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祝福

自分の仕事が終わった百代は、再び身体の主導権を手放してラクネに手渡す。


ラクネが辺りを見渡すと、カイトの方は元から実力に差が開いていたのだろう。


既に無頼者達のリーダーを召し捕っている所であった。


一方でミリカの方はというと……


「ふははは、どうした?その程度の実力で私と戦おうと思っていたのか?」


「くっ……」


ドルネスト子爵は意外にも洗練された動きでレイピアを操り、ミリカはその攻撃をメイスで防ぐという防戦一方となっていた。


だが、重たいメイスではその攻撃を全て防ぐことは出来ず、捌ききれなかった分は体捌きでかわしているのだが、その度にレイピアの切先が彼女のシスター服を引き裂いていった。


そのせいでミリカの修道服はビリビリに破け、ところどころからその下の素肌や下着があらわになってしまっていた。


「ふははは、やはり目をつけていただけあって良い身体をしておる。

この戦いが終われば存分に私好みに調教してやろう」


「下衆め!!」


悔しそうにそう言うが、ミリカには現状を打破する術が無かった。


せめてもう少しだけ力が強ければ。


せめてもう少しだけ素早く動ければ。


そうすれば防戦一方なこの状況を打破出来たかもしれないのに……この、下卑た笑みを浮かべて、不正によって自分たちの家族を苦しめた男を倒せたかもしれないのに。


そう思うと瞳から涙さえ流れてしまう。


そんな彼女の痛めた心を、幼い頃からミリカを見つめていたラクネが見逃すはずがなかった。


『ブレッシング』


ラクネがそう呟いて両手を前に組んで祈りのようなポーズを取る。


すると、キラキラとした光がミリカを包み込んでいく。


「こ、これは!?」


(ミリカよ、貴女に私の祝福を与えました。

貴女はコレで今までよりも強く動けることでしょう)


ラクネの言葉通りに、ミリカは突然身体の底から力が湧いてくるのを感じる。


「これなら!」


メイスが先ほどよりも軽々と操る事ができ、ドルネストのレイピアを完全に捌き切る事に成功していた。


「ぬ、ぬぬぅ!!」


更に力強く弾くことにより、ドルネスト子爵の体勢を大きく崩すことに成功する……のだが、ここで大きな誤算が起きた。


体勢を崩したドルネスト子爵が躓き、そのまま前のめりに倒れてしまったのだ。


その倒れた場所というのが、ミリカの服が破けて顕になった部分……その中にすっぽりと頭が収まる形で倒れ込んでしまったのだ。


「きゃあああああああああ!!」


突然のことに驚いたミリカが叫び声を上げる。


そして、咄嗟に思いっきり足を振りかぶって蹴り上げる。


その場所はドルネスト子爵の股の間であった。


蹴りの勢いで彼の身体は一瞬浮き、顔も胸の間から抜け出したのだが、その表情は白目を剥いて脂汗を流し、口からは泡を吹いて気絶していたのであった。

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