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カイトの秘密

「本当にクズなのですね」


話を聞いた百代が一言でバッサリと切り捨てる。


普段は温和でニコニコとしている彼女だが、この時の声色は心底から冷え切ったものであった。


「ええ、ですのでどうにか尻尾を掴めないものかと、私の部下を忍び込ませていたのですが……まさかここまで直接的なボロを出してくれるとは思いませんでしたね」


そう言って後ろから捕縛者達を引き連れた兵士たちを見る。


どうやら彼らはカイト直属の部下であるらしい。


「あの〜カイトさんってどういう立場の方なのでしょうか?

昨日話していた自由騎士というにはちょっと……」


自由騎士とは、騎士との試験に合格してその称号を得たものの、誰かに仕えることを良しとせず、己の信じる正義のために生きる者のことである。


そう書くと非常に気高く格好良く聞こえるのだが、実際には何らかの問題があって主人が見つからず、ギルドに籍を置いているものが殆どである。


だが、カイトからはそんな騎士くずれとは違う空気をミリカは感じていた。


「自由騎士なのは間違いないですよ。

ただ、国王とちょっとした知り合いでしてね。

彼からこの国を陰から見守ってほしいというお願いを受けて、多少の力を与えられているだけです」


「だけと言う割には大き過ぎる話だと思うんですけど」


「まぁまぁ、それでカイトさんの本質が変わるわけではありませんから。

それで、この後のご予定は決まっているのですよね?」


「ええ、このチャンスを逃さず、街に戻ったら即座に領主の館へと突撃します。

こちらには動かぬ証拠もありますからね」


そう言って再び背後の捕縛者達に視線を向けた。


「では、私もご一緒してよろしいかしら?

そのような方には反省してもらわねばなりませんからね」


「巫女様!?」


百代が提案した言葉に、ミリカが驚きの悲鳴をあげた。


「私は構いませんが……そちらのシスターは大丈夫なのですか?」


「ええ、ミリカさんは無理についてこなくても良いですよ。

その領主の顔を見れば嫌な気持ちになるでしょうし」


「あああああ、しょうがないですね!

私も行きますよ……そんな奴のところに巫女様だけを行かせて、私はのうのうと帰るなんて出来ませんから!!」


ミリカの事を心から心配している声で話しかけたのだが、逆にそれがミリカの気分を煽ってしまったらしい。


半ばヤケクソ気味ではあったものの、決意を固めたミリカは、領主の館への突撃に参加することになったのであった。

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