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何度も転生した僕は初めて姫様と出会う  作者: 13街区のマヤ
ウルマン大森林ウルマン村
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2−3 事件

 村に帰った一行は皆に集まって貰い、

 大森林の中の大穴『地獄の門』に階段通路を設けること。

 女神の神殿周りを整備すること。

 定置網漁の準備をすること。

 を説明し、手分けして取り掛かることになった。


 もう一つのウルマン村。

というか元々こちらが村だったのだが。

 半分以上の村民が出ていったため、皮肉なことに蓄えた食料だけで冬を越えることが出きるようになった。

 この村だけなら食料は何とか確保出来ている。


 村長を自称する村長の弟ケトマンは、耕地を挟んで建てられた仮小屋のような集落に逃げこんだ村人をせせら笑いながら見ていた。

 元々兄が村長の時でも俺の支えで成り立っていた村だからな。

 兄貴が居なくなれば俺が村長になるのは当然だ。 


 この飢饉を乗り切るにはそれぞれの家に蓄えている食料を出させて皆で分ける以外に方法はない。

 それが分からぬ馬鹿者どもが。

 冬になれば泣きついて来るさ。


「ブリ!ブリはいるか!」

 息子を呼んだ。後継ぎだが直情的なところがありチョット心配はしているが何とかなるだろう。


 参謀にクドラトを付けた。30歳手前になった村一番の知恵者だ。

「何か用か?おやじ。」20歳をいくつか越えた嫡男は酒の臭いをさせながらやってきた。


 父は顔を(しか)めながら「このバカ息子が!」と心配でならなかった。

「また、飲んでいるのか?パリザに逃げられたのがそんなに悔しいのか?」

 図星を突かれ酒で赤くなった顔をさらに赤くしながら、

「ふん!あんな女!」


 一緒に現れたクドラトに、

「向こう側が最近騒がしいが、何か情報は入っているか?」

 こちらから見ていて、向こうで何かあったのはわかった。

 沸き立つような歓声が時々聞こえてくる。


「女神が現れたと騒いでいるようです。」

 元々同じ村でお互い親戚みたいな関係である。向こう側の情報はリアルタイムで入ってくる。

 それは、向こうでも同じでこちらの情報は向こうに筒抜けだった。


「エメル=ハル号の甲板長が訪ねて来ているようで、女神を連れてきたそうです。」

 なんだ、女神?

「何か奇跡でも見せるのか?」

 クドラトはチョット躊躇ったが、

「パリザの手を握り、あなたは恋する男と結婚できる。未来は明るい。」と。


 それでブリのこの荒れようか・・

「それだけか?」

 予言でも何でもないではないか。ただの激励だな。

 クドラトの情報源がもうちょっとしっかりしていれば違う感触の情報が入ってきたはずなのだが・・


「海岸沿いの洞窟に女神の神殿を見つけ宝物も山ほど有ったとか。冬を越すための魚の捕り方を教えたとか。明るい話題が次々と出てきているようです。」


 宝物とは何だ?宝物がいくらあってもここでは交易ができる訳でもない、宝の持ち腐れと言うやつだ。

 だが、チョットだけ気にはなるな、金とか宝石が散りばめられた王冠なんかあるんだろうか・・


 想いに耽ってしまった自分を叱りつけ、

「あっちは冬を越せると言うのか?」

 100人が冬の間だけでなく次の食料の収穫までの間食べる事が出来ると言うのか?

「魚が十分に捕れていて余った分は干物にしているとか。今は家の補修や森の伐採に力を入れていると聞いております。」

 最後の言葉はそうなるといいなという希望であるのだが・・


 そんなに簡単に食料の調達が出来るものなのか?

 海にはほとんど近付けなかった。それをあっという間に解決したというのか?


「エメル=ハル号の一行の中に農業、漁業に知識のあるものが居て指揮を執っているようでございます。」

 そもそもエメル=ハル号は何処にいるんだ?甲板長だけ?船長は?副長は?何故エメル=ハル号はあっちばかり贔屓するんだ?

 今回も援助物資を運んできてくれたのではないのか?


「村長、エメル=ハル号の甲板長と船員の二人を排除すれば女神も含めて全てが手に入ります。」

 ケトマンはその言葉に怒った。

「馬鹿者!エメル=ハル号は我が村の恩人だぞ!そんな事出来るわけが無かろう!」

「申し訳ございません。」と言い、頭を下げながらクドラトは部屋を出ていった。


 クドラトはその夜、ブリの家を訪ねた。

 しばらくして、クドラトは笑みを浮かべながら出てきた。


 次の日の昼過ぎ、イサーク甲板長がケトマンを一人で訪ねて来た。

 エメル=ハル号の乗組員の中では、少し縁遠かった人である。


 自分の話し相手は主に船長であり、次に副長であった。

 甲板長は何時も村人の中にあったのであまり話をする機会がなかった。


「ケトマン居るか?話をしよう!」

 小屋の入口に立ち、イサーク甲板長が大声で呼んでいる。

 おそらく周辺の村人に聞こえるように声を出しているのだろう。

 仕方ないなあ。クドラトを呼ぶべきだろうか?


「これは、これはエメル=ハル号のイサーク甲板長ではありませんか?中へどうぞ。」

 イサークは、ケトマンの肩を叩くと、

「久しぶりだな、元気そうでなりよりだ。」と話を切り出した。


 二人の話しは夕刻の及んだ。

 甲板長は、エメル=ハル号での出来事を語り、そして向こうの村の話をした。

 ケトマンは、この前年からの飢饉と村長の行方不明を語り、その後村を纏めようとしたと語った。


 甲板長からは双方から人を出して再び一緒になるための話をしないかとの提案をケトマンが受け入れて話は終わった。


 太陽が水平線に消え闇が周囲を支配し始める頃、耕地の中の道を一人歩いて帰る甲板長の姿があった。


 しかし夜になっても甲板長は戻らなかった。

 心配したクリチュが「向こうに行ってくる。」と耕地に踏み出して直ぐに背中に猛獣狩り用の太い矢が刺さって倒れている甲板長を見つけた。

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