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拐かし

神下ろしの条件を聞いたミリカは深く考え込むそぶりを見せていた。


「何かお悩みがあるのですか?」


「あの……その神下ろしというのは……」


「ちょっと待ってください!」


ミリカが意を決して話そうとしたが、それに待ったをかける。


「え、あの、その……」


「それで、今どこに……なんで早く言わなかったんですか!」


「ひゃ、ひゃい……すみません」


「あ、いえ……今のはミリカさんに言ったわけでありませんよ。

とにかく子供達のところに行きましょう」


「え、ど、どういうことです?」


「子供達が何者かに捕まったようです」


先程までとは違い、今度は百代の先導で森の中を進んでいく。


(すごい……これだけ早く動いているのに足音一つ立てないなんて)


ミリカは主にソロで活動しているので、斥候などの技術もある程度は学んでいる。


更に慣れしたんだこの森でならベテランスカウト並に気配を消しつつ、素早く動く事ができるという自負があった。


だが、先を急ぐ百代は自分と同じ速さで動きつつも、物音ひとつ、草木の一つも揺らす事はしなかった。


やがて、森の奥にある洞窟の前までやってきたところで百代は立ち止まった。


「この先に子供達が捕らえられています」


「相手は何人か分かりますか?」


「……なるほど。

中には5人いるようですが、どうやら盗賊とはまた違う類の人間のようですね。

恐らくはミリカさんのようなギルド所属の人間ではないかと」


「そんな!?」


「あ、ちょっと待ってください……なるほど。

ラクネ様の話では、最近この街にやってきた一団だそうです。

街の領主に世話になっている者達のようですね」


「げ……あの、領主の息がかかってる連中って事か」


中にいる者達の正体を聞いたミリカは、ゲンナリとした表情でそう答えた。


「とりあえず、子供達を助ける事を優先しましょう。

幸いにも彼らはミリカさんが助けに来てくれると信じて気丈に振る舞っているようですから」


「あいつら……分かりました。

確認ですが今までの動きから考えて、百代さんも手伝ってくれるという認識でいいんですよね?」


「ええ、もちろんです。

荊木様、お力を借りますね」


百代がそう言って、いつもは瞑っているように見える目を開いて腰に佩いた刀を抜く。


すると、彼女の衣装が変わり、額に鉢金。

口元には黒い布。


着ている服も派手な色の巫女装束から、闇に溶け込みそうな黒装束へと変わっていった。


更には肘から先を包み込む手甲や、網タイツで覆われた足など、全く正反対の印象に見える姿へと変化していったのであった。



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