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創造神は救いたい  作者: ヒヨコのピヨ


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39/67

”創造神”

2話投稿の日。もう1話はできれば午前中に出します。

ユラナスは陽介の家から帰宅したあと、ひとまず息を整え、主の待つ空間へと跳んだ。

そこは、現実世界とは隔絶された純白の領域。空も地も境界がなく、ただ淡い光だけがゆらめく場所だ。

その中心に、三つの影が立っている。


ユラナスの主——落ち着いた雰囲気を纏った神。

そして、初対面となる二柱の神格。

一人は柔らかな表情と、知的な雰囲気の神。

もう一人は、どこか子どもっぽいほど快活な神。

ユラナスは膝をつき、任務報告を始めた。


「以上が、今日の異能力事案への対応報告です」


主は静かにうなずいた。


「ありがとう。世界は広い。すべてを一人で背負わせるつもりはないが……君が最後の報告者になったね。他の使徒たちは、もう済ませている」

「はい。遅れてしまい申し訳ありません」

「気にしなくていいよ。──ほら、顔を上げて」


促され、ユラナスはそっと身体を起こす。

すると、初対面の二柱がユラナスを興味深そうにじっと見ていた。

柔らかい雰囲気の神、”柔和”が口を開く。


「ところで……陽介くんに能力を与えた神のことだけどね」


その名を聞いた瞬間、ユラナスの肩が僅かに揺れた。


「ディオニス。あの”暴君”が、どうして彼に力を与えたと思う?」


隣の活発な神、”活発”がニヤニヤと笑って続ける。


「でもまあ、邪智暴虐の王(w)おかげで面白そうな展開にはなってるでしょ? ”ヤツ”の過去を見る機会も増えるし、暇つぶしには最適じゃん」


言葉の端々に、どこか親しみと面白がりが混ざっている。

最後に、中央の落ち着いた神—”創造神”が、少し困ったように眉を寄せた。


「……あまりニヤニヤして見るな。いくら“他人”とはいえ、こっちは恥ずかしいんだ」


その声色。

その話し方。

その三人の掛け合い。

——どこかで。

——誰か。

——聞いたことがある。

ユラナスは、ふと胸の奥に“何か”が引っかかるのを感じた。


(……え? これ……)


記憶の端に手が届きそうになった、その瞬間。

”活発”が指を差して言った。


「おいおい、“創造神”サマ。そこの……ユラナス、っていったか。こいつ、今時間停止使おうとしてるぞ?」


”柔和”も、優しく目を細める。


「何か、思い出しかけたんじゃないかな?」


二柱がまるで、いたずらを咎める子どものような視線で中心の神へ訴えかける。

中央の神は小さく息を吐いた。


「……わかっている」


——次の瞬間。

ユラナスの頭を満たしかけていた“何か”が、するりと消えた。

思い出しかけていたはずなのに、何を考えていたのかすら曖昧になる。


「あれ……?」


胸に残った違和感だけが、かすかに疼いたが——


すぐに「まあいいか」と思えてしまった。

何も問題はないような気がした。

いつものように、主へ礼をして退出する準備を整える。

けれど、その背中を見つめる神々の視線には、柔らかくも深い意味が宿っていた。

___________________________________

ユラナスが部屋を出ていったあと、“活発”が静かに“創造神”へ尋ねた。


「どこまで”消した”んだ?」


“創造神”は額に手をやりながら、短く答える。


「お前ら二人の喋り方。それと、浮かんだ疑問をある程度だ」


言った直後、胸の奥を押さえるようにして“創造神”が苦しげに息を呑んだ。

その様子を見た“活発”と“柔和”は慌てて身を乗り出したものの、動揺はしていない。


――どうやら全く予想していなかったわけではなさそうだ。


「いつものアレ? 大丈夫?」と“柔和”が心配そうに声をかける。

“創造神”は呼吸を整えながら、ゆっくりと頷いた。


「ああ……。そろそろ俺も、本気で考えなくてはいけない」

二柱が見守るなか、“創造神”はゆっくりと立ち上がった。

“柔和”も“活発”も、普段の余裕を見せず、ただ心配そうな眼差しを向けている。


その頃――ユラナスは一人、静かに確信へと近づいていた。

陽介に抱く好意の理由。それは、“主”に酷似しているからだ、と。

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