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わがままを聞く人

作者: みちる

「わがままじゃない。自己主張でしょ」



真っ直ぐな目でそう宣言する。

俺の考え方をわがままと一蹴されるのはちょっと…かなり、納得いかない。

だってきみを想ってるからの選択でしょ。



「……どうせ私が折れると思ってない?」


「どうせとか言わないで。きみを軽んじるわけじゃないし。でも結局折れてくれるってのはわかる」


「結果わがままじゃん」


「……自己主張でしょ」


「……わがまま、自己主張、違い、で検索して」



言われた通りに検索をすると他者への気遣いの有無って見える。

じゃあ大丈夫。



「自己主張で合ってた」


「そこに私への気遣いは?」


「ある」


じ、と目をそらさずにいると同時に吹き出してしまった。

ケンカではない、なんてことない言い合いではあるけど。



「惚れた弱みじゃん……しょうがないなぁ、もう」


「先に惚れたほうが負けってやつ?」


「それ」


「じゃあぼくが常に負けてる」


「嘘だぁ」


「ほんと」



知らないよね。

ぼくがどれだけ画策してきみを手に入れたのかとか、きっと知らないんだろうな。

教えないけど。

だって知ったら怖がっちゃうかもしれないし。



「だから今日はぼくに譲って」


「本当はわがままだった?」


「内緒」



だって今日はきみの元カレもいる集まりでしょ?

行ってほしくない。

きみは元カレが来ることすら知らないだろうけど。

……百年後なら許せるかも。多分。



「じゃあ今日までの映画観に行ってごはん食べよう」


「はいはい」


「はいは一回でいいよ」



だから、ねえ。

わざわざ今日までぼくの好きな映画を観なかったこと。

集まりの連絡をきみが見る前に今日のデートの約束をしたこと。

全部全部知ってたこと、気が付かないでね。

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