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何度も転生した僕は初めて姫様と出会う  作者: 13街区のマヤ
ウルマン大森林ウルマン村
12/48

2−7 罠には罠を

 女神の神殿の建設が佳境に入ってきた。

 どちらの村からも手伝いが集まり、予定より大幅に進んでいた。


 今日は、その敷地内にテーブルが用意されて『第1回村の統一会議』が開かれる。

 参加者は各3名。ケトマンの村はケトマン自ら参加する。バルタの村の代表はクリチュである。バルタの体調が最近思わしくない。


 会議は昼を少し回った頃始まった。

 議長席にはエミィが座り、開始を宣言した。

「待って欲しい。」ケトマンと一緒に来ていたアジムという老人が議事を止めた。


「何事ですか?」エミィの問いかけに

「この場にクリチュどのがいるのは適当でないと思う。」

「どういうことかしら?」警戒しながら聞くと


「言いにくいのですが、クリチュどのはイサーク甲板長を殺した犯人ではないか?と疑われています。クリチュどのが代表として決めたことをうちの村の人々が受け入れるとは思えない。」


「どうする?クリチュ。」エミィは本人に尋ねた。

「わかりました。私は席を外します。私の代わりはデニスどのにお願いしたい。」


 結局その日の話し合いは何の成果もないまま、次の会議の日程を決めただけで終わった。

 ケトマンは、他の代表の二人と別れてバルタの小屋へ見舞いに行った。


 日が暮れて、バルタの小屋から一人松明を掲げてもう一つの村に向けて歩いていった。

 バルタの村を出て直ぐに、横に拡がる森林から矢が2本飛んできた。

 1本は足を掠め、もう1本は身体の中心に突き立った。


「かかれ!」の掛け声とともに弓を射た二人にバルタの村の若者たちが飛びかかった。

 ほとんど抵抗らしい抵抗も出来ずに捕まった二人は呆気にとられた表情をしていた。

 一人はブリ、もう一人は弟のプラトであった。


「離せ!甲板長の仇討ちだ!」ブリが叫んだ。

 取り押さえた男たちが呆れて、「あれはケトマンさんだぞ。」

「そんなはずはない!あれはクリチュだ!」


「オレはクリチュが一人で我が家にやってくると聞いた、間違いないと。この途中が仇討ちの絶好のチャンスだったのだ。村をやがて率いるオレがやらなけりばならなかった。」

 腕を逆手にとられ押さえ込まれているブリはあがき続けている。


「誰がそんなことを言った?」捕縛した一人が聞くと、

「誰がって、昨日の宴会で誰かが・・クドラトも聞いていたはずだ!ヤツに聞いてくれ!」


 そこから数十メートル離れたケトマンの村ハズレ。クドラトがその様子を見ながら踵を返そうとしところ、「おとなしくしてもらおうか!」と槍の穂先が目の前に突き出され、思わず後退りした。

 僕の顔を見ると、ため息とともに両手を上げた。


『女神の館』前に引き出された3人は後ろ手に縛られ、それぞれに無実を叫んでいる。

「ブリ、プラト。お前らは相手を確かめずに弓を射るのか?」ケトマンは、矢が掠めた右脚を布で縛っていた。


 ブリは、父ケトマンに憐れみを請うように、「父上、騙されたのです!クドラトに聴いてくれ!」

「誰が言ったのか確かめもせずに信じたのか?バカ者が!」


 射た相手がわしで良かった。バルタから盾を持って行けといわれた時は「バカな?」と思ったがバカはわしであった。

 ケトマンの表情は怒りと哀しみに満ちていた。


 ブリの後に据えられているクドラトはニタニタと気持ち悪く笑いながら他所を向いている。

 ケトマンが、「クドラトよ!そなたを信じてブリを任せたのだ!どういうことだこれは?」


 クドラトは相変わらずニタニタと笑いながら、エミィに向かって、

「私の祖父はサイギと言い、この村ができた時の村長であった。ワシはその正統な後継者よ!我が家から村長の地位と名誉を奪ったドルーの家に復讐して何が悪い!」


 大きく息をしてから、バルタ次にケトマンを睨みつけると話を続けた。

「祖父は一族を族滅から救い、この地にまで率いて来た。それだけの功績があったにもかかわらず、祖父が過労で死に父が村人を助けて若死にすると私が幼かったため村長の地位を奪われてしまった。」


 仕方ないことだったとそこにいる皆が思った。

「この村が生きていくため仕方なかったことだ。」

 バルタが当時を思い出しながら言った。


「それだけではない!村からの援助を受けらず我が家は辛酸を嘗めた。村長の地位を奪い返して何が悪い!」

 ケトマンは目を見開いて睨みつけ、「お主の家は大切にされていただろう?何に置いても一番に配分されてた。ただ、母親は残念であった。母の死の時のことを恨んでおるのか?」


 当時を思い出し、悔しさに唇を噛むと噴き出す様に叫ぶ、

「フン!何が優遇だ!父が村の子供を庇ってクマに殺された後、母は苦労して我等兄弟を育ててくれた。その母が栄養失調で死んで行く時、村の皆に助けてくれと訴えて回ったが、誰一人助けてはくれなかった。村長も、おまえ達もだ!」


 バルタは、寂しそうにクドラトを見ると、

「あの冬は、村の1割が餓死した。同仕様もなかった事はお前も分かっているはずだ。その恨みで恩人のイサーク甲板長を殺したのか?」

 クドラトは突然笑い出すと、

「何で俺が甲板長を殺すんだ!あの人には恩こそあれ恨みなどないさ。今回の事は甲板長が殺された後に考えた事だ。」


 バルタは、驚いて、

「じゃぁ、誰なんだ!」

「知るか!誰が甲板長を恨んでいたか?考えたほうが良いんじゃないか?」

 イサーク甲板長への恨み・・

 !!


 クドラトは続けて、

「この村は、なんのかんのと言っても他人のことなどどうでも良いのよ。誰その証拠に儂が少しケトマンとブリの耳に心地よい言葉を吹き込んだだけでこのザマではないか?ハハハッ笑いが止まらん!」


「特にブリなど掌の上で良く踊ってくれた。楽しかったよ!」

 ブリは、「なにィ!オレを騙したのか!」と暴れ始め周りの男衆に押さえつけられた。


 クドラトは周りを見渡した後、エミィを睨み付けると、爆弾を投げつける様な言葉を発した。

「王家に連なる者がこの様な最果ての村に来て頂けるとは光栄ですな!過去を忘れず我等一族を族滅させようと追ってこられたのか?」

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