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旅立ちのとき

全ての敵対勢力が無力化されたことで、改めてカイト主導による家宅捜索が行われる。


とはいえ、全ての裏帳簿や犯罪の証拠、貯めてきた裏金などの在処はラクネによって明かされるので、これほど楽な捜索は初めてだというのはカイトの談であった。


「この5年間の間にドルネスト子爵が着服していた孤児院への支援金は、彼の隠し財産からまとめて支払われることでしょう。

それに伴って、今後の支援額も増え…いえ、違いますね。

本来の額に戻ります。

そちらに関しては来月より間違いなく支払われますのでご安心を」


捕縛したドルネスト子爵一行の護送は部下に任せ、事件が終わって帰宅することになったミリカと百代。


カイトは事情説明のために付き添い、別働隊として子供達を送っていた部下と合流していた。


そして、彼らに指示を出した後に神父に対して先程の説明をしていたのであった。 


なんとドルネスト子爵は孤児院への支援金の7割弱を着服しており、残りの3割強が教会に支払われていたのである。


そこで、孤児院への支援金は元の金額……つまりはいつも支払われ低お金の3倍となり、更に5年間の間に受け取る予定だった金額。

60ヶ月の3分の2である40ヶ月分の支援金が一気に支払われることになったのであった。


最初はそんな代金を受け取れないと固辞していた神父であるが、このお金は本来受け取るべきだったもの。


そして、そのお金を子供達にために使って欲しいというカイトの言葉によって謹んで受け取ることを決めたようである。


神父はこれで子供達に危険なことをやらせずに好きなことをさせてあげられると、泣いて感謝していた。


その様子を百代の身体を借りていたラクネは優しげな笑みを浮かべて眺めていたのであった。


こうして全てが丸く収まってから3日目の朝、百代は陽が出る前に目覚めて旅立ちの準備をしていた。


(本当に挨拶しなくていいのか?)


「ここでやるべき事は終わりましたから。

後は上手くやっていけることでしょう」


語りかけてくる荊木に対して答える百代の顔は晴れ晴れとしていた。


お世話になった部屋をきれいに清掃し、お礼の手紙を一筆したためて机の上に置く。


更に、その隣にはお世話になった謝礼金を、町で見つけた布に包んで入れておいた。


このお金は最初に絡んできた盗賊の懸賞金である。


その他にいらないと言ったのだが、カイトから今回の事件の謝礼金も頂いているので、懐にはかなりの余裕があるのだ。


こうして、百代は人知れずに孤児院を後にしたのであった。

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