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3ー6 女騎士ララ

 えっ?なんで!一瞬時が止まった。目の前にいるのはソフィ・・そっくり。

 その女騎士をよく観ると髪の毛がソフィよりややブラウンがかっている。


 僕は一瞬の間のあとに

「待って!敵じゃないから!」僕は叫んだ。

 その言葉を聞いてか、その女騎士は剣を構えたままその場に尻餅をついてしまい、なかなか起き上がることができない。


 座り込んだまま剣を構えて用心を解かない女騎士も、話しは聞いてくれた。

「僕はエメル=ハル号の乗組員なんです。」

「エメル=ハル号といえば我が国の商船ではないか!それがなぜこのような内陸の砦にいる?」

 初めて喋った声は、ソフィよりかなり低い。


「話せば長くなりますが、怪しい者ではありません。」かなり怪しい気もするが・・

 怪しいのはこの女騎士の方ではないか?

 こんな所に隠れていて、よく見るとやつれてもいないし制服には汚れ一つない。


 僕の言葉に納得したのか剣を下ろすと意識が飛ぶように倒れこんだ。

 抱え起こすと「すまぬ、この2日飲まず食わずでいた。」と弱々しい声を出した。

 肩を貸すと皆の待つ司令官室まで連れていった。


 エミィは、僕たちが部屋に入るといきなり、

「デニス!その女から離れよ!」

 といきなり、女騎士を突き飛ばした。

「ソフィに化けた魔物め!」


 突き飛ばされヨロヨロと尻餅をついた女騎士は力ない声で

「私はテオドルス特別騎士団ララ・ハロナと言う者だ、怪しいものではない。」

「ふん!魔物臭い!ついにテオドルス候は魔物を騎士に雇ったか?」

 不機嫌なエミィとララの会話を聴きながら横でソフィは言葉もなく目を見開いてララを見ていた。

 この世にはそっくりな人間が何人かいるらしいけど、まるで鏡を見るよう・・


「魔物臭いのはこのサンジューク砦が魔物研究の拠点だからだろう、ここに1ヶ月ほど滞在したから匂いが着いたのだろう。」

「その様な生易しいものではない!」

 エミィはソハヤの剣を抜こうとしていた。

 僕は慌てて二人の間に入り「一旦落ち着こう!」と引き離した。


 彼女は水とパンを受け取ると、一口水を飲んでから、

「サン・アデレードの本部から連絡に来ていたのだ。実験を見学したりしていると1ヶ月が経っていた。そこに猿の夜襲があってこのざまだ。私が救援の要請に一番近いクホデ城に向かおうとした時、猿が城内に乱入してきて出るに出られなくなってしまったのだ。」


「猿はもういないから、今から行くといい!」

 やっぱりエミィは不機嫌だ。

「今さら行っても恥をさらしに行くようなものだ。」

「恥さらしで済めばよいがな。」


「ところで貴様たちは何者だ?」

 エミィは胸を張って答えた。

「お前の神と敵対する者たちさ!」

 エミィ・・勘弁して!


 こいつらはいったい何者なんだ。こんな大事な時に現れて。

 さっきも危うく研究室が見つかるところだった。

 あのヘテロクロミアの女は要注意だな・・

 こっちの自分にそっくりな女と男は使えるかもしれん・・

 ララは面々を眺めながらこれからの対策を練っていた。


「残念だか砦で生きているのは我らだけだ。1人が不安なら隅にでもいると良い。ただし、デニスに手を出したら叩き出す!」

 エミィは相変わらず敵対心剥き出しである。


 僕は先程から気になったことを聴いてみた。

「ララさん、ここで魔物研究しているとか、実験しているとか仰いましたが、この砦は何なのですか?」

 しまった・・要らんことを言ってしまった・・

「私も詳しくは知らされていないのだが、魔物と呼ばれるもの達や獣達とのコミュニケーションがとれないか研究していると聞いている。」

 上手く言い逃れできた。


「嘘!目が游いでいるわ!何を隠しているの!」

 エミィの鋭い声がとんだ。

「嘘じゃないわ!私が知っているのはこれくらいよ!」

「じゃ、知らないことも喋ってみなさいよ!」

 (おもむろ)にエミィはソハヤの剣を抜いて切っ先をララに突きつけた。


 そこにちょこちょこと豆芝が入って来て、キョロキョロを周りを見わしてパリザを見つけると膝の上に飛び乗った。


「姫様!早速敵を見つけたみたいですね。そやつからは猿の匂いがプンプンします。」

 膝の上で目を閉じ、心話でエミィに話しかける。

「今、フェンリルもこやつは敵だと言った。将来の禍根をここで絶つ!」

 ソハヤの剣を振りかぶった。


「姉様!止めて下さい!まだ、敵と決まった訳ではありません!」

 ソフィの言葉にソハヤを下ろすと「運のいいやつめ!」と捨て台詞を吐いた。

「デニス!問い詰めて見てくれ!」

 実にカッコいい姫様である。


 ララを隣の司令官控室に連れて行き隅の椅子に座らせる。何故かソフィがついてきた。

「どうしたの?」と聞くと「姉様もあなたも少しおかしいから、立ち会います。」

 僕は思わず吹き出してしまい、

「大丈夫ですよ。ちゃんと自制できますから。」


 結局ソフィは机で記録を取ることになった。

 そのやり取りを見てララはほくそ笑んでいた。

 あの女がいなければ逃げるチャンスはありそうだ・・

「で、ララさん。あなたの所属と名前をもう一度教えて下さい。」

 デニスと呼ばれた結構体格の良い男が尋問し始めた。


 やがてその部屋から、

「何度、同じ事を言わせるんだ!」

「私は何も知らない!」

 と大きな声が聴こえてきた。


「思い出した方が身のためです。一晩よく思い出してください。」と言うと部屋を出ようとしたが、ソフィがグズグズと何か言いたそうにララを観ていた。

 ソフィの二の腕を掴むと無理やり部屋から連れ出した。

「ソフィ、ララにシンパシイを感じているのなら今の内に切り替えなさい。彼女はあなたの思っているような人間ではないようだ。」


 司令官室にはエミィが待っていて、「うまく行ったの?」と僕に訊いた。

「ええ、今夜中には逃げ出すでしょう。」

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