”異分子”の苦悩
今日は更新が遅れてしまいました。申し訳ない。
やけに長く感じた一日が、ようやく終わりを告げる。
普段なら授業中に意識が落ちる瞬間もあるのに、今日は一度も眠れなかった。
机の上でただ時間だけがねばつき、時計の針が進む音さえ遠い。
下校のチャイムが鳴るころには、心も体もどっと重くなる。
帰り道に向かう足は、気付けば校舎の奥へ……コンピュータ室へ向かっていた。
――バグの対処メモ、置いておかないとな。
それだけの用事なのに、理由があるだけで足は勝手にそちらへ向かう。
扉を開けると、パチパチとキーボードの音が空気を震わせた。
星野そらが画面にかじりつくように座っている。
「……星野? 今日、部活の日じゃないよな」
問いかけると、彼はビクッと肩を跳ねさせ、くるっと振り返る。
「あっ、先輩!えーっと……はい、活動日じゃないです。でも、基礎もっと固めたくて……自習、です!」
嬉しそうに胸を張るその姿に、思わず小さく笑ってしまう。
「真面目だな。部室の鍵、返す時は忘れないように」
「もちろんです! あっ、先輩は……?」
「ちょっと、置きに来ただけ」
そう言って、陽介はプリントを机の端にそっと置いた。
星野は興味ありげにそれを一瞬見るが、深くは聞いてこない。
――ほんと、いい後輩だ。
「じゃ、頑張れよ」
「はいっ!」
元気な返事を背に、陽介は部屋を出た。
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家に着くと、玄関で靴を脱ぐのも忘れそうなほど疲れが押し寄せてきた。
自室に転がり込み、ベッドの上で膝を抱える。
まぶたを閉じた瞬間、脳裏にざらついた声がよみがえった。
――「つまらない世界だよな。壊してしまった方が、よっぽど綺麗だ」
息が止まりそうになる。
”アイツ”なんか今どこにもいないはずなのに、聞こえた。耳元で囁かれたように。否、聞こえた気がした。振り返ってみたが、やはり誰もいない。悪寒がした。
――どうすれば、“面白く”なるんだろう。
あの力をもらった以上、何か変えなきゃいけない。
ただ世界を滅ぶ未来に進むだけじゃ駄目だ。
目の前の現実を、”面白く”していかないといけない。
そのために自分は、何をどう動けばいい?
陽介は、息を潜めるように目を閉じた。
日没とともに、重い思考が静かに胸の奥へ沈んでいく。
極力無いようにはしていますが、おかしい点があればコメントでもなんでもよろしくお願いします。




