2.アタック開始!
そこからミーナの俺への猛アタックが始まった。
机の上には毎日ラブレター。
挨拶のたびに「おはようございます!先生結婚してー!」と叫ばれ、夜寝ようと布団に入ったら、なぜかミーナが先に潜り込んでいる――挙げていったらキリがない。
「……ってわけなんだけど、ルイ、どう思う?」
「いいじゃーん。健気でかわいい。俺ならすぐ手を出すけどな~。本当にちっともドキドキしないの?」
こいつはルイ。
魔法学校時代の同級生で、卒業後もたまに学校に顔を出しては俺をからかってくる。
今は貿易関係の仕事をしていて、全世界を飛び回っているらしい。
「想像してみろ。ベッドの上でくまさんパンツ一丁で両手広げて唇をタコの形にして待っているんだぞ……」
「……それは色気がないな」
会話が一段落したところで、遠くから声が聞こえてきた。
「あ、先生! 中庭にいたんですね!校長先生が呼んでましたよ……え、その方は?」
ミーナだ。俺を見つけて駆け寄ってきた彼女の視線が、ルイに向かう。
「初めまして。俺はユーリの元同級生のルイ。ミーナだろ? こいつから話はよく聞いてるよ」
「え!惚気話ですか!?」
「まあ、そんな感じかな」
「嘘を言うな!!」
俺が慌てて否定すると、ルイは笑いながら続ける。
「ミーナ、大変だろう? こいつ堅物だからさ。卒業まであと6年か? それまでに振り向かせられるといいな。俺は応援してるよ」
「ありがとうございます! ……先生、絶対に好きになってもらいますからね! だから覚悟しててください!!」
そう言い残して、大きく手を振りながら去っていくミーナ。
その後ろ姿を見送っていると、隣のルイがなぜか固まっていた。
「……おい、どうした?」
「……俺は断言する。お前は卒業までに絶対ミーナのことを好きになる」
「はあ? なんでそうなる。教師と生徒だぞ。ありえないだろ」
「今はな。でも6年後、あの子は20歳だ。……ありゃあ美人になるぞ」
ルイの言葉に、一瞬ミーナの顔が頭に浮かぶ。
確かに、今でも綺麗な顔立ちをしている。将来どうなるかは……想像に難くない。
「……でも6年間もそんなアタックが続くか?」
俺の呟きにルイは苦笑いを浮かべた。