ただ――ユラナスだけは別だった。

法力吸収は“指定できない”。

近くにいる者すべてを巻き込む。

ユラナスは獣のように目を輝かせ、

フードの中からじいっと陽介を見つめてきた。


(……お前、吸われた感覚を楽しんでない?)


そんなことないだろうとこの考えを切り捨て、尊敬の眼差しだろうと割り切る。

そして陽介は次の能力に移る。

【管理者権限】

声は出さず、意識だけで発動する。

二人の記憶に触れる。


”記憶改変”という行為を分かりやすく言うならば、粘土のようなものだ。


そして、それが完成する。


――女性が痴漢をされ、大声で叫び、それを否定した男と口論になった。


それが“事件の始まり”として、自然に脳へ入り込んでいく。

口論が熱を帯び、互いに能力を使うまでの流れも、違和感がないよう丁寧に調整する。

ほんの数秒で完了した。


「……なんだったんだ私……」


女性は両手を見つめて混乱し、


「いや、その……悪気はなかったんだよ? 俺も……」


男は頬をかきながらしどろもどろに謝っていた。

完全に“痴漢トラブルの延長”として脳が処理し始めている。


陽介はため息をつき、そっと人だかりから抜けた。


「すみません、もう落ち着いたので……! お騒がせしてすみませんでした!」

女性からそう声をかけられた群衆は、しばらくざわついていた後二人の様子が落ち着いたのを見て徐々に散っていく。


ユラナスはというと。

未だにフードの影から目を輝かせたまま陽介を見つめてきていた。


「……吸収と、改変……。やはり、興味深いですね」

「お前な……声は抑えろよ」


苦笑しつつ、陽介は肩を落とした。

1件目にしては、まずまずだった。

問題なく処理できた。

だが

――ユラナスの“目の輝き”が不穏で、少しだけ不安が残る。

いずれ好奇心が爆発することがないと良いのだが。


「……よし、次行くか」

「もちろんです」


黒と灰色のパーカーの二人は、人波を抜け、次の問題へと歩き出した。

次回はユラナスの戦闘シーン書くつもりなので、お楽しみに!

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