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3ー7 猿人捜索

 その夜、ララは逃亡した。

 シナリオ通りではあった。

「姉様!大変です!ララさんが居ません!」

 司令官室にソフィが飛び込んできた。

「そう、大丈夫よ。」

 軽くエミィは応えると

「何処にも逃げられはしないわ。ねぇデニス。」

 ここで振られても・・ねぇ、

「そうですね。」

「二人共、何か隠しているの?」

 エミィが、眼で合図を送ってくる。


 僕はタメ息とともに、

「逃げるのは織り込み済みです。彼女の服の中に魔玉を忍び込ませています。」

 魔玉は小さな玉でエミィの魔力を込めてある。エミィが集中すれば何処に居るかわかる。

「ソフィさんはあの女に入れ込み過ぎです。彼女は明らかに何かを隠しています。それも私達に知られたくない何かです。この砦の惨状にも関わることかも知れませんよ。」


 僕がソフィに説明している間にエミィはフェンリルからの報告を受けていた。

「猿どもはここから3日ほど北に行ったところにコロニーを造っている。猿のコロニーにしては異様に大きなコロニーだ。4頭かなぁ。指揮官?教官?この4頭が取りまとめている。」

 3日ほどの距離か、大亀裂が狭まっている辺りか?

「じゃぁ、その4頭を倒せば解決ね!」

「そう簡単ではないかも。」

 フェンリルはつい思ったことを口にした。

 パリザの膝にいた豆芝を睨み付け首輪をつかむと、

「もったいぶらないで言いなさい!」

「わ、わかったから離してくれ!」


 豆芝のフェンリルはパリザの膝に戻してもらうと、

「姫様どうしたんだ!えらい不機嫌だな。」と前置きし、「コロニーの奥に猿ではない誰かが居るんじゃないかと。」


「ふ~ん。そいつが元凶ね!」

「フェンちゃん!早速行って潰しておいで!」

「やっちゃっていいの?じゃぁ、この首輪はずして!」


「そういう訳にはいかないわね!皆で行くことにしましょう。」

「ちっ!逃げるチャンスだったのに。」小さな声が皆に聞こえ失笑が聞こえてきた。


 城にある荷馬車を引き出して見たが、引き馬がいなかった。

 しょうがない

「フェンちゃん!馬車を引いて!」

 へっ、

「俺が馬車を引くのか?神だぞ!俺は。」

「こないだまで神の使いだった。今はただの魔物。」


 フェンリルの姿になり、首輪が手綱となり僕が握ることになった。

「フェンちゃん、2時間もあれば行けるわね。」


「頑張る!」フェンリルは真面目に馬車を引いて馬の3倍のスピードで跳ねた。

 車中で舌を噛まないように歯を噛みしめ、ドアや座席に掴まりながら振動に耐えた。

 皆、着いた時には馬車酔いでフラフラだった。

「舌を噛まなかった?」

「もどしたい人はもどしていいわよ。」

 ムジアだけは平然と周囲を警戒していた。

 結局、その日は皆使い物にならなかった。


 翌日、僕はフェンリルならぬ豆芝と偵察に出た。

 大亀裂が狭くなり、岩が橋がわりになっているところに近づくと、豆芝が

「見張りがいる。」と囁いた。あわてて岩陰に身を隠し、盗み見るように見ると2頭が岩の両側に立っている。


「見張りの死角を向こうに飛び越えられる?」

「元の姿ならばな!」


 僕はフェンリルの背に乗って大亀裂を渡った。

 首輪を元に戻すと、フェンリルはブツブツ文句をいいながら豆芝になった。


 そこから大森林の中を注意深く歩いていく。

 何かの気配が・・

 豆芝を抱えながら木陰に座り込んだ。

「ここはまずい。あの倒木の下に入ろう。」豆芝の言葉に従い身を隠した。


 そのまま、じっとしているとそばを何頭かの猿人が森の一方向を目指して通りすぎて行った。


 夜陰に紛れて近づこうと陽が落ちるのを待った。やがて、その方向から灯りが見えてきた。

 豆芝を抱えたまま樹の陰に隠れながら近づいた。

 200頭近い猿人を前に3頭の猿人が樹上から何やら叫んでいる。

 1頭は剣をもう1頭は槍をそして中心にいる猿人は戦斧を振りかざして叫んでいた。


 豆芝が、「3頭の後を見てみろ、誰かおるようだ!」

 じっと見ていると3頭の背後に一瞬、何か動く影がみえた。

「ここまでにしておいた方がいい!」

 豆芝の提案に同意して引き揚げることにした。


「200頭か・・」話を聞いたエミィも言葉を失った。

 そもそも猿人がその様な大集団をつくるのか?猿人は平和的で家族単位でコロニーをつくるのではなかったか?やはり何かおかしい・・

 数が多すぎてフェンリルを解き放ったとしても勝てるかどうか?フェンリルは今、不死身ではない。

 猿人には剣、槍に弓矢まであるようだ。フェンリルとて無傷では済むまい。


「どうしたものか?猿人の次の目標が分かれば対処しやすいのだが・・」

 エミィも歯切れが悪い。

「僕とフェンリルとで、あの集会場所の背後を奇襲するのが一番かなと思います!」

「私も行こう!ムジアにパリザはここにいてくれ!」


 僕たちにソフィも加わってフェンリルの背に乗って猿人の本拠地に背後から近づいた。

 夜になるのを森の中で待っていると、

「見つかったようね!」エミィが当たり前の事のように口にした。


 周辺を囲まれつつあるようだ!見事なものだな、統制がとれている。

「猿人の王よ!話をせぬか?」エミィの呼び掛けに矢が音を立てて目の前の倒木にドスッと突き立った。



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