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何度も転生した僕は初めて姫様と出会う  作者: 13街区のマヤ
ウルマン大森林ウルマン村
13/48

2−8 王家の衛士

 エミィには何の話か分からない。少し首を傾げていると、

 バルタが話し始めた。

「この村の者たちの祖先は、姫様の生まれる前ですが、元々王都エルミン=キラズの南東ホーン砦を守り、『王家の衛士』と呼ばれておったのです。」


 遠くを見るように目を細め、過去を思い出していた。

「我らは王家直属の密偵として、各地の情報を届ける仕事もしておりました。王家に力があるときは良かったのですが、徐々に力が衰えるとそれに反比例するように諸侯の力が大きくなって参りました。」


「その頃からでしょうか、我らは王家の命により暗殺を引き受けるようになりました。」

 この人達、忍びとか草の者とか・・近いのは隠密かな?

「その後、暗殺者集団として恐れられた我らを利用しようとする者が現れます。」


「当時、王国の宰相は王都エルミン=キラズの北を領していたエブレン候ホノンです。エブレン候は我等一族に自身が宰相となり、力を掌握するために密偵や暗殺と言った暗い仕事をさせていました。」

「我らはエブレン候の「我が身が宰相になったあかつきには、そなた等を優遇しよう。」という言葉を信じて一族がボロボロになるまで尽くしました。我らはその仕事の性質から皆から恐れられ、そして蔑まれておりました。」


 バルタは、当時を思い、一族の運命を思うと自然と涙が出てきた。

「エブレン候は政敵を一掃し、嫡男を王配とすることができました。そしてその結果は・・」

 慟哭すると涙を拭い、

「エブレン候は意図的に噂を流しました、「奴らは魔族だぞ!人を喰らうぞ!」と。」


「我々は人間に化けた『人喰魔族』として王国から討伐軍を差し向けられたのです。ホーン砦は包囲され激しい攻撃を受けました。そして降伏も受け入られずに全滅しました。」


 まさに狡兎死して走狗烹らるである。

「その時、城外にいた遊撃部隊長がクドラトの祖父であったと聞いています。」


 といきなりクドラトが引き継いでしゃべり始めた。

「祖父は残された一族をまとめ、王国の掃討部隊を相手に逃げ回った。追い詰められた祖父は危険を承知で王国で西の雄と呼ばれたテオドルス候の下に一か八か逃げ込んだ。」


「その時のテオドルス候は先代だったのだが、どういう思惑があったか分からぬが、この地へ逃がしてくれた。その過程でも多くの者達が死んでいった。始め500人からいた一族の者たちはここに来た時には100人ほどになっていた。」

「我らはこれ以降、テオドルス候の援助で生きてきた。」


 エミィの方を振り向き、

「つまり、女神様は我らの仇の一族ということになる。ここへは罪を償うために来たのでしょうか?」


 さすがのエミィも事の成り行きに言葉が出ずにいた。

 僕は成り行きに驚きはしたが、

「責任回避の理屈ですね。あなたがやったこととあなたの一族が追放されたことに直接の関係はない!」

「あなたはあなたしたことの責任を取るべきです。特に許し難いのは罪をクリチュさんになすりつけようとしたこと。人間として許し難いです!」


 バルタが、「デニスどのの言う通りである。クドラトの生い立ちに情状酌量の余地はあると思うが罪は罪だ。」

 そこに集まった者たちの意見を聞き始めた。

 ケトマンは皆に頭を下げて息子たちの許しを乞うた。


 裁判の制度を確立しておかないと後で大変なことに成るんじゃないか、と思わぬでもないな。

 そう言えばこの村は外界から遮断されているが法の支配がないなぁ・・問題だなぁ。


 エミィは王族に生まれたことをこの時ほど呪ったことはなかった。

 父の血も母の血も呪われている・・

 自分に関わりがないとはいえない。


 エブレン候ホノンは父の父、つまり祖父だ。それはソフィも同じ。

 関係は大有り。

 祖父がこの人たちを殺そうとした?


 この村の困窮も怨みも全て私が引き受けて全然おかしくない。

 私は仇そのもの・・

 頭がクラクラする。

 横でソフィもただ棒のように立っている。


 僕は極力でしゃばらないようにしてきたが思わず言葉がでた。

「姫様は王家を逃げ出して来ました。人を人とも思わない今の王国に疑問を感じて、変えるために王城を出て来たのです。そして、ここで皆様のお世話になっています。過去に有ったことは無かったことには出来ません。しかし、恩讐を越えて協力することはできると思うのです。」

 僕は集まった人々の顔を確かめながら、

「どうでしょう、皆さん!過去に心を置いていても未来はないと思いませんか?都合のいい話に聴こえるかも知れませんが皆様が生きていけるための方策を考えてきました。」

「明日、姫様から皆さまにとって大切な発表があります。我らを仲間と思って下さる方は、明日、昼にお集まりください!」


「デニス~!」

 小屋に戻ったエミィは戻るなり、抱きついてきた。

 ソフィはそれを阻止する気力もなく椅子に座り込んだ。


「デニス!抱いて!」ふっ不穏な・・

 立ったまま抱き締めていると、「ケチ!でもありがとう!」


「ソフィさん!大丈夫ですか?」

 えっ、と暗い顔をやっと上げて

「私は大丈夫です。」

「ソフィ!今回ばかりは許すからデニスに抱いて貰いなさい!」また、また、不穏な・・


「ソフィさん。手を出してください!」

 無理やり手を握る。始め引っ込めようと抵抗したがやがて大人しくなり、ソフィからも握り締めてきた。

 ソフィの顔に精気が戻ってきた。


「いつまで握ってるの!」エミィの言葉に慌てて手を離した。

 やっぱりこの二人危険だわ・・


「ところでデニス明日の発表って何?」

   

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