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プロローグ

この作品はホラー作品です。ご注意ください。

昔々のお話です。


ある村には福の神と貧乏神の二柱が祀られている社がありました。村に福をもたらす神と、村に悪さをなす者に罰を与える貧乏神。この二柱がいるおかげで村は栄えていました。ですがある日、福の神がいなくなってしまったそうな。


福の神がいなくなって村は貧しくなりました。ですが神さまのおかげで村は外敵からは守られていました。


貧乏神さままでいなくなったらどうしようか。


不安に駆られた人々は村の中に神さまがいなくなったときの代わりを立てました。その家に生まれた者は、代々神さまと同じ名前をつけました。


神さまは愚かな人間たちを見ていました。ならばその通りにしてやろうと神さまは己と同じ名前の人に神具とともに祝福と呪いを授けました。その二つを持つ者には貧乏神の一部の権能と、いずれ体さえ乗っ取る呪いを。


ある日のことです。村人の知らぬその呪いに、旅のまじない屋が気づきました。これを教えて金を取ろうかと思ったまじない屋でしたが、ふと思ったのです。




もったいないな、と。




まじない屋は神具の一つを盗みました。時が経ち妻との間に子を授かると妻に神具を持たせ、神さまの名を授けました。そして生まれた子どもには神さまの力の一部が宿っていたのです。


神に通づる力、神通力ではない。神そのものの力、すなわち神力を得たのです。


村にいなければ貧乏神は気づくこともなかろう。まじない屋は企みがうまくいったと喜びました。


貧乏神の負の力はすさまじく、しかし争いにしか向きません。


まじない屋はまじないを辞め、のろい屋となりました。そして代々それを継いできました。


たくさん呪いました。たくさん殺しました。積み重なった屍の山はどれほど高くなるでしょう。


ですが大きな戦争が終わってからというもの、仕事が減りました。代々振るってきた力は神の元を離れても衰えることを知りません。力は振るわねば己に振りかかってきました。


今度は仕方なく呪いました。意思とは関係なく、たくさん死にました。


すると後継者は耐えられなくなってしまいました。次の後継が、孫娘にこの咎を背負わせてはならないと。全てを背負って自分が終わらせようとその者は考えたのです。


ですが、それはあまりにも遅すぎる決断でした。振り切ったと思っていたはずの呪いは――とっくに回りきっていたのですから。

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