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シスター・ミリカ(ミリカ視点)

幼い頃に事故で両親を失ってしまった私。


頼るべき親戚もいなかった私は、街の教会にある孤児院に預けられる事になる。


神父様も、シスターのお姉さん達も、同じようにお世話になっている孤児達も皆んなが優しかった。


それでも、私の心に空いた穴は埋められず、毎日寂しい。両親に会いたいと泣き叫んで周りを困らせてしまっていた。


いつものように寂しさから眠れず、夜中に目が覚めてしまった日。


何かに呼ばれる声が聞こえた気がした。


私はその声を追いかけるようにして歩く……側から見たら夢遊病のような足取りに見えたであろう。


そうしてふらふらと歩いてたどり着いたのは、教会にある女神像であった。


女神像は月の光を浴びてキラキラと光っており、何故か失った母の姿を思い起こさせた。


「お母さん……会いたいよ」


私は母の姿を見た女神像の足元を抱きしめ、いつの間にか眠りについていたらしい。


気がつくと花に囲まれた場所で目が覚める。


「ん……ここは……」


「こんばんわ、ミリカ」


声をかけられてそっちの方を向くと、目の前には美しい女性が立っていた。


姿が見えるわけではない……ただ、本能的に美しいと感じてしまったのだ。


また、何故か母の雰囲気も感じてしまっていた。


「女神様?」


私はこの人物の正体を本能的に悟っていた。


「おや、よく気付きました。

ミリカは聡い子ですね」


そう言って女神様が私の頭を撫でてくれる。


その手の感触は、未だ忘られぬ母親と同じ温もりを感じさせた。


そう感じてしまったが最後、私は女神様の足にしがみついてわんわんとみっともなく泣き叫んでしまった。


だが、女神様は嫌がる事なく、私を優しく抱きしめてくれる。


散々泣き叫んでようやく落ち着いた時には再び睡魔に襲われる事になった。


「めが……み……さま……」


何とか睡魔に抗おうとする私を抱き上げて膝枕してくれる女神様。


そして、私の頬を撫でながら遠ざかる意識の中で女神様の言葉がはっきりと聞こえた。


「またいつか会いましょう、ミリカ」


翌朝、目覚めた私は正に生まれ変わったかのように心を入れ替えて生き始めた。


全ては両親と同じ温かさを持つ女神様に会うため。


だからこそ、突如として現れて女神様を騙り始めた目の前の女性のことが許せなかった。


この詐欺師から教会を守れるのは私しかいない!


そう思って意気込んだのだが……彼女は、巫女様は本物でした。


彼女がその身に降ろしたという女神様は、当時私がお会いした女神様だったのです。


巫女様のおかげで、女神様ともう一度会うという約束が果たされる事になったのです。


このご恩は一生をかけて返していこうと思います。


べ、別に都合が良い時だけでも女神様と会わせてもらえたらなんて考えていませんからね


……そうでした!


忘れないうちに女神様に頼まれたあの件を神父様にお願いしなければ!!

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