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創造神は救いたい  作者: ヒヨコのピヨ


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翔の今まで

翔が勉強会に参加することになった理由と、ささやかな伏線回収回です。

量は多めですよ。

『あなたには一つ、異能力を与えましょう。

異能力は、あなたしか持っていません。

口外することや、はっきりとした能力使用による破壊も禁止です。

どのようなものなのかは授かればわかります。

では、良い人生を。』


妙に落ち着いた、けれど底が見えない声だった。


その言葉と同時に、翔の頭の奥に“何か”が流れ込んできた。

熱。風。燃焼。流れ。

概念そのものを直接脳に刻みつけられるような、不可思議な感覚。

そして理解した。


――自分は『炎操作』『風操作』の二種類を得たらしい。


「……マジかよ。二つも?」


だが喜びは一瞬だけだった。

脳に勝手に書き込まれた“知識”が冷静に告げる。


――お前の炎も風も、最大値は“単体を持つ人間の半分”。


しかも指向性はない。

派手なビームのようなことはできないらしい。


「……地味じゃね?」


翔は肩を落とした。

ロマンは欲しい。


“伝説の力”みたいなやつをぶっ放したかった。

でもまあ、仕方ない――

そう思った。

___________________________________

そして翌日の理科の授業で、まさかの「火を大きくする条件」の話題になる。

翔は一瞬で気づいた。


(……待て、これ、俺めっちゃ強いんじゃね?)


小さく火を出す炎操作。

そこに反対の手から風を送り、酸素を補給する。

風の向きを変えれば火は形を変え、勢いを増す。

理屈が、脳内に自然と流れ込んでくる。


「……ちょっと試してみるか」


___________________________________

昼休み。


人気のない校舎裏で翔は両手を構えた。

右の手のひらに、炎。

左の手のひらに、風。


次の瞬間――


ボッッッ!!


最初に試した、『炎操作』単体の最大火力とは比べ物にならない熱量が生まれ、

翔は思わず一歩さがった。


「……え、マジか。これ二倍どころじゃねーよな!?」


風が火を“操っている”。


炎の動きを変えられるのは、本来は“不可能”と刻まれていたはずなのに。

でも翔は深く考えなかった。

凄いけど、まぁいいや。

それより――


(……これ、結構いい組み合わせじゃね?やっぱ運いいわ)


火と風の複合技にテンションが上がった翔は、その直後にとある場面を目撃する。

陽介と野々花が、真剣な顔で話しているのだ。


(は? なんでアイツ、野々花と……?)


ムッとした。

胸がざわつく。

が、そこですぐにひらめく。


――あ、そうだ。


みんな能力を持ってるなら、能力の“仕様”もわかってる。

指向性がないことくらい知ってるはず。

つまり、自分の複合技を見せれば陽介は怯む。


(いいじゃんこれ……! 完璧!)


翔はニヤリと笑った。

陽介に向けるための、ちょっと意地悪な笑みだった。

___________________________________

翌日。

野々花と勉強会の約束を取り付けたあとの陽介を見つけた翔は、タイミングを計るつもりで距離をとってついて行った。

だが――


「…………」


陽介の横顔は、異様にやつれていた。


目の下のクマ。


落ち着かない視線。


足取りの重さ。


しかも、その足の向かう先は、自宅とは別方向である。


(……おいおい、どうしたんだよ)


脅すどころじゃなかった。

胸が変にざわつき、腹の奥がひやりと冷える。


――心配、している?


自分で気づいた瞬間、翔は軽く目を見開いた。


(俺……陽介のこと、心配してんのか?)


自分でも認めがたい感情だった。


結局、翔は野々花に声をかけ、陽介の様子がおかしいことを伝えた。野々花も薄々感じていたらしく、心配していた。

翔の心配は本心だけれど、しょうもないことで野々花を心配させていたのなら許さない、と静かに決意したのだった。


そして結果、翔は勉強会に参加する権利を得た。

___________________________________

そしてまた翌日。

勉強会が始まると、陽介と野々花が視線で何かを伝え合っている。


(……あ、俺のことか)


自分でもわかる。

その視線は、自分がついてきたことへの相談だ。

胸の奥がチクっと痛む。

その痛みに突っかかるように、翔は言った。


「お前ら、何こそこそ見つめ合ってんだよ?」


野々花が驚いたような顔をした。


……ほんの一瞬だけ。


すぐに、いつもの調子に戻り、


「ねぇ翔くん。今日さ、何のためにここへ来たんだっけ?」


と返してきた。

翔は「ちょっと忘れてた」みたいな顔をしつつ、陽介に向き直った。


「……最近、どうしたんだ?」


もししょうもない理由だったら、怒鳴るつもりだった。

野々花を心配させんなよ、と。


だが帰ってきたのは、予想外にもほどがある深刻な話だった。


神を名乗る者。

世界の秩序。

未来の破滅の可能性。


たった数日間で、陽介はそんなものを抱え込んでいたのだ。

翔の胸の奥で、何かがギュッと締めつけられた。


(……お前、一人でこんなん抱えてたのかよ)


呆れと怒りと、そして強い決意が同時に胸に灯る。

翔は静かに言った。


「……最後まで支えてやるよ。だからもう、一人で抱えんな」


陽介はほっとしたように息を吐き、

そして――とんでもないことを言い出した。


「……その前に、試験だな」


冗談か本気かわからないが、心の奥は割とガチだ。

翔は呆れながらも笑い、


「……ったく。わかったよ。覚悟決めるわ」


と返す。


こうして翔は、陽介の“協力者”として、そして“親友”として覚悟を固めるのだった。



いい感じの空気で終わろうとしたところで、陽介の、”地味に空気読めないキャラ”が発動した。


「……なんか、変な感じだな。翔に励まされるの」

「おいそれどういう意味だよ」


唐突の反応に少々驚きながらも、言い返す。誇らしさもあるのだが。


野々花がそんな二人のやり取りを、両者の気持ちを理解しているかのように面白可笑しそうに笑った。

野々花の笑い声に、翔と陽介は一瞬だけ顔を見合わせた。

その短い沈黙の中に

――不思議と安心できる空気が流れていた。

まるで、これからどんな面倒ごとが来ようとも、三人ならきっと乗り越えられる、と言ってくれているみたいに。

翔や陽介のセリフに違和感を覚えたそこの貴方!

大正解です。変えました。わざわざ引っ張り出してくるのも面倒くさいってのもあるんですが、あまりこの流れに合わなそうなセリフだったので変更させていただきました。

これを数回続ける予定だったんですけど、飽きちゃうかなと思っています。実際はどうなんでしょう?

よろしければコメントください。

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― 新着の感想 ―
「鋭利」での翔のニヤつきの意味が、ここでわかりました…合ってますか?
2025/12/10 19:13 ストーンmil
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